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古細菌

古細菌(こさいきん、アーキア、:archaea/アルカエア、:archaeum, archaeon)は、生物の分類の一つで、"sn"-グリセロール1-リン酸のイソプレノイドエーテル(他生物は"sn"-グリセロール3-リン酸の脂肪酸エステル)より構成される細胞膜に特徴付けられる生物群、またはそこに含まれる生物のことである。古"細菌"と名付けられてはいるが、細菌(バクテリア。本記事では明確化のため真正細菌と称する)とは異なる系統に属している。このため、始原菌(しげんきん)や後生細菌(こうせいさいきん)という呼称が提案されたが、現在では細菌や菌などの意味を含まない を音写してアーキアと呼ぶことが多くなっている。形態はほとんど細菌と同一、細菌の一系統と考えられていた時期もある。しかしrRNAから得られる進化的な近縁性は細菌と真核生物の間ほども離れており、現在の生物分類上では独立したドメインまたは界が与えられることが多い。一般には、メタン菌・高度好塩菌・好熱好酸菌・超好熱菌など、極限環境に生息する生物として認知されている。古細菌は、生物を基本的な遺伝の仕組みや生化学的性質を元に大きく分類する3ドメイン説において、真核生物ドメイン(植物、動物、真菌)、真正細菌ドメイン(大腸菌や藍藻などの普通の細菌)と並んで全生物界を三分する「古細菌ドメイン」を構成する生物グループである。これまでによく知られている古細菌の例としては、高NaCl濃度の環境に生育する高度好塩菌や、温泉や熱水噴出孔などに見られる好熱菌などがあり、われわれから見れば極めて過酷な環境にも分布している。形態的には真正細菌と同じ原核生物に属し、細胞の大きさ、細胞核を持たないことなどの点で共通する。このため長らく真正細菌と同じグループ(モネラ界)として扱われて来た。しかし分子レベルでの研究が進むにつれ、その違いが明らかになってきている。たとえば、古細菌とその他の生物(特に真正細菌)の間には、以下のような違いが知られている。これらの違いに加え、進化系統的にはむしろ真正細菌よりも真核生物に近縁で、DNAの複製やタンパク質合成系といった生命の基幹部分の機構が真核生物に類似している。このような生化学的差異、系統学的位置が明らかになるに従い独立のドメインとして扱われるようになった。古細菌についての研究は、病原性がないことや、知られたのが遅かったことなどから真正細菌に比べ立ち遅れた。その生体システムは未だ不明な点が多いが、原始生命体や真核生物の起源、あるいは有用酵素の利用・メタン発酵などと関連して研究が進められている。古細菌という呼称は6界説を提唱したカール・ウーズらが名づけたアーキバクテリア (Archaebacteria) の翻訳である。Archaebacteria自体は、メタン菌が太古の地球大気の主要構成成分と考えられていた二酸化炭素と水素の混合気体を基質として生育するため、Archae(ギリシア語:αρχαία/太古・始原) + Bacteria(細菌)と名づけられたことに由来する。 しかし1980年代に入ると、アーキバクテリア (Archaebacteria)が真正細菌よりもむしろ真核生物に近いことが明らかになり、それ程広くは使われなかったが後生細菌 (Metabacteria; メタバクテリア) という用語が提唱された。1990年になると6界説の提唱者であるウーズが3ドメイン説を発表した。この際、これまでArchaebacteriaと呼ばれてきた生物群に対して、Archaeaという名称が与えられ、細菌と区別するためにbacteriaが外された。以後英語圏ではArchaeaが定着した。日本でもこれに対応して細菌が外され、始原菌という和名が提唱された。 しかしながら始原菌という用語はそれ程定着しなかった。現在、最も一般に使用されるのはアーキアまたは古細菌で、一部の研究者の間では始原菌、後生細菌、ラテン語に由来するアルカエア(アルケア)といった呼び方もされる。