カルビン (carbyne) は、下記に述べる炭素化学種の呼称である。炭素の線状ポリマーと 1配位型炭素ラジカルの共通の呼称として用いられる。ポリマーの カルビン は、炭素の単体(同素体)のひとつ。黒色の粉末である。炭素原子がおのおの2つずつの炭素原子とsp混成軌道で共有結合し、直鎖状になっている。三重結合と単結合が交互に繰り返されている構造と、二重結合が連なっている構造の共鳴限界式で表される。炭素の同素体には、カルビンの他に、3原子とsp結合した平面状のグラファイト、4原子とsp結合した立体のダイヤモンドがある。フラーレンやカーボンナノチューブが発見されるまでは、これら3つが炭素の結晶として知られていた。きわめて不安定で、詳しい性質はわかっていない。不安定さを活かして、カーボンナノチューブや超多孔質の活性炭などの原材料として注目されている。末端の "end cap" として立体障害となる部位を導入したり、ロタキサン構造の軸とすることでカルビン構造を安定化させたという報告がある。特に Lagow らの研究では、レーザー光で処理することでより長い鎖状構造への変換を観測している。Chalifouxらは2009年に末端部位を"tert"-butyl基で保護することで安定化、"tert"-Bu-(C≡C)-"tert"-Buまでの各種分子を合成し、X線構造解析によりその結合交代がどう変化するかを報告している。それによれば炭素数の増加とともに三重結合と単結合の長さが近づきpolyyne構造からcumulene構造に近づくものの、その傾向は次第に飽和していき、最後まで結合交代は残っている(つまり無限長の炭素鎖においても、cumulene構造ではなくpolyyne構造が安定となる)可能性が示唆されている。カルビン は、1配位で価電子を5個持つ炭素ラジカル (R-C:•) の呼称でもある。カルベン (R-C:-R') は 2配位で価電子を6個持つ炭素種であるが、そこからさらに C-R 結合がホモリティックに開裂して生じる化学種に相当する。有機金属化合物のうち、構造が形式的に金属-炭素三重結合 (R-C≡M) で表されるものをカルビン錯体 (carbyne complex) と呼ぶ。アルキンメタセシスの触媒として Moore らが開発したモリブデン錯体 Et-C≡Mo[NAr(t-Bu)] (Ar = 3,5-MeCH-) はその一例である。
出典:wikipedia
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