PAK FA(パクファ)は、ロシアの第5世代ジェット戦闘機開発計画である。これは(ロシア語:)の略称で、日本語に訳すと戦術航空機先進航空複合体という意味になる。試作機の設計名称はT-50であるが、韓国の練習機T-50と区別するため、当機も "PAK FA" と呼ばれることが多い。 ロシア空軍で旧式化しつつあるMiG-29やSu-27の代替となる戦闘機を開発するものである。以前の計画にはI-90計画(MFI、LFI、LFS)が存在したが、本計画はこれに替わるものである。ロシアがPAK FAの研究を開始したのは1998年で、ミコヤン、スホーイの設計局がデザイン案を提出し、競合の末2002年4月26日にスホーイ案が採用された。1.27案を提出したものの不採用になったミコヤンと、開発パートナーに指名されたヤコヴレフは製造の15%を受け持つのみとなった。翌年の2003年にスホーイはロシア政府と試作機の設計、製造、試験の契約を締結、開発機の名称はI-21、あるいはスホーイ内部の設計名称でT-50と呼ばれ、アメリカ軍のF-22やF-35の実用化に対抗すべく、2009年の初飛行を予定していた。しかし実際の試験は若干遅れ、無事に初飛行を達成したのは2010年1月29日であった。本項では主にT-50について解説する。PAK FAでは、スホーイ社がロシア空軍用として双発ジェット戦闘機を開発中であり、同社は試作機としてT-50を用意した。PAK FAは世界的に見ても数少ないステルスジェット機開発計画のひとつである。PAK FAの意図は、ロシア連邦が装備中の旧式化したMiG-29やSu-27の後継機を作ることであるが、他にインドで開発中のHAL FGFAの基礎として用いることも意図している。T-50の試作機は、2010年1月29日に初飛行を果たした。また、2010年8月31日までに総計17回の飛行を行い、11月中旬までには40回となった。第2のT-50機は、2010年内に飛行試験を開始することとされていたが、しかしこれは2011年3月まで遅延した。2010年6月にはプーチン首相(当時)がT-50を2016年に配備することを発表している。ロシア国防省は、2012年以後、最初に10機の審査用機体を購入し、それから2016年以後には60機の量産された標準型機体を調達する予定である。最初の生産バッチでは現行の技術で作られたAL-41F1エンジンが搭載される。PAK FAで開発された機体は、運用年数を30年から35年程度と予想されている。ヴィクトル・ボンダレフ中将によれば、2015年-2016年初めに量産体制に入り、ロシア空軍の戦闘機部隊に配備されるとしている。1980年代後期のソビエト連邦は、自軍が一線で運用しているMiG-29およびSu-27を代替するため、必要とされる次世代航空機の概要を描いた。この必要性に適合する2種類の計画が提起された。スホーイ社のSu-47とミコヤンの1.44計画である。2002年、スホーイ社が新型戦闘機の設計を主導するために選ばれた。テクノコンプレックス科学生産センター、ラメンスコエ機器製造設計局、チホミロフ科学調査研究所、(在エカテリンブルク)、ポレト社(在ニジニ・ノヴゴロド)と中央科学調査無線技術研究所(在モスクワ)は、第五世代航空機に使用されるアビオニクス機器開発のため、2003年初頭に行われた比較審査で選ばれた企業だった。また、サトゥールン科学製造合同は、エンジン開発を主導的に担当する契約企業だった。(NAPO)はYu.A.ガガーリン記念コムソモーリスク・ナ・アムーレ航空機工場(KnAAZ)と共に機体の製造を実施し、最終組み立てはKnAAZの所在するコムソモリスク・ナ・アムーレでも行われる。企業のジェネラルディレクターを務めるフョードル・ジダーノフは、2007年3月6日にNAPOを訪問した時、ノヴォシビルスク州知事ビクトル・トロコンスキーに報告を行った。2007年8月8日、ロシア空軍総司令官アレクサンドル・ゼーリンの言及がロシアの報道員に引用された。これは、PAK FAプログラムの開発進捗度が完成に達し、飛行試験用の最初の機体が組立てに入るとの内容だった。