ヘルシンキ地下鉄(ヘルシンキちかてつ、、)は、フィンランドの首都ヘルシンキの地下鉄である。フィンランドで唯一の地下鉄であり、世界で最北の地下鉄でもある。27年にわたる計画・建設ののち、1982年8月2日に開業した。ヘルシンキ市交通局(HKL) によって運営されている。一端が分岐した全長21.1kmの1路線で、17の駅がある。ヘルシンキ中心部と東部の住宅地(ヴオサーリ地区とメルンキュラ地区)とを結んでおり、あるいは都心内部の移動手段としても利用されている。交通局の統計によると、年間の利用者数は5600万人(2005年)に上る。運賃は均一で、2.5ユーロ。ヘルシンキにおいて地下鉄建設を求める動きは1955年9月に始まり、1963年3月には最初の草案が市議会に提出された。しかしその概要は全長86.5km、108駅と非常に大規模であったため、長期間の審議の末に否決され、カンッピ駅からヘルシンキ東部のプオティラ駅までの1路線だけを建設することに決定した。1969年5月7日、地下鉄建設の第1期工事の正式な認可が下り、そのうち車両基地のあるロイフペルトからヘルットニエミ駅までの試験区間は1971年に完成した。第1期の全区間は1977年の開業を予定していたが、車両の問題などによって予定より5年遅れの1982年に開業した。1982年6月1日には正式な開業を前にラッシュ時のみ開業し、8月2日にはヘルシンキ中央駅~イタケスクス駅の区間が正式に開業した。なお同区間の駅は当初は6駅だけであった。ヘルシンキ地下鉄の路線は、20年に渡って少しずつ延伸開業して今に至る。また、数十年にわたる審議によって西への延伸路線ランシメトロ(":西の地下鉄という意。エスポー市へ至る路線)の建設が進められ、ルオホラハティ〜マティンキュラ間が2016年8月15日に開業する予定であったが、2016年6月にシステムの安全面での試験が遅れていることから開業を延期、時期未定とすることが発表された。同年7月1日の時点では、2017年1月までには暫定開業できる見込みとされている。ヘルシンキ地下鉄の路線は、ヘルシンキの中心部から東部の郊外に延び、イタケスクス駅から先は二手に分岐するY字形をしており、全部で17の駅がある。路線名はつけられていない。地下鉄と名を冠してはいるものの、路線の大部分は地上区間であり、地下を走るのは都心などごく一部である。しかし地上駅でも、積雪対策などのためホームをコンクリートなどで覆っている構造のものが多い。列車はすべて各駅停車で、ルオホラハティ~イタケスクス間の場合は通常4~5分おきに運行している。メッルンマキ発着の列車とブオサーリ発着の列車はほぼ同じ本数で、交互に運行されている。駅名は、フィンランドの公用語であるフィンランド語とスウェーデン語の2言語で命名されており、車内などではその両方で放送される(フィンランドでは、地名などが2言語別々に存在する)が、英語名も付けられているラウタティエントリ駅(ヘルシンキ中央駅)は例外。 ただし、夏季は観光客向けに全区間で英語も併用される。ヘルシンキ地下鉄は、ヘルシンキ市内の公共交通機関の中核を担っており、多くのバスが地下鉄駅とその周辺地域との間で運行されている。バスから地下鉄へと乗り継がなければ都心まで行けないこともあり、たとえばラーヤサロからのバスは、日中は全てヘルットニエミ駅が終点となっている。シーリティエ駅とイタケスクス駅の間のロイフペルトには車両基地があり、整備などもここで行っている。路線の東側と西側の両方から出入りできるようになっており、車両基地に戻る際は降車用のイタケスクス駅3番ホームが使用される。運転前に車両を長時間暖めなくても済むように、通常の車庫のほかに暖房付きのエリアもある。営業路線と反対の方(北側)には、時速100キロメートルでの運転が可能な試験用の線路があり、その先は長さ5キロメートルの非電化区間を経て VR 本線のオウルンキュラ駅に接続している(軌間は双方とも1524mmを採用)。連絡線の大部分はヘルットニエミ港湾鉄道に沿うように作られており、ヴィーッキ地区では路面上を走る併用軌道となっている。途中にヴァンター川と国道4号線を渡る鉄道橋があるが、これはヨケリ・バス路線も使用している。2008年現在、ヴオサーリ新港とそこへの連絡線は、現在の地下鉄終着駅から2キロメートル離れているが、VR の港湾鉄道への新たな連絡線が完成した際には、現在の車両基地は閉鎖される予定である。連絡線のうちそれらの区間は、2016年にヨケリ線延伸のため転用される予定。ヘルシンキ地下鉄は、VRグループの近郊電車と同じく軌間1524mmの広軌を採用しているが、直流750Vの第三軌条方式である。車両はM100系とM200系の2種類がある。いずれも2両編成を基本とし、通常は4両編成か6両編成を組んで運用されるが、混結は不可能。最高速度はトンネル内で70km/h、地上部分で80km/h、ポイント通過時が35km/hまたは60km/hとなる。ヘルシンキ地下鉄の最近の変化としては、ソルナイネン駅とクロサーリ駅の間に開業したカラサタマ駅がある。この新駅は、再開発が予定されている古い港湾地域であるカラサタマ区のために建設された。またシーリティエ駅とイタケスクス駅の間にもロイフペルト駅が、計画中の住宅地のために計画されている。なお、ロイフペルトは車両基地のある場所でもある。ヘルシンキ市は西に隣接するエスポー市や、北東のヴァンター市、シポー市への延伸を計画しているが、近隣の各自治体はあまり積極的ではなく、特にエスポー市南部への延伸路線ランシメトロ(":西の地下鉄という意)は多くの議論を呼び、エスポー市の内部やヘルシンキ市との間に政治的な衝突を生むこととなった。しかし、2005年に行なわれた世論調査によると、エスポー市民の75%がランシメトロの建設を支持し、2006年9月25日にはエスポー市議会が建設を認可した。前述のとおり、ルオホラハティ〜マティンキュラ間は2016年8月15日に開業を予定されていたが、延期された。ランシメトロの他には、現在線のメッルンマキから東のシポー市方面への延伸計画であるイタメトロ(':東の地下鉄の意)や、サンタハミナから現在線のカンッピ駅、VRのパシラ駅を経由してヘルシンキ・ヴァンター国際空港、および市内北東部のヴィーッキへ至る2号線(')の建設案がある。これらの延伸案は既に市議会で議論されているが、仮に実現するとしても2020年以降になる見通しである。なお最初の路線建設の時点で、カンッピ駅には2号線のためのプラットホームの空間が掘削され用意されている。2006年5月17日にヘルシンキ市議会は、現行の運転手による手動運転から運転手なしの自動運転に置き換えると決定した。2011年に予定されているこの自動運転への移行が完了するまでは、現在のシステムのままでの延伸はないとみられている。ヘルシンキ市交通局(HKL)の2003年の統計を以下に示す。ヘルシンキ市内の交通機関の中で、ヘルシンキ地下鉄は1人・1kmあたりの運賃が最も安く、0.032ユーロ/km・人 である。次いで安いのが路面電車(ヘルシンキ・トラム)で、0.211ユーロ/km・人となる。2002年の年間の使用電力量は、2001年の32.2GWhより増加し39.8GWhであったが、これは1人・1kmあたり0.10kWhとなり、路面電車(0.19kWh/km・人)よりも省エネルギーである。
出典:wikipedia
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