古い文献の中にはMendosicutes(メンドシクテス)や古バクテリア類といった表現もみられる。英語ではArchaebacteriaよりArchaeaが使われることが多くなったので、Archaeaの和訳として古細菌の使用は不適切であると考える研究者が多く、アーキアと呼ばれることがより多くなってきている。なお、中国語でも当初は古細菌と呼ばれていたが、「Domain Archaea」に対して「古菌域」という漢字名が使用されている。また、古細菌ドメインの下位タクソンであるユリアーキオータ門(界)、クレンアーキオータ門(界)はそれぞれ、ユーリ古細菌、クレン古細菌と訳されることがある。古細菌発見の歴史は真正細菌発見の歴史に並行している。今日知られているような枠組みが完成する以前は、高度好塩菌、メタン菌、好熱菌それぞれ別々の枠組みで研究が進められていた。古細菌という枠組みができたのは1977年以降である。1674年、アントニ・ファン・レーウェンフックが微生物を発見して以来、徐々に研究が進んでいた。1868年には微生物の働きによりメタンが発生することを初めて確認し、1880年代には高度好塩菌の研究が始まった。これ以前にも沼などからメタンが発生することや塩田が赤く染まることは知られていたが、微生物によるものとは考えられていなかった。20世紀に入ると、1922年に高度好塩菌の分離が始まり、(後の)と名づけられた。翌年に移され、その後もに戻されるなど分類は混乱した。1974年にようやくハロバクテリウム科にまとめられた。一方、メタン菌は存在することは分かっていたものの、酸素を極端に嫌う生物であり、1936年にやっと培養に成功し、1947年にはとが分離された。既に1930年頃には原核生物と真核生物の違いが認識されており、原核生物帝(1937年)次いで五界説モネラ界(1956年)が提唱された。高度好塩菌とメタン菌には明らかに核がなく、以後モネラ界の枠組みに含まれることとなった。一方、好熱性の古細菌は少し遅れ、1970年に炭鉱のボタ山から好熱好酸菌が発見された。この生物は細胞壁を欠くことからマイコプラズマの仲間とされた。1972年にはイエローストーン国立公園より好熱好酸菌が発見されたが、これらは別々に少し変わった生物だとして知られているに過ぎなかった。当時、メタン菌、高度好塩、、はそれぞれ別々の門や群に分類されていた。しかし、1960年頃から他の生物とは性質が異なるという報告もされ始めている。今日知られている古細菌の特徴の一つであるエーテル型脂質は、1962年に高度好塩菌 ()より発見され、1972年には好熱菌も、やはり同じ脂質を持つことが判明した。 ペプチドグリカン細胞壁を持たないという報告も1970年代には幾つか出されている。これらの生物を他の原核生物と区別した最初の人物は、イリノイ大学のカール・ウーズである。彼は、互いに近縁な生物はタンパク質のアミノ酸配列や塩基配列が似ているというライナス・ポーリングらの研究に影響を受け、1960年代後半から16S rRNA配列を用いて生物の分類を始めていた。1976年、ウーズは同僚のウォルフからメタン菌のコロニーの提供を受け、そのrRNA配列が他の原核生物と大きく異なるという結果を得た。ウーズらはさらに研究を続け、翌1977年、この結果を元に原核生物を古細菌界(。メタン菌)と真正細菌界(。その他の細菌)に分けるべきと主張した。この時点で古細菌界はメタン菌のみを含むものであったが、1978年にメタン菌からエーテル型脂質が発見され、古細菌の特徴の一つとして、エーテル脂質を持つ可能性が出てきた。これは、既にエーテル脂質を持つ事が知られていた高度好塩菌及び好熱菌の一部も古細菌界に含まれることを示唆した。同年、rRNA系統解析が行われ、高度好塩菌と好熱菌の一部も古細菌界に属すことが支持された。しかしながら、通常の細菌と形態の殆ど変わらない生物を塩基配列データのみで分類することに抵抗は大きく、古細菌界という分類群が受け入れられるには時間がかかった。