ゼーリンはまた、2009年には3機の第5世代航空機が準備されるであろうことにも言及した。「これら全ての機体は現在テストを受けており、多少準備が整っている」と彼は述べた。2009年中頃には、この設計内容が承認を受けた。T-50の初飛行は、この機体が明確にされない技術的な問題に遭遇したことにより、2007年初期から幾度も延期された。2009年8月まで、アレクサンデル・ゼーリン総司令官は、エンジンの問題と技術開発が未解決のままになっているという事実を認めていた。2009年2月28日、スホーイ社社長であるミハイル・ポゴシャンは、本機に用いられる機体部分が既に完成していること、最初の試作機が2009年8月に準備完了の予定であることを発表した。2009年8月20日、ポゴシャンは年末までに初飛行が実施されると述べた。モスクワに所在する戦略技術分析センターの副長を務めるコンスタンチン・マキエンコは、「遅れても」おそらく本機は1月か2月までには初飛行を実施するだろうと述べた。また、商業的な量産には5年から10年がかかるとも付け加えた。2009年12月8日、セルゲイ・イワノフ副首相の発表では第5世代航空機の初試験が2010年から始まるとされた。初の滑走試験は2009年12月24日に正常に終了した。ロシア連邦英雄の称号を受賞した飛行士の操縦により、2010年1月29日、第1試作機の47分の初飛行が行われた。場所は極東ロシアのハバロフスク地方、KnAAPOが所有するドゼムギ飛行場である。第2試作機の当初の計画では、2010年度第四半期に飛行試験に参加する予定だったものの、これは延期された。2011年3月3日、第2試作機が44分の試験飛行に成功したことが報告された。これら2機の試作機はレーダーと兵装制御システムが非搭載だった。第3および第4試作機は2011年に試験に加えられており、これらは完全な機能実証機である。2011年3月14日、シベリアのコムソモリスク・ナ・アムーレ近郊に設定された試験区域において、試作機が超音速飛行を達成した。T-50は、2011年のMAKSエアショーで初めて公開展示された。ロシア首相であるウラジーミル・プーチンはこの催しに出席している。2011年6月、PAK FAが飛行試験中に様々な曲技飛行を行う様子を写した、認可を受けていないビデオが作成された。2011年11月3日、PAK FAプログラムは100回目の飛行を達成した。続いての9か月で20回以上の試験飛行が実施された。2011年3月9日、1号機が超音速飛行を行った。2011年8月21日、T-50-2がMAKSエアショーにおいてエンジンがサージングを起こし、離陸滑走中に右舷エンジンから2回にわたって火が出て離陸を中止するという事態が起こった。2011年11月3日、飛行回数が通算100回に達した。2011年11月22日、第3試作機がコムソモリスク・ナ・アムーレに設けられたKnAAZの飛行場から初飛行を行った。第3試作機は空中で1時間以上を過ごし、基本的な安定性と動力系統のチェックを受けた。この機が他の試作機と異なる点はピトー管の欠如である。第3試作機(T-50-3)は、AESAレーダーを搭載して飛行した最初の試作機だった。空中でのレーダー切り替えは2012年7月24日に実施され、既存のレーダーに匹敵する性能を示した。2012年6月、PAK FAの試験のためアストラハン州のアクチュビンスクに所在する第929国家飛行試験局で近代化された試験設備と新しい滑走路の建設が進められた。2012年8月3日、Il-78との空中給油プローブ接続試験が実施された。2012年12月12日、第4試作機が初飛行を実施した。そして1か月後、モスクワ近郊の試験において他の3機の機体と合流した。2013年3月、最初の機体が2年間の公式な審査のために配備される予定であるということが公表された。第5試作機が2013年10月27日コムソモリスク・ナ・アムーレにて初飛行を実施した。2014年2月21日、国家試験のためロシア空軍に引渡しが行われた。