バルデス半島はアルゼンチンのチュブ州にある半島で、大西洋に面し、カルロス・アメギノ地峡で南アメリカ大陸本土とつながっている。特色ある動物相で知られる、長方形にも見える形をした半島である。面積は約3625km²であり、かなりの部分がユネスコの世界遺産に登録されている。最寄の街はプエルト・マドリン()である。半島の北部にはサン・マティアス湾が、南部にはヌエボ湾がそれぞれあり、この二つが半島の主要な湾である。東側にはより小さい入り江であるバルデス湾もある。半島には塩湖が複数あり、しかもその最大のものは海抜よりも40mも低い。これは、南アメリカ大陸の陸地では屈指の低さである。一帯の気候は冷涼である。また、アンデス山脈にさえぎられていることから雨が少なく、乾燥している。その一方で、この半島は海から様々な恩恵を受けており、後述するような動物相の形成にも影響している。歴史的には、この地域で暮らしてきたのはテウェルチェ人である。そのことは、彼らが加工して使っていた鏃が穿った点穴を至る所で見られることからも明らかである。気候の特色に加え、塩湖が多い地形のせいで植生はまばらであるが、それらの植物が、パタゴニア地方に特有の豊かとはいえない動物相、つまりはパタゴニアウサギ()、グアナコ、チコハイイロギツネ()、スカンクなどを育んでいる。これに対し、海岸で暮らす海棲動物の種類は、多様でかつ豊かである。そのため、チュブ州は一帯の陸地、空域、周辺3海里の海域を「バルデス半島自然保護区」(Área Natural Protegida Península Valdés)として保護している。一見すると環境は不毛で陰鬱なようであるが、海岸線は多くの動物たちをひきつけており、それが観光客のみでなく専門家たちも驚嘆させてやまない優れた生態系を作り上げているのである。鳥類も多く飛来し、66種の渡り鳥を含む181種の鳥類が確認されている。保護計画のおかげで、ミナミセミクジラの生息数もゆっくりとではあるが回復傾向にあることが確認されている。ヌエボ湾とサン・ホセ湾には5月から12月に訪れ、外洋よりも静穏で暖かい湾内で生殖行為や出産を行うのである。その時期に、メスの鯨に気に入ってもらおうとして、オスたちが繰り広げる求愛のパレードを見ることが出来るので、ホエールウォッチングは重要な観光事業のひとつになっている。ここバルデス半島は、捕鯨により激減したミナミセミクジラの回復がいち早く知られ、現在に至るまで最も重要な繁殖地の一つとなっている。バルデス半島では他にも、ミナミゾウアザラシ、ハレムを形成するオタリア、ペンギン、ダーウィンレア(レアの一種)、鵜、ミナミオオセグロカモメなども見られる。セミクジラ以外にも鯨類は見られ、ハラジロイルカやイロワケイルカ、ラプラタカワイルカなどをはじめとした貴重な小型種、さらには世界でもここのみで確認されている、砂浜に突進、乗り上げてオタリアを捕食するシャチの個体群などが知られている。バルデス半島は、ミナミセミクジラやミナミゾウアザラシの重要な繁殖地となっていることなど、特にその海岸や沿岸部の動物相の豊かさや重要性が評価され、1999年に自然遺産として登録された。IUCNによる登録物件のカテゴリーの内訳は、次の通りである。
出典:wikipedia
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