1980年代以降、古細菌の研究が活発になり、この時期真正細菌と古細菌の差異を示す研究が蓄積された。それと共に古細菌という概念も受け入れられ始めた。1982年、それまでの常識を打ち破る110℃で増殖する古細菌が発見され、古細菌研究をさらに活発化させた。1989年には共通祖先以前に重複した遺伝子を用いることによって古細菌が真正細菌よりも真核生物に近いことが報告された。ウーズはこの説を採用し、1990年には全生物を真核生物ドメイン、古細菌ドメイン、(真正)細菌ドメインの3つのグループに大別する3ドメイン説を提唱した。1996年には、超好熱性のメタン菌の全ゲノムが解読された。これは古細菌として初めて、全生物の中でも4番目の解析例である。先行して解読されていたインフルエンザ菌、、出芽酵母との比較により、代謝系の遺伝子は真正細菌にやや類似、転写・複製・翻訳に関連する遺伝子は真核生物に類似するが、真正細菌と類似の遺伝子は僅か11〜17%しか見つからず、半分以上の遺伝子はどちらにも見つからない新規の遺伝子であった。これは古細菌が、他の生物とは大きく異なることを裏付けるものであった。これらの結果を受け、今日大方の微生物学者に古細菌ドメインという分類群は受け入れられている。古細菌は生物圏の広い範囲に分布し、最大で地球上の総バイオマスの20%を占めるとも言われている。純粋培養の可能な古細菌の多くは極限環境微生物あるいは非常に強い嫌気度を要求するメタン菌であり、このため歴史的に極端な環境に分布すると考えられてきた。現に、100を超える高温で活動する古細菌が間欠泉やブラックスモーカー、油田から発見された。また、高い塩濃度や強酸、強アルカリ、非常に低温の環境からも比較的容易に古細菌を発見することができる。一般に、極限環境に生息する古細菌は3つの生理的なグループ、高度好塩菌、超好熱菌、好熱好酸菌へと区分することができる。属を含む高度好塩菌は、20-25%NaCl濃度で盛んに増殖し、塩湖など非常に塩濃度の高い環境に生息する。一方、好熱菌は温泉など45以上の環境でよく活動する。このうち80以上に至適生育温度を持つものを超好熱菌と呼ぶ。 Strain 116は、全生物中最も高温で生育する生物として知られ、122で増殖が可能と報告された。温泉や陸上硫黄孔、火山、海底熱水噴出孔などの多様な熱水系に生息する。これ以外の極限環境古細菌は、強酸またはアルカリ環境に分布する。強酸を好む好熱好酸菌は、スルフォロブス目やテルモプラズマ綱に代表され、温泉や硫気孔、ボタ山などから発見される。アルカリ性の塩湖には高度好塩好アルカリ菌が生息する。これらの極端な例としては、pH-0.06(1.2M硫酸溶液下に相当)で増殖する好熱好酸菌、pH12で増殖できる高度好塩菌などが知られる。なお、極限環境微生物と古細菌は混同して使われることがあるが、必ずしも全てが古細菌というわけではない。また、超好熱菌、好熱好酸菌などといったグループは表現型による区分であり、系統による分類と一致するとは限らない。高度好塩菌はハロバクテリウム綱、好熱好酸菌はテルモプラズマ綱及びスルフォロブス目にほぼ一致するが、超好熱菌は古細菌ドメインの広い分類範囲に存在し、少数ではあるが古細菌以外にも超好熱性を示す生物が知られている。一方で、近年いくつかの研究が、極限環境だけでなく、より温和な環境にも古細菌が存在することを示している。例えば極地の海、湖などの冷たい環境において古細菌の遺伝子が高頻度で検出されている。湿原や下水、海洋、土壌など一般的な条件にも古細菌は存在する。これら環境古細菌の多くは、メタゲノム、脂質解析といった手法を用いることにより明らかにされつつある。一般的な海洋においては、細胞数当たりで微生物の約20%を古細菌が占めるという。これらの古細菌はより重要であると言える。2005年に純粋培養が報告されたを含むいくつかの海洋性クレンアーキオータ(タウムアーキオータ)はアンモニア酸化作用を持ち、これら生物が海洋の炭素・窒素サイクルに重要かもしれないことを示している。