2014年5月20日、第3試作機及び第4試作機がKh-31、R-77、R-73などの模擬ミサイルを搭載し、編隊による飛行試験を行った。2014年6月10日、第5試作機が着陸後機体右側のエンジンから出火した。スホーイはこの事故による計画への影響はないとしているが、原因究明のため調査委員会を設置すると発表した。2014年8月14日、飛行回数が通算500回を超えた。2015年5月28日、状態テストが最終段階に入ったことが報じられた。開発にあたり2015年2月現在9機の試作機が製造されている。2015年中に新たに3機の試作機が飛行試験に加わる予定で、部隊受領は2016年末から2017年初頭に予定されている。これらの機体は機体製造に使われる治具が変更されたことから、構造の強化が施されたと推測されており、尾翼や外翼パネルの形状が変更されているとの情報もある。今後全14機の試作機が飛行する予定となっている。PAK FA計画に関する大部分の情報は機密扱いであるものの、ロシア空軍と国防省の関係者によれば、この計画がステルス技術を特徴とすること、スーパークルーズ能力の付与を公然と述べており、アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーと人工知能システム等の先進の航空電子工学を導入するとしている。また、Su-47と1.44の技術を取り入れていると言われている。機体形状には、機体からも揚力を発生するブレンデッドウィングボディが採用されており、エアインテークの前方にLEVCON(Leading Edge Vortex CONtroller:前縁渦流制御装置)と呼ばれる可動LERXが設けられているといった特色が目立つ。PAK FAの初飛行を撮影したビデオからは、この機体が従来型の操縦舵を持たないことが示される。垂直尾翼は全遊動式である。この特別な尾翼の設計は、1990年代にノースロップYF-23により用いられたV字型尾翼と機械的な類似があるものの、F-22に装備されるような、専用の水平尾翼によって補助されている。この垂直尾翼は、短い固定式パイロンの上につけられており、パイロン内部に作動装置を入れ垂直尾翼用の旋回軸のベアリングアームを長く確保することで荷重を減らし、ベアリングと機体構造を軽量化している。なお、この垂直尾翼は小さく超音速域の飛行方向安定性に欠けるためアクティブ制御を用いており、縦揺れを最小限におさえつつ抗力を増す際に対称的に可動する。また、同機の垂直尾翼は左右に動かすことでエアブレーキの代わりともなる。これらを制御する操縦システムとしては、KSU-50デジタル・フライ・バイ・ワイヤが採用されている。ジェットエンジンの吸入口以上に設けられた特徴的なLEVCONは、失速後の高迎え角など推力偏向機構が作動しない場合の機体制御回復を担っており、機動性にも貢献している。一方でこれにより探知源の制御に難問が生まれる可能性もある。エアインテークは、曲がってはいるがエンジンファン全体を隠すほどではないためエンジンファン前方にレーダー・ブロッカーを装備する。エアインテーク内には電波を減衰させるため電波吸収体が塗装されており、エアインテーク内で反射させた電波を最終的にレーダー・ブロッカーで吸収させる構造を採用している。これによりRCSを60%削減したとされる。なお、S字ダクトについては特許に含まれていたものの装備はされなかった。また、超音速時のエンジン効率向上のため各ダクトに開閉口とを備えており、超音速飛行時にショックパターンが複数発生することよりマッハ2での飛行が効率よく行えるとされていている。そのほか、荒れた飛行場に着陸の際の (Foreign Object Damage:エンジンの異物吸入による損傷) を防ぐため、Su-27等と同様に貝形・網状の異物進入防止スクリーンと分離スロットが備えられている。複合材料は広範にT-50に採用されており、全重の25%を占め、また、外皮面積のほぼ70%を構成する。機体胴体部分に含まれるチタン合金の量は75%であると推算される。