初代坂口 平兵衛(さかぐち へいべえ、嘉永7年6月9日(1854年7月3日) - 昭和8年(1933年)7月31日)は日本の実業家、政治家。元貴族院議員、町会議員、郡会議長。鳥取県平民。鳥取県多額納税者。坂口合名会社・代表社員会長2代目坂口平兵衛の実父。米子・尾高町に生まれた。坂口家は藩政時代“沢屋”と称し、綿、木綿仲買業を営んでいた。米子の商家ではまず中堅クラスであった。青少年時代についてはくわしいことはわからない。同家所蔵の『歴代伝記』によると、幼にして学に志ざし、今井芳斎、高嶋倫閑、樋野含斎等の門に入り漢学を修め、長ずるに及んで家業のため大いに妨げられたが、余暇常に書をひもとき竹馬の友と遊びごとはほとんどなかったと述べている。これは数え年13のとき、父・平吉郎がある政治的事情で身に危険がせまり藩の計らいで一時閉門の形で難をさけ、その間家業はすべて平兵衛の名義で行うという事件があって、子供心に早くも一家を負うて立つ覚悟を仕込まれたためではないかと思われる。明治14年(1881年)に父は亡くなったが、すでに彼は一本立ちの商人に成長していた。明治19年(1886年)米子に県立製糸伝習所が設けられると、明治20年(1887年)家業の木綿業を廃止して、製糸場を興す。明治24年(1891年)蒸気機関を備えた米子製糸合名会社を設立。明治42年(1909年)渋沢栄一を団長とする渡米視察団の一員として製糸業界を代表して参加した。明治24年(1891年)米子汽船、明治27年(1894年)米子銀行、その後も米子倉庫、米子製鋼所、山陰電気などを次々に興し、「商都米子」の基盤を築いた。明治39年(1906年)私立米子女学校(米子西高校の前身)設立には多額の寄付をした。また昭和3年(1928年)設立された米子商蚕学校(米子南高校の前身)に15万円を寄付した。晩年には弟豊蔵を養嗣子にして事業の一端を任せ、また支配人に遠藤光徳、安部三代治等の適材を得て、多少は仕事の鬼であることを止め、茶や書画骨董にも親しんだが事業全体の統轄だけは最後まで手から放さなかった。昭和8年(1933年)、80歳で天寿を全うし、正六位をおくられた。平兵衛は企業精神がおう盛だっただけでなく、蓄財の才に長じていた。株式投資をかなり大規模にやったし、不動産投資のやり方は一そう有名である。明治10年代(1877年~1886年)不景気で、耕地の時価が地価の半値以下に下がったとき将来の値上がりを見込んで買い入れたのが最初だという。つぎには弓浜の内外の海面埋立に着手し、今も“坂口新田”という地名が残っている。こうして県下最大、米子から境港まで自分の土地をつたって行けたというほどの大地主が出来上った。坂口の性格は勃興期の産業資本家によくあるような、勤倹力行型のまじめ人間だった。「ほんとの商売人はうそをつかぬものだ」「酒好きはよいが酒呑みになってはいけない」とは彼がよく部下に語った処世訓であった。平兵衛について、元米子市長野坂寛治著『米子界隈』205-207頁によると、昭和15年(1940年)の日本海新聞に“古老に聴く弓浜半島”と題して明治初年頃の綿作について、明治23年(1890年)ごろに米子地方を中心に起きた「会見県設置運動」を主導した人物の一人でもある。幕末の元治元年(1864年)の米子地方木綿問屋37人の中には沢屋平兵衛、沢屋仁右衛門、沢屋清太郎の3人が名を連ねている。木綿御役銭御勘定帳惣合拾貫五百五拾六匁二分八厘壱貫九百七拾六匁七分五厘壱貫六百四匁 御役御心付口々〆高差紙有六百六拾三匁四分壱厘 魚屋喜右衛門百八拾九人五分四厘五役〆四貫弐百四拾四匁壱分六厘差引六貫三百拾弐匁壱分弐厘 全上納之分木屋彦助、木屋宗助、野浪屋常右衛門、岡本屋安右衛門、沢屋平兵衛、沢屋仁右衛門、沢屋清太郎、荒木屋治兵衛、砂屋源六、大谷屋伊右衛門、亀井鹿造、梅田屋治兵衛、梅田屋宗助、兵庫屋喜兵衛、勝田屋茂右衛門、糸屋伊兵衛、岩佐屋嘉右衛門、岩見屋助右衛門、蔦屋与兵衛、鳥木屋初五郎、門生屋平右衛門、菓子屋直次郎、佐藤三郎右衛門、山本屋利兵衛、山形屋利兵衛、長砂屋為次郎、浜田屋清兵衛、油谷定右衛門、泉屋嘉右衛門、保見屋与右衛門、岩倉町代吉、淀江芳右衛門、蚊屋村市右衛門、榎大谷村庄右衛門、奥谷村瀬助、上部村芳右衛門、二本木村吉太郎明治35年(1902年)2月の『鳥取県伯耆国一円地価所得税詳覧』によって、米子町を含む西伯郡の地価一万円以上の大地主をみると以下のとおりである。彼等は当時の経済的実力者で、その多くは、質屋を営み、銀行に投資し、商業に従事し、あるいは各種会社の役員を兼ねるなど多面的な経済活動をしていた。国税営業税納入者名と対照して検討すべき資料として『郡勢一斑』から見積り所得額(所得税から各税率によって換算した額)三千円以上の人々の名を掲げておく。大正4年(1915年)である。
出典:wikipedia
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