『ぼくは王さま』(ぼくはおうさま)は、理論社から発売されている寺村輝夫の長編童話。発売以来40年以上人気シリーズの座を保っている。デビュー後の寺村の作品はしばらくの間、お世辞にも面白いと言えない堅いものだったが「幼児のための童話集」編集長の松居直から二度も没をくらい「あなたが面白いと思うものを書いていいんですよ」の一言で開眼。三度目はたった一晩の約2時間で、規定ページ数が5ページだった所を8ページまでオーバーしつつ、ほとんど書きなぐりだった。この「ぞうのたまごのたまごやき」は、1959年に『母の友』に掲載され、業界の前評判は大変悪かったが、一度出版された後はたちまち子供の心をつかみ、以後寺村のライフワークとなった。この作品の誕生の瞬間を、早大童話会時代から生涯の親友だった大石真は、「寺村輝夫という人が、なんと妙な作品を書いたものだ」「自分だけの鉱脈を掘り当てた作家は幸せである」と評している。どこかの国に住む、どこかの王さまが主人公。城や衣装は中世ヨーロッパ風だが昔話ではなく、テレビ、コンピューター、近代兵器なども登場する。国の中には町が2つ、村が3つある。この国にはゾウやライオンがいるが、隣の国にはいない。この作品世界の雪は雲で作られるのでなく、ヤンコ星という星で作られる。ヤンコ星にもヤンコ星の王さまがいる。作品の舞台が、お城からいきなりアフリカに飛ぶことがよくある。これは寺村がアフリカ好きであるためで、動物別ではライオンもよく出るが、ゾウのほうが出番が多い。ある話の設定が別の話には用いられないなど、その話限りの設定が用いられることが多い。エピソードにより長さが大きく異なるのも当シリーズの特徴である。本の体制によりページ数は微妙に異なるが、一番長いのは『魔法使いのチョモチョモ』で約200ページ(これだけ長い理由は後述)、一番短い話では約4ページである。また寺村は執筆中のページ数も把握しており、作品集として出す時にキチンと計算していたと言う。王さまのスケジュールは全て「朝ごはんの時間」「べんきょうの時間」など細かく割り当てられており、王さまはいつも大臣にせかされて何とか毎日を暮らしている。そのスケジュールの知らせは、ラッパによる「テレレッテ、プルルップ、トロロット、タッター」(書かれるたび微妙に異なる)。当シリーズで最も有名な文言であり、寺村も独特の擬音には凝っていると語っていた。寺村の葬式でも和歌山が悼辞で読み上げている。他に昼の鐘は「じゃらんぽ、がらんぽ、じゃらんぽ、がらんぽ」または「ごわーん、ほろんほろんほろん」、夜のチャイムは「チャーイム、チャーイム」。兵士の出動時にはサイレンも鳴る。時計台はこの国の標準時となっており、時間を確認するには電話で聞く手間が必要。時計台が壊されると時間がわからない。国民全員は7時に起きねばならず、違反すると投獄。就寝は見張りの兵士を除き8時(エピソードによっては9時もある)。時計台の中には、王さまと大臣しか知らない秘密の宝物庫があるはずだったが、後のシリーズでは王さまでも近寄ったらダメと大臣が言っていた。池があり、外を流れる川と繋がっている。「ウソとホントの宝石ばこ」「モルト星の石」では、ストーリー展開に重要なアイテムが城に入ってくる原因となった。また電話もあり、隣の国と繋がっているが、ある時は電話機自体が大臣の部屋とコックの厨房にしかなかったり、別の話では王さまの目前にあったりする。図書室もあり、何か調べるときに博士がよく使う。王さまも調べ物をしたことがある。ただし『王さまゆめのひまわり』でまた城の隣に図書館が作られた。王さまが大の玉子好きであるため、にわとり小屋もある。にわとり小屋からにわとりやヒヨコが逃げ出して王さまを追っかけたり、別に不思議な出来事も起きていないのに王さまがにわとりと会話したこともある。この他城内に動物園もあり、国民も利用可能。カッコ内は声優、および特記。シリーズの初期は順序と発行年がそろっていないものがあるが、これは長い年月をかけてシリーズがそろえられたためである(事情の一部については後述)。以後のシリーズは全て、本文中にカラーページを入れるなど、旧版よりカラフルになっている。1998年 - 1999年に、ページ数を150ページ程度に減らして収録作品を再構成した(ただし「きんのたまごが6つある」は未収録)。表題作のタイトルが不統一なのはこの理由による。一冊一エピソードシリーズ。書き下ろしと以前のシリーズからのシングルカット双方から作られている。ストーリーはさらに簡素になり、童話でなく絵本に近い。またレギュラーキャラにワン=大臣、ツー=コック、ホウ=博士(この名前は前述した「ぞうのたまごのたまごやき」から)、算数の先生=テン先生と名前がつき、チョモチョモも再登場した。第一シリーズ旧版までしか出ていなかったころ、「おしゃべりなたまごやき」「ぼくは王さまIII」以外にも、シングルカットと書き下ろし双方から作られた、絵本に近い形態の本が講談社から1971年 - 1972年に出ていた。和歌山の絵は比較的初期のため、王さまの服がガウンでなく、小学生文庫版と同じ、ズボンとタスキがけになっているのが特徴のひとつ。絶版となったが、2009年に理論社から「王さまのえほん」として再版。色とわかち書きが修正されている。2012年に理論社で刊行が開始された絵本シリーズ。いつものヒゲの大人の王さまでなく、小学校に通っており、どうみても王子様である小さな王さまが主人公。「勉強嫌いで学校にも行かない王さまが、もし学校に行ったら?」という発想が、このシリーズのヒントになった。大臣など他のレギュラーのキャラシフトはそのままだが、外見は全員変更されており、パラレルワールドと言える。1巻で懸垂式モノレールが開業したため、城から学校まではモノレール通学になっている。発表時期としては第一シリーズ新版と重なるが、キャラが違うため便宜上この位置にまとめた。その概要は漫画などと比べても複雑を極める。現版では判明している限りのバージョン違いについて、可能な限り作品発表順に挙げている。なお、寺村の死後著作権を引き継いだ長男が、次男と共にこれまでの仕事を調査しまとめる構想を表明したが、息子は著述業や出版とは関係ないサラリーマンであり、本業との兼ね合いなど生活環境の都合もあって、構想は進んでいない。各10分をDVD1枚に収録。2013年2月6日、理論社公式サイトにてテレビアニメ化が発表され、同年4月より6月までBS11にて放送された。王さまシリーズ初のテレビアニメ化。第7回以降の本編は再放送となり、7月から9月までは同時間帯でのリピート放送を行なった。第12話の翌週(6月29日放送分)は「あいうえおうさま」のうち「あ」から「ぬ」まで、リピート放送第12話の翌週(9月28日放送分)は同じく「ね」から「ん」までを一挙放送。
出典:wikipedia
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