別の系統に属す古細菌(海洋性ユリアーキオータMarine group II)は、高度好塩菌型ロドプシンを持つため光合成を行うとの報告もあるが、これはまだ実証されていない。また、膨大な数の古細菌が海底の堆積物の中から見つかっている。2008年には、海底1m以深の沈澱物中に存在する生物の大部分を古細菌が占めるという報告がなされた。なお、メタン菌は水田、湖沼、動物の消化器官など、嫌気環境に限ればかなり広い範囲に分布しており、メタン菌そのものは極限環境微生物に含めないことが多い。ただし、増殖には酸化還元電位にして-0.33Vの非常に強い嫌気環境が必要である。古細菌は、かつてメタン生成を除き地球上の物質循環への影響は限定的と考えられてきた。しかし、難培養性の古細菌の研究が進むにつれ、地球規模の物質循環への寄与が無視できないものであることが明らかとなってきている。全体として見た場合、環境中の古細菌は、炭素や窒素、硫黄における物質循環の一部を構成している。近年注目されているのは窒素循環への関与である。以前からメタン菌や好熱菌など一部の古細菌が窒素固定や硝酸塩呼吸を行うことは知られていたが、これらに加え、2005年には硝化反応を行う古細菌が発見された。メタゲノム解析は、アンモニアモノオキシゲナーゼを有すクレンアーキオータ(あるいはタウムアーキオータ)が、海洋、土壌何れにおいてもアンモニア酸化細菌を遥かに上回ることまで示している。これにより、アンモニア酸化は細菌が行うというこれまでの常識が崩されつつある。亜硝酸はその後別の細菌によって硝酸に酸化され、植物など他の生物によって利用される。この過程に古細菌が関与するという報告はない。また、硫黄循環においては、鉱物から硫黄を遊離する過程で古細菌が働く。例えばは単体硫黄を酸化することによって増殖する。この活動によって生成する硫酸が環境汚染を引き起こすことがあるが、硫黄循環においては、硫黄を植物に利用できる形に変化させるという点において重要である。ただし、この反応は真正細菌の一部も同様に起こすことができる。メタン菌は炭素循環において独特の地位を占める。これら古細菌が持つ水素や有機酸をメタンとして除去する能力は、嫌気条件での有機物代謝の最終段階を担っている。この過程は「メタン菌」において詳しい。しかしながら、メタンの温室効果は二酸化炭素の21倍強く、地球温暖化寄与率は18%に達する。メタン菌は地球上におけるメタン放出量の少なくとも2/3以上を占めると考えられている。水田や反芻動物から放出されるメタンも、元を辿ればほぼ全てがメタン菌由来である。なお、古細菌の中には、硫酸還元細菌と共生し、嫌気条件下でメタンを硫化水素と二酸化炭素に分解する系統も存在する。他の生物との関係は、相利共生か片利共生のどちらかである。2009年現在、病原性の古細菌は知られていない。寄生の例としては、が、別の古細菌との共存下のみで増殖する例がある。メタン菌と原虫の相互作用は相利共生として理解されている。これは、反芻動物や白アリの消化器官でセルロースを分解するために働く。原虫は嫌気条件でエネルギーを得るためにセルロースを代謝し、その過程で廃棄物として水素を放出する。メタン菌はこの水素の除去を行い、原虫は効率的なエネルギー生産を可能とする。有機酸や水素を放出する嫌気性真正細菌との間にも同様の共生関係が成り立つ。この関係はいくつかの原虫、菌類でより進展しており、例えば、などは細胞内に共生メタン菌を保有する。より大きな生物との同様の関係は、海綿とクレンアーキオータ(またはThaumarchaeota)の関係が報告されている。人間の体内で最も一般的なのはというメタン菌である。このメタン菌を保有するマウスは体重増加が報告されており、人間の双利共生菌の可能性もある。一方、口腔内に存在するについては、歯周病との弱い関連性が指摘されている。古細菌の外観は真正細菌と似ている。大きさは0.5から数マイクロメートル程度であり、形も丸いものから糸状まであるが、殆どが球菌から桿菌の範囲に収まっている。例外として、高度好塩菌の中に三角形や四角形の薄片といった形を持つものがある。