『血の収穫』(『赤い収穫』)(ちのしゅうかく、"Red Harvest")は、ダシール・ハメット作の1929年の探偵小説、ハードボイルド小説、アクション小説。サム・スペードと並ぶ有名な探偵コンチネンタル・オプものの最初の長編であり、ハメットにとっても処女長編である。血のふきすさぶ壮絶なバイオレンス小説として、また黒澤明監督の時代劇映画『用心棒』の下案となったことでも有名。コンティネンタル探偵社サンフランシスコ支局員のコンチネンタル・オプ(本名は作中語られず不明である)が、とある鉱山町「パースンヴィル」俗称“ポイズンヴィル”にはこびる暴力に対し、毒をもって毒を制すのやり方で、それらを粉砕していく。オプの一人称で語られる。ハメットの得意とする叙情を排した乾いたスピーディな文体で物語は進められる。荒っぽいがリアルで味のある会話や人物描写は、探偵小説にリアリズムを持ち込んだものとも評され、ハードボイルド探偵小説の嚆矢として、多くの作家たちに影響を与えた。大藪春彦もこの長編を愛読、オマージュを込めた『血の罠』『血の挑戦』ほか多くの“血シリーズ”を著している。「俺(訳によっては私、名前は不明)」こと探偵会社コンチネンタルのオプ(探偵員)は、鉱山会社社長の息子ドン・ウィルソンの依頼を受け、鉱山町パースンヴィルにやってきた。パースンヴィルは、ドンの父で鉱山会社の社長エリヒュー老が労働争議を抑えるために雇ったマフィアが町に居つき、これに対抗する警察までマフィアのようになってしまいポイゾンヴィル(毒の村)の異名をとるほど荒れ果てている。オプが着いたその日にドンが街中で射殺され、寝たきりのエリヒュー老は、これを機にこの町のマフィアの一掃をオプに頼む。引き受けたオプはドンを殺したのが銀行の出納係アルベリーであることを突き止め自首させた。アルベリーは人気娼婦ダイナ・ブランドを金でものにしようとしたドンを妬み殺したのだった。マフィアのボス、ホイスパーはボクシングの八百長情報をオプに教え、その儲けを土産にオプを町から追い出そうとするが、オプはボクサーを脅して八百長を覆させ、ホイスパーは大損、オプが情報を教えていたダイナが大儲けをし、オプはダイナを味方につける。町の男たちをたぶらかしてきたダイナはオプにいろいろな情報をもたらすが、ホイスパーに買収され、オプとホイスパー一味は銃撃戦になる。オプはダイナを言い値で裏切らせ、ホイスパーは逮捕されるが、すぐ脱獄し、警察(ヌーナン一派)とホイスパー一家の銃撃戦が町のあちこちで始まる。警察署長ヌーナンは2年前自殺した弟が実はホイスパーに殺されたことを知って我慢ならなかったが、やがて皆がエリヒュー老の元に集まり講和しようとする。しかしその場でヌーナンの弟を殺したのはホイスパーでなく、当時の警官であることをオプがばらしたため講和どころか全面抗争が決定的となる。ヌーナンが射殺され、ダイナも殺される。オプの蒔いたタネにより、策謀、直情、勘違いの殺し合いで次々と死体の山が築かれていく中、ホイスパーもオプが味方のふりをして利用したレノと相打ちになり、町の悪はついに一掃される。『荒野の用心棒』は時代劇である『用心棒』を西部劇に置き換えた話である。『荒野の用心棒』が公開された際、制作陣が黒澤に許可を得ていなかったため、『用心棒』制作会社はレオーネ側を著作権侵害で告訴し、勝訴した(詳細は 荒野の用心棒#黒澤明の『用心棒』 を参照)。また、『用心棒』の公式なリメイク作品『ラストマン・スタンディング』ではギャング映画になっている。『ニッポン無責任時代』は、「主人公が社内の派閥の両方を行ったり来たりするのも、ハメットの『血の収穫』をイメージしていた」と脚本家の田波靖男は語っている。
出典:wikipedia
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