特に最新の炭素系複合材料を機体に使用したことにより、従来の素材を使用した場合と比べて4分の1の軽量化を達成している。この複合材料は同等のアルミニウムやチタンの半分以下の重量で、スチールよりも20-25%以上軽量とされている。PAK FAの目標最高速度はマッハ2程度であると考えられている。元々の目標値はマッハ2.35であったが、現在は減少しマッハ2.1が最高速度となり、同時期に開発されていたSu-35の最高速度マッハ2.25に比べて遅くなっている。速度低下の主な理由は、前述の通り機体の一次構造により多くの複合材料を使用したためであるとされている。ステルス機である本機はレーダー反射を抑えるためF-22などと同様に各翼面のエッジの角度を揃え、垂直尾翼を傾けるといった構造を採用しており、エアインテークへのレーダーブロッカー搭載、機体フレーム間の隙間への導電性シーラントの充填、各種開口部のXバンドレーダーの波長の4分の1以下の小さい網目の格子でのカバー、電波選択式レドーム、レーダー波吸収材料・塗料の採用なども行っている。ロシア側の情報によれば、PAK FA計画の機体にはF-22のような超低観測性(VLO)ステルス能力の欠如が示されている。その替わりレーダー、光学、赤外線に対する低観測性を得るため、複合材料や空力学的形状、エンジンから発生する探知源の減少処理によって観測性を低減している。これはエンジン・ナセルの間にある、胴体部中央に直列で2箇所設けられたウェポンベイによっても示されている。モスコフスキー・コムソモーレツの記事の報告では、T-50がF-22戦闘機よりステルス性能を低くする対価を払った上で、F-22よりも機動性を持たせて設計されていたと報告した。そうした機能を持つ設計要素の1つには前述のLEVCONがある。RCS値については、公開された特許情報によれば機体平均で0.1-1mとなっている。PAK FAの設計主務を務めるアレキサンダー・ダヴィデンコはRCSについて「F-22のRCSは0.4-0.3mで、PAK FAはこれを超えないものの非常に近い」 と述べている。また、「ロシア・トゥデイ」は、PAK FAはレーダーにテニスボール大にしか映らないと報道している(F-22はゴルフボール大とされている)。コックピットはヘッドアップディスプレイがロモが開発した大型のSHKS-5(コリメータ式、視野角20 X 30)に代わった以外はSu-35と同じ機材で構成される。操縦桿、スロットルレバーにはHOTAS概念が導入されユーザーフレンドリーな設計となっている。また、新たに開発されたNSCI-V(露:НСЦИ-В)ヘルメットマウントディスプレイの運用も可能である。NSCI-Vは、ZSh-10ヘルメットにより運用されるHMDであり、オフボアサイト照準能力の他、HUDと同様の情報や夜間飛行の際に両脇に装備した暗視スコープの映像をバイザーに投影して見ることが出来る。また、視界不良の状態での操縦支援機能も持つ。装置には発光ダイオードが多数付けられており、これでパイロットの頭の動きを感知する。炭素繊維複合材の使用により重量は2kg未満に抑えられている。射出座席としてはNPP ズヴェズダ製のK-36D-5を搭載している。SOZhE-50生命維持装置、PPK-7またはVKK-17耐Gスーツ、加圧呼吸装置によりパイロットは従来機では数秒しか行うことができなかった9G機動を30秒間行うことが可能となった。また、大気中の酸素を回収してパイロットに供給するタイプの新型のKS-50酸素供給装置を搭載し、軽量化しつつ時間の制約なく活動することが可能となった。同システムはロシア製軍用機としては初めてYak-130に搭載され、MiG-29Kやにも搭載されている。長距離飛行が多い近年の軍用機で重要な課題となっている生理的問題の解決のため、1990年代初めにMiG-31M用に開発されたRV-1サバイバルキットの改良型が搭載されている。これは通常の綿パンツに排尿パイプ、吸引装置、タンク、機外放出装置などで構成されており、着用したまま用を足すとパイプから排出される仕組みになっている。