オンライン整数列大辞典(オンラインせいすうれつだいじてん、On-Line Encyclopedia of Integer Sequences, 以下 OEIS)は、無料で利用可能な整数列(各項が整数である数列)のオンラインデータベースである。2012年1月時点で20万を超える整数列の情報が収められており、この種のデータベースとしては最大のものである。英単語や数列の一部分を入力することにより検索ができる。各々の項目は数列の名前に始まり、由来、参考文献、公式、キーワードなどの情報を含む。その他、数列を一定の規則で変換した音楽を聞くことができるといった遊び心もあり、数学の専門家から数学パズル愛好者まで幅広い利用者の興味を集めている。コンテンツは基本的に全て英語である(各言語版も用意されているが、一部のごく簡単なメッセージが翻訳されているに過ぎない)。アメリカの数学者ニール・スローンは、学生であった1960年半ば、組合せ論における自身の研究のために整数列のコレクションを始めた。当初はパンチカードでデータ整理されていた。彼はそのコレクションを二度、本として出版している。これらの本は好評を博し、特に2