大きさは最大の球菌で直径10数μm程度である。真正細菌のような強固な細胞壁を持たないために、一部の種は定まった形を持たず、アメーバのような形になることもできる。また複数の細胞が集合して大規模な融合細胞を形成するものも存在する。この例としてはが知られている。一般的には、円盤形や球に近い不定型、太い棒状、糸状といった形が多い。古細菌は原核生物であるため、通常細胞内の膜系を発達させず、細胞内の目立つ構造物と言えばDNAとリボソーム、ガス泡くらいである。これらを含む細胞質を細胞膜がつつみ、その外側を細胞壁が覆う。一般に細胞壁は真正細菌よりも薄く、機械的強度も弱い。細胞表面には、鞭毛や線毛、繊維状の付属構造を持つ場合がある。なお、細胞内の膜系に関しては、やといった例外も存在する。細胞よりも高次の構造も乏しく、殆どの種は単独か原始的な群体を持つに過ぎない。は接着物質を使用し、小荷物様の群体を形成する。メタン菌の中には、シースと呼ばれる鞘の中に複数の細胞が鎖のようにつながった形態をとるものがある。シート形成や網目状のネットワークを形成するものもある。何れにせよその形態は原核生物の範疇を超えるものではなく、そのため個性に乏しく形態により古細菌を特徴づけるのは困難である。古細菌を特徴付けているのは、ほとんどが分子生物学的知見による。細胞壁の素材は真正細菌ではペプチドグリカンであるが、古細菌の細胞壁は一般的にタンパク質性のS層である。S層は多くの真正細菌にも認められるが、真正細菌と異なりS層そのものが細胞壁になっているという点で異なる。古細菌のS層は熱に対して極めて安定だが、真正細菌の細胞壁と異なり浸透圧変化に脆弱で機械的強度も弱いものが多い。この他メタノバクテリウム綱がシュードムレインと呼ばれる糖ペプチドを持つ。こちらもムラミン酸を欠くという点で真正細菌の細胞壁と区別できる。何れもその合成系の違いから真正細菌の細胞壁合成を阻害するβ-ラクタム系抗生物質、グリコペプチド系抗生物質には何れも非感受性を示す。一般的な傾向として、グラム染色ではS層が陰性に、シュードムレインが陽性に染色される。この他にシース(、)、メタノコンドロイチン()、多糖類()、グルタミニルグリカン()などがある。また、テルモプラズマ綱や、は細胞壁を持たないことで知られている。基部のモーターにより鞭を回転させ、細胞の移動を可能とする器官である。真正細菌のべん毛に似るが、よく見るとやや細く、また、構成するタンパク質にも相同性はない。むしろType IV 線毛との共通点が多い。一方、真正細菌の鞭毛はType III 分泌システムとの共通点が多く、両者は異なる起源を持つと考えられている。真正細菌は鞭毛の駆動力として水素イオン濃度差を利用するが、こちらはATPの加水分解により駆動するようである。細胞膜を構成する脂質は、古細菌とその他の生物を区別する最大の特徴である。真核生物や真正細菌は"sn"-グリセロール3-リン酸の"sn"-1位、2位に脂肪酸がエステル結合しているが(図5-8参照)、古細菌はこれと鏡像体の関係にある脂質を持ち、"sn"-グリセロール1-リン酸の"sn"-2位、3位にイソプレノイドアルコールがエーテル結合している(図1-4参照)。エーテル結合を含む脂質や環状脂質自体は超好熱細菌、などからも見つかっているが、グリセロール骨格部分の立体構造は例外なく古細菌特有のものである。炭化水素鎖は多くの場合、C20(稀にC25)イソプレノイドのみからなる。脂肪酸は存在しない。不飽和型も稀である。一部の古細菌の細胞膜には、炭化水素鎖が向かい合って結合した形のテトラエーテル型脂質や、炭化水素鎖の途中で架橋、あるいは環状構造を有す物も存在する(図10参照)。細胞膜上にはATP合成酵素や電子伝達体(その他メタン生成経路やバクテリオロドプシンなども)などの酵素類が偏在しており、古細菌の代謝の主要な場である。膜上にはこの他に各種輸送体や各種センサーなどが存在する。内部に含まれる酵素や低分子は種や生育環境により異なる。