ロシア空軍では1990年代にRV-1とパイロット用おむつ(10時間以上の使用が可能)の比較を行ったが、RV-1の方が快適であり、マッハ2の飛行でも問題なく使用できる事が明らかになったとされる。これは、10-12時間以上の長時間の飛行の際にパイロットの助けとなる。キャノピーは金属フレームを使用した分割式で石英ガラスを採用している。石英ガラスが採用されたのは西側の制裁によってポリカーボネートが出来なくなったことによる。石英ガラスは高い透明性と耐熱性を持つが、キャノピーとして使用するには強度が弱いという弱点があった。ロシアはこの問題に対処するため工業ガラス科学研究所(NITS)が開発した表面硬化技術によって内部構造を変更し合金鋼の倍以上の強度を確保しており、時速960kmで1.8kgの鳥が衝突しても耐えることができる。ステルス性確保のためキャノピー内部には金とスズ、インジウムからなるRAMが蒸着コーティングされており、これでコックピット内部へのレーダー波の進入を防いでいる。このRAMはNPP テチノロギアによって開発されたものでレーダー波を30%、高高度飛行中の放射線を40%減少させる効果がありこれで従来よりレーダー反射を250倍減少させられたという。コーティング1層あたりの厚さは20nmで全体の厚さは90nmであり耐摩耗性も高いとされる。このコーティングはMiG-29K、Su-34のキャノピーにも適応されている。また、RCS増加の原因となる可能性のあるキャノピーの金属フレームについては表面にRAMを施しフレームの間に導電性シーラントを充填することで対応している。キャノピー形状は試作機によって違い2号機、4号機、5号機には無いものの1号機と3号機にはキャノピー上部に縦枠が存在する。固定武装としては、GSh-30-1(9A-4071K)の近代化型9A1-4071Kを右LEVCOM近くに1門装備する。9A1-4071Kは任意のモードですべての弾薬容量を使い果たすことができるもので、実際に装備してのテストは2015年に計画されている。エアインテーク間に設けられた2箇所のウェポンベイは、長さ4.6mから4.7m、幅1mから1.1mと推定されており、複数の空対地ミサイル、空対艦ミサイルを搭載できるとされる。補助として翼根に配された、膨らみが付いた三角形の部位にも"クイックベイ"と呼ばれるウェポンベイが設けられている。兵装の内装化は、航空機のステルス性を維持し空力抵抗を削減して外部搭載に比べてパフォーマンスを向上する。また、T-50の高い巡航速度が従来機に比べて武器の有効性が増加すると予想される。ヴィーンペルではそれぞれ300kgの負荷に対応したUVKU-50Lと700kgの負荷に対応したUVKU-50Uの2種類のランチャーを開発している。一方、既存のミサイルだとウェポンベイからはみ出るサイズも多いため、T-50用の内部搭載ミサイルを2017年までに6種類、2020年までに更に6種類、計12種類開発する予定。開発予定の内部搭載ミサイル4種類については、2015年8月の時点で既に開発済みで、現在実証試験が進んでいる。外部搭載ミサイルは他の飛行機で試験を行っているが、例えばKh-58UShKE対レーダーミサイルなどのT-50の内部搭載ミサイルに関しては、直接T-50で試験を行っている。開発が完了する2017年までは既存の兵装を使うため、武装は外装となる予定。空対空戦闘時には4発のK-77MまたはK-77ME中距離空対空ミサイルまたはIzdeliye 810長距離空対空ミサイルを装備できる。空対地及び空対艦戦闘時には、これに代えて4発の空対地ミサイル、Kh-58UShKE対レーダーミサイル、Kh-35U対艦ミサイル、250-500Kgまでの精密誘導爆弾を搭載できる。いずれの場合も2発のR-74M2またはK-MD短距離空対空ミサイルを搭載可能。隠密性より兵器の搭載能力が優先される場合には、機外に4か所あるハードポイントにパイロンを装着し、空対空ミサイルや空対地ミサイル、ロケット弾、爆弾を搭載できる。