『サイボーグ・ブルース』は、平井和正のSF連作短編小説。1968年から1969年にかけてS-Fマガジンに発表され、単行本は1971年に発売された。後年、秋本シゲルによりコミック化された（徳間書店の雑誌『リュウ』に掲載）。時代は未来、世界連邦が発足していた。各国の軍隊の解体と同時に、クライム・シンジケートに凶悪犯や社会不適合者、超兵器が流出、世界の脅威は増大した。これに対処すべく、サイボーグ特捜官が誕生した。黒人警官アーネスト・ライトは、同僚に狙撃され殉職したが、サイボーグ特捜官として再生させられた。クライム・シンジケートばかりではなく、腐敗した警察機構をも憎むアーネストは、サイボーグ特捜官（警察機構の一員）である事を嫌悪し、辞職する。「魂」を持ったアンドロイドとの出会い、不可思議な「ダーク・パワー」との接触を経て、アーネストは、シンジケートと対立する。忘れようとしていた過去との対面を経て、彼はシンジケートと連邦の真実を知らされた。アーネストは、シンジケートの手に陥るが、その時、ダーク・パワーが彼を捕らえた…（未完）。※本作はアーネスト・ライトの一人称小説であるが、「暗闇への間奏曲」は三人称で書かれており、アーネスト・ライトは登場しない。『8マン』の小説化として構想されたが、設定の一部を除いて別物となった。作者は「8マンへの鎮魂歌」として本作を執筆したと言う（星新一の解説による）。本作は一人称小説である。この後、『アダルト・ウルフガイ』シリーズや、『8マン 魔人コズマ篇最終回』も一人称で書かれている。平井によれば、「生身の体で人間と交われる犬神明は、8マンの憧れ」である。本作には、高性能のアンドロイド（超A級、特A級）が4体登場する。以上4体の内、特A級は、アンドロイドだとすぐに見抜かれたが、超A級は見抜けなかった（ただし、アーネストが出会った超A級は、2体目のみ）。「超A級」は、外見や能力・行動からは見抜けないぐらい精巧にできている。3体目の超A級アンドロイドによると、アメリカでは、「人間そっくりのアンドロイド」は非合法、との事である。以上を踏まえると、「人間そっくり」のサイボーグ特捜官（殺し屋サイボーグ）も可能なはずである。しかし、彼らの最大の武器が「加速性能」である事を考えると、彼らの強固なボディは「加速に耐えるため」であり、その特性上「暖かいボディ」を与えられていないのだと思われる。

出典:wikipedia