DNA、エネルギー貯蔵用のポリヒドロキシ酪酸の顆粒、70Sリボソーム、高度好塩菌などが持つ浮力調整用のガス胞などが比較的目立つ。細胞骨格については、が細胞壁がないにもかかわらず様々な形をとることから、発見時より何らかの形で細胞骨格が存在することが推測されていた。1990年代後半より、アクチンに類似するタンパク質が"Thermoplasma"やクレンアーキオータより報告されている。1996年にの全ゲノムが解読されて以来、2009年までに50種以上の古細菌についてゲノムの解析が行われた。ゲノムサイズは1.3 - 6 Mbp(Mbp=100万塩基対)と真正細菌と比較してもやや小さく、のゲノムは124万3342bpしかない。完全独立生物を送るものとしては最小である。さらにという古細菌に共生している“”に至っては宿主に完全に依存しているとはいえ、49万885bpという極めて小さなゲノムを持つ。これまでに解析された古細菌のうち最大のゲノムを持つのは(575万1492bp)である。ゲノムは好熱菌では1分子のことが多いが、高度好塩菌や一部のメタン菌は副ゲノムやプラスミドを所持する場合もある。各古細菌のゲノムサイズはゲノム配列が決定された古細菌の一覧にリストしている。DNAの構造は真正細菌に類似しており、環状のDNAを持ち、それが凝集して核様態を形成している。ただし、DNAに結合し凝縮させるタンパク質は、一般的に古細菌型ヒストンである。DNAがヒストン様タンパクに巻きついたヌクレオソームも観察されているが、真核生物ほど強固ではなく、結合様式も異なる。その他各種DNA結合タンパクが存在する。テルモプラズマ綱とデスルフロコックス目、スルフォロブス目はヒストンを持っておらず、それぞれ真正細菌のHU様タンパクや、独自のDNA結合タンパクを所持する。DNA複製機構の全容はまだ解明されていないが、多くの古細菌はアフィディコリンにより増殖阻害を受け、真核生物と同じくBファミリーDNAポリメラーゼをDNA複製に用いる(ユリアーキオータはDファミリーDNAポリメラーゼも使用する)。この他にも真核生物の複製系酵素のホモログが多数見つかっている。岡崎フラグメントの長さは真核生物と同様短いが、複製速度は真正細菌同様速い。DNAそのものは真正細菌と同じく環状2本鎖にもかかわらず、複製開始地点が複数存在する場合もある。一般に、古細菌のDNA複製機構は、真核生物のそれの祖先型とみられている。DNAからタンパク質が合成される際は、まずRNAポリメラーゼがDNA配列に従いmRNAを合成(転写)し、さらにリボソームでmRNA配列に従ってタンパク質に翻訳される。この過程はあらゆる生物において共通しているが、真核生物、真正細菌で微妙に異なる。全体としてみた場合、古細菌のタンパク質翻訳機構は真正細菌と類似する点もあるが、分子構造はやや真核生物と類似している。具体的にはmRNAはスプライシングを基本的に受けないという点で真正細菌に、翻訳開始アミノ酸がメチオニンであること、リボソームがストレプトマイシンやキロマイシンによって阻害を受けず、ジフテリア毒素によって阻害を受けることなどの点で真核生物に似ている。転写機構は真核生物のRNAポリメラーゼIIによる転写機構と良く似ている。リボソームは3つのRNAと70種弱のタンパク質より成り、RNAは真正細菌に、タンパク質は真核生物にやや近い。古細菌のTCA回路は他の生物とほぼ同じである。好気性の古細菌や一部の嫌気性クレンアーキオータは完全なTCA回路を備えており、反応は通常の好気性細菌や真核生物と同様に進行する。残りの嫌気性菌はTCA回路を部分的にしか備えておらず、炭酸固定などに利用している。解糖系は各古細菌によってED経路(エントナー-ドウドロフ経路)、EM経路(エムデン-マイヤーホフ経路)何れかが存在する。こちらは他生物といくつか相違が見られる。いくつかのメタン菌やテルモコックス綱からはEM経路に関係する酵素が見つかっているが、ADP依存性グルコキナーゼやADP依存性ホスホフルクトキナーゼ、ホスホエノールピルビン酸シンターゼなど特異な酵素が関与するため、変形EM経路と呼ばれている。