ウェポンベイに搭載できない兵装、例えばKS-172や1,500kgの誘導爆弾などもここに装備される。PAK FAのアビオニクスは、標準的な1つのハードウェア上に、複数の機能を統合し、システムを構築する統合モジュラーアビオニクス(IMA)となっており、これを採用することで、設計・開発効率が向上するだけでなく、従来の連携型システムで課題だった、重量、スペース、消費電力、コストの低減を実現している。また、モジュール方式のため、将来実現される技術の発展に伴って容易に搭載機器の性能向上が行えるようになっている。これらの機材を動作させるため、従来のロシア機のものと比べての2倍強力かつ1.5倍軽量のSPTSU-7.5電力供給システムが採用された。PAK FAのセンサーはSh121多機能統合型ラジオ電子システム(MIRES)と101KSアトール電子光学スイートで構成され、Sh121はN036「ベルカ」アクティブ式電子走査アレイレーダーと L402 ヒマラヤ電子戦スイートで構成されている。アビオニクスの中核となるレーダーにはN036ベルカレーダー複合体が採用されており、機首に搭載されるN036-1-01、機首側面部に搭載されるN036B-1-01B、主翼前縁外翼部に搭載されるN036L-1-01で構成されている。機首に搭載されるN036-1-01についてはRCSが400km先の8目標と同時交戦中に空対空で30目標、空対地で4目標の同時捕捉が可能とされる。LバンドのN036L-1-01については通常はN036Shポコソニク敵味方識別装置として機能するが、Xバンドに対してのみ最適化されたステルス機に対するレーダーとして機能する。ただし、LバンドレーダーはXバンドに比べ長距離での識別能力が劣ると言われている。PAK FAではこれらのレーダーを併用させることで±135度の範囲で目標を検知することができる。将来的にはポッド式でKaバンド(ミリ波)アンテナを装備させる計画もある。これらのレーダーはN036UVSコンピューター及びプロセッサにより制御される。2012年、(NIIP)において、AESAレーダー機器開発のための試験が第3試作機を用いて開始された。また、2018年までに技術を使用した先進ラジオ光学フェーズドアレイレーダー(ROFAR)を開発・装備させる計画もある。RAFARはレーザーを使用したレーダーの一種で解像度が従来のレーダーと比べて10倍に増加し、数100km先の詳細な3D画像を作り出すことができるとされている。航空機なら500kmの距離から探知できかつ空港にいる人間が50m先の航空機を観察するように見えるとされる。加えて400km離れたところから、人の存在やその人物の顔の見分けることができる。またRAFARは特性上電波を用いたジャミングが物理的に不可能という利点も持つ。RAFARは非常に効率的であり、発熱量が数分の1であることから強力な冷却装置の搭載が必要なく重量は半分以下に減少するとされている。レーダーのほかには、101KSアトール電子光学スイートを装備する。この装備は、コックピット右前方に装備された101KS-VIRST、コックピット後方と機首下に装備された101KS-O赤外線妨害装置、コックピット下とテイルコーン上に設置された101KS-U/02とコックピット左右に装備された101KS-U/01ミサイル警報装置、クイックベイ先端部に搭載される101KS-Pで構成されている。IRSTに関しては同時に複数の目標を捕捉、追尾可能である。101KS-Oはレーザーを使用して光波ホーミング誘導のミサイルに対し妨害を行なうものである。また、このシステムの中には101KS-Nが含まれている。このポッドはPAK FA用に開発されたものでステルス性を要求されない状況下での地上攻撃に使用される。なおアトールの中でIRSTについては飛び出ておりステルス性への影響が指摘されることもあるが、後面にRAMを使用し運用時のみ回転させて前面にあるセンサータレットを露出させることで対処されている。通信機材として、ポレト社が開発したS-111通信システムを搭載する。