SPICA (スピカ、) は、2027〜28年にかけての打上げ実現を目指して検討されている日本と欧州で共同開発を行う次世代赤外線天文衛星である。打上げはH3ロケットを使うことが計画されている。2005年(平成17年)度に、宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所・宇宙理学委員会に提案が行われた、次世代の赤外線天体観測衛星計画。計画開始当初はHII/L2ミッションという名前であった。これは「H-IIロケットによって第2ラグランジュ点(L)に打ち上げられる」ということから名づけられたものである。のちに改称して、現在のSPICAとなった。宇宙望遠鏡計画には巨額の費用がかかり技術的な困難も多いため、計画がスタートしてから実現するまでには長い年月がかかる例が多い。例えばハッブル宇宙望遠鏡やその後継機にあたるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は20年以上の歳月をかけている。また、ヨーロッパ宇宙機関が打ち上げたハーシェル宇宙望遠鏡も20年以上の時間がかかっている。宇宙からの赤外線観測としては、これまでにIRTS、IRAS、あかりによる全天観測、赤外線宇宙天文台(ISO)、スピッツァー宇宙望遠鏡、ハーシェル宇宙望遠鏡による個別領域の精密観測が行われている。また、近い将来実現が予定されているものとしてジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がある。SPICAはこれらの宇宙望遠鏡とは異なり望遠鏡本体を冷却するため、とくに中間〜遠赤外線領域において高感度の観測が可能であり、他の宇宙望遠鏡と相補的な役割を担うことができる。2014年11月から12月にかけて設計の見直しを実施し、望遠鏡の口径が3.2mから2.5mに変更された。名前の通り、宇宙論と天体物理学の進展が大きな目的である。具体的な研究分野としては、の3点が挙げられている。宇宙にある天体からの放射は電磁波の広い波長領域にわたっているが、原始銀河など宇宙初期に誕生したばかりの天体からの放射は、赤方偏移によって赤外線〜サブミリ波領域に偏って観測される。SPICAが観測する中間〜遠赤外線領域はこのような放射をとらえるのに最適である。国立天文台で進めている超軽量鏡や精密分光観測装置の基礎研究を継続。宇宙航空研究開発機構では人工衛星への機器類のパッケージングや装置類の小型化、宇宙空間における運用計画の立案、打ち上げミッション、最終技術調整、予算獲得などの調整及び準備が残っている。最終的には、技術仕様の確定、搭載装置の確定、打ち上げスケジュール、運用体制等が確定した後、宇宙航空研究開発機構理事会の承認を経て、文部科学省及び宇宙開発委員会の承認によって、確定することになっている。なお、本宇宙望遠鏡の実現は、打ち上げミッションなどとの調整により、最短でも2025年以降になる予定。JEM/SMILES(愛称「きぼう」/宇宙空間暴露モジュール)に搭載した機械式冷凍機を用いる。これまでの赤外線衛星では、液体ヘリウムを用いるため、運用期間が1年程度という短いという弱点があった。それを克服するために、宇宙空間の温度の低さを利用した、放射冷却と機械式冷却技術を用いることで、8Kという低温を確保する技術。受信機だけでなく望遠鏡本体も冷却することによって、近赤外線から遠赤外線までを正確に捉えることを目的としている。口径2.5mという大口径望遠鏡を、JEM/SMILES (超伝導サブミリ波リム放射サウンダ) に搭載したものと同様の機械式冷凍機により絶対温度8Kという極低温にまで冷却し、高感度の赤外線天体観測を可能にすることを目標にして、基礎研究が進められている。太陽-地球系のラグランジュ点(L)に衛星を同期させることによって、長期間の安定した観測を可能にする。また、この位置ならば障害物などが少ないため、観測時間も十分に確保できるなどのメリットがある。L2とはいえども、地球からの距離にして150万キロメートルを超える。深宇宙ミッションとなるため、臼田宇宙空間観測所にあるように、24時間のダウンリンク・アップリンクが求められており、国際協力体制で進めることで準備を行っている。SPICAにおいてはアメリカ合衆国、ヨーロッパ諸国、および韓国との国際協力体制が取られている。一国で賄うには多大な費用がかかることと各国のこれまでの技術的な蓄積を有効に活用するためである。アメリカ合衆国のBLSS (Background Limited SpectroScopy) チームは、アメリカ航空宇宙局・ジェット推進研究所と複数の大学からなり、遠赤外線からサブミリ波領域に感度を持つ分光器の搭載を検討している。ヨーロッパのSPICAコンソーシアムは、日欧協力のもと望遠鏡本体と撮像分光装置を開発することが検討されている。韓国天文宇宙科学研究院とはあかりにおける協力をさらに発展させ、観測装置の開発が検討されている。ヨーロッパ宇宙機関が2009年に打ち上げたハーシェル宇宙望遠鏡の後を担う宇宙望遠鏡として期待されており、調査及び技術開発を継続している。なお、本ミッションは、宇宙航空研究開発機構を中心に行われているプロジェクトである。
出典:wikipedia
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