一方、クレンアーキオータの多くは、好気性の真正細菌の一部に見られるエントナー-ドウドロフ経路(ED経路)に似る経路を使用する。こちらはグルコースのリン酸化を伴わないため非リン酸化経路、変形ED経路と言う。高度好塩菌もED経路を持つが、一部の経路がリン酸化せずに進行するため、部分リン酸化ED経路と呼ばれている。古細菌に有性生殖は知られておらず、真正細菌と同様、単純な二分裂によって増殖(繁殖)する。胞子や芽胞の形成も確認されていない。出芽により増殖するテルモプロテウス目など一部を除くと、分裂後も殆ど同じクローンが2体できるだけである。最適条件での増殖速度はやで約30分、など遅いものだと数日を要する。分裂に伴う細胞膜の切断やDNAの分配は真正細菌に似ていると言われている。を始めとしたユリアーキオータのゲノム上にはFtsZ、MinDなどが存在し、真正細菌と同様、Zリングの収縮で細胞を分裂させると考えられている。一方でクレンアーキオータからはFtsZが見つからず、分裂機構は長い間全く不明であった。2008年に真核生物のエンドソーム選別輸送複合体(ESCRT複合体)に相当するタンパク質が細胞分裂に関与する(Cdv細胞分裂機構)という報告がなされている。タウムアーキオータも同様の機構を使用するとみられるが、FtsZも保有している。1977年、古細菌が系統的に他生物とは大きく異なることが示されたが、真正細菌、真核生物との関係は現在でも頻繁に議論されており、最終的な合意は得られていない。大方支持されているのは、共通祖先がまず真正細菌と古細菌に進化し、その後古細菌か古細菌に近縁な生物から真核生物の本体が進化したとする仮説である。これは共通祖先以前に2種類に分かれた遺伝子(重複遺伝子)により得られる系統樹により明らかにされた。3ドメイン説では真核生物と古細菌は姉妹群と仮定している。エオサイト説も知られている。これは真核生物は古細菌の1系統とするもので、クレンアーキオータないしタウムアーキオータが真核生物の起源となったというものである。この他ネオムラ説、ABC仮説などが提案されている。なお、古細菌の出現時期は真核生物との系統的関係にもよるが、真核生物の祖先を含む広い意味での古細菌の起源は非常に古いと見積もられる。化石だけでは判断できないものの、分子化石や系統樹から得られる情報。による推定から、35-41億年前に既に登場していた可能性がある。ドメイン古細菌以下の界、門、綱及び一部の目をリストする。ただし門以上の分類は2010年以降も激しく変化しており流動的である。なお、古細菌の命名は国際細菌命名規約に基づいて行われており、基本的な分類方法は真正細菌と共通している。原核生物は形態の変化に乏しく無性的に増殖するため、動植物でいう種の基準が適用できず、分類は16S rRNA系統解析やDNA-DNA分子交雑法といった手法が利用される。2010年1月現在の記載種は全部で約320種である。ユリアーキオータ門、クレンアーキオータ門、タウムアーキオータ門以外の門は純粋培養された種を含まず、他の門はDNAサンプルや限られた培養系に基づく。 メタン発酵による汚水処理やバイオガスの製造において、メタン菌は必須のものである。また、味噌や醤油からに代表される高度好塩菌が検出されることがあり、醗酵や腐敗に関係する。この他菌体を直接利用するものはあまりないが、好熱好酸菌は硫化水素や金属の処理目的に研究されている。一方、新しい遺伝子資源としても注目を集めてきた。やなどに由来するDNAポリメラーゼ(Pfuポリメラーゼ、KODポリメラーゼ)は、Taqポリメラーゼ(真正細菌由来)に比べ複製正確性が高く、PCRになくてはならない酵素の一つである。タンパク質が結晶化しやすく、真核生物のホモログあるいは新規酵素を多数持つことから、タンパク質の構造研究にもしばしば使用される。

出典:wikipedia

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