S-111はソフトウェア無線を採用しており、ソフトの書き換えによりハードウェアの変更なしに機能の追加などを行える。また、データリンクを介して同端末を搭載している友軍機と最大34.3Mbpsの速度でリアルタイムに映像や音声などの情報共有が可能である。このS-111搭載のため、PAK FAでは"Aist-50"と呼ばれるアンテナシステムが採用されており、コンフォーマル式にアンテナを装備することで、外に飛び出すアンテナの数を減らし空気抵抗やRCSを減少させている。同システムは、モジュラー方式で開発されているため多くのプラットフォームに対応しており今後、他の戦闘機やヘリコプター、輸送機、無人航空機などにも搭載される予定である。S-111の最後のテストは、2015年に予定されており、その後、連続生産を開始する予定である。電子妨害(ECM)装置としては、KNIRTI研究所により開発されたL402ヒマラヤ電子戦スイートを搭載する。L402は、機体各部に搭載されたAESAレーダーと自身の妨害アンテナ(ひとつはテイルコーンに装備)の両方を使用した強力な電子攻撃をかけることが可能である。これにより、妨害抵抗を増大させるだけでなく、航空機の生存性を向上させ、敵の航空機で使用されるステルス技術を中和することができる。このシステムは、2014年より航空機に搭載されている。PAK FAの特徴として人工知能システムの搭載があげられる。これは"e-パイロット"と呼ばれるもので、得られた情報を自動で分析しパイロットに取るべきいくつかの行動指針を提示することで負担を大きく軽減する事が可能である。無線航法装置として、GPS/GLONASS統合型のものに加えSu-35が装備していたBINS-SP2のアップグレード型であるBINS-SP2Mレーザジャイロ式慣性航法装置を搭載する。PAK FAの初飛行では、Su-35に搭載されたものと同じ従来型のAL-41F1S(117S)エンジンが2基使用されると予想された。しかし、新型エンジンである「AL-41F1(117)」が初飛行で駆動した。スホーイ社の社長であるミハイル・ポゴシャンは、「117」はPAK FAのために特別に製造された新型第5世代エンジンであると述べ、旧型エンジンを使用するという主張が誤っていることを明確にした。AL-41F1はドライで93.1kN、アフターバーナーを使用した状態で147kNを発生可能で、空虚重量が1,420kg、推力重量比は10.5対1である。これにより、機体はスーパークルーズ能力を発揮することができ、アフターバーナーを使うことなく超音速飛行速の速度を維持することが可能となった。また、AL-41F1はデジタル制御システム(FADEC)を特徴とし、操縦性など飛行モードを補助する複雑な自動システムを持つ。ノズルは推力偏向式でそれぞれ左右に16度、上下に20度ずつ可動し、高い空中機動性を発揮するともいわれる。この2基のエンジンは赤外線およびRCSの低減処置を導入しているとされる。ミハイル・ポゴシャンは、このエンジンはロシア空軍の要望を満たすもので、初期の量産型機に装備されるだろうと述べた。このエンジンは2011年8月21日に開催されたMAKSエアショーにおいてサージングを起こした。その後の調査で、サージングの原因はセンサーが誤動作して飛行制御系へ誤ったデータが流れためであることが判明したためセンサーの交換が実施されたが、2014年6月には、右エンジンより出火するという事故を起こし、インド空軍がエンジンの信頼性と性能についての懸念を表明した。PAK FAの2期生産型に搭載するためにIzdeliye 30とよばれる新型エンジンが開発中である。情報ではこのエンジンは高圧圧縮機5段、低圧圧縮機3段、高圧タービン1段、低圧タービン1段で構成され、タービン直前温度は2,100K、既存の系列のエンジンとは全く異なる新設計エンジンとされるが最小限の変更で搭載できるとされている。推力は巡航モードで約107kN、アフターバーナー全開のモードでは176kN。 ライフサイクルコストはAL-41F1Sと比較してを30%、重量はAL-41F1と比較して30%軽減され、効率は15-18%向上したとされる。部品点数の減少により整備性も高められているとされる。また、サトゥールンのゼネラルデザイナーであるユーリ・スモーティンは新しいエンジンはフラットノズルであるべきだと発言している。この新型エンジンの開発は当初の予定より前倒しされ、フルスケール版の開発は2011年から始められた。2013年にはエンジンの設計が完了、2014年にはベンチテスト、2015年にはリグテストが実施されている。最初のテストエンジンは2016年に完成予定で、2017年にはIL-76LLテストベッド機において試験を開始、2018年には実際にPAK FAに搭載しての飛行テストを実施予定である。開発完了および量産開始は2020年からとなる見込みである。なお、飛行テストに関しては当初2017年に実施予定であったが、2015年11月に2018年に延期することが発表された。インドとロシアが共同で完成させるFGFAは、複座式の機体であり、ステルス機能、スーパークルーズ能力、センサー機器、ネットワーク能力、戦闘用の航空電子装備など43箇所の改良が行われる。PAK FAの艦載型の計画が存在することをロシア海軍総司令官代理のヴィクトール・ブルスク少将が明かしている。同機は将来建造されるロシア空母に配備される予定である。新しい海軍用航空機の選定にあたり、スホーイ、ミコヤン、ヤコブレフ設計局間の競争が生じると見られる。アレクセイ・フェドロフは以下のように述べている。F-35と比較されるようなより小型の戦闘機を生産するにあたり、これに第五世代のテクノロジーを投入するという判断は全て、決定について待たなければならない。これはT-50をベースとした大型戦闘機が完成されるまでとされている。PAK FAの輸出における主な長所は、他の第5世代ジェット戦闘機よりも比較的安価な点である。ただし、以前の第4世代ジェット戦闘機よりはかなり高額なものとなっている。この「輸出版」はスホーイ社のHAL FGFAと呼ばれるものの可能性があり、このFGFAはT-50を設計の基礎に置いて開発された「主力輸出バージョン」となる。この輸出型の生産は2020年より実施することを予定している。ロシアの世界武器貿易分析センターはPAK FAが2025年には輸出できると予測してたが、2015年にロスボロネクスポルトのセルゲイ・コルネフは「近い将来にPAK FAは輸出される事は無い」と発言した。統一航空機製造会社社長のミハイル・ポシャンは2011年にPAK FAの潜在市場規模は600機程度と発言している。2016年2月19日ジェーン・ディフェンス・ウィークリーは、シンガポール・エアショーにおいてロッキード・マーティン社の関係者が次世代戦闘機の条件はステルス形状の機体外観だけではないと述べたことからPAK FAは名ばかりの5世代戦闘機だとする記事を掲載した。記事ではその理由としてT-50計画に詳しいロシアの専門家がエンジンやアビオニクスなど機内搭載システムの相当部分がSu-35と共通で5世代機にふさわしい機能がほとんどないとしたことを挙げていた。前述のとおり、T-50ではエンジンやレーダーは共通でなく新規開発でありSu-35と共通であるというのは間違いである。この記事に対して別のロシアの軍事専門家であるはこれはナンセンスであり、T-50は完全に新規設計でそれはどんな前任者を持っておらず、Su-35のような4++世代戦闘機とT-50と相関せず完全に別設計であると述べた。本機は開発中のため、これらの性能は準備段階の数値である。また、入手可能な図像や推算に基づく評価が行われている。出典は"warfare.ru"、"pravda.ru"、"Aviation News"、"Aviation Week"、"Air International"に依る。主要諸元性能値公開情報ニュースリポートおよび記事飛行の動画および画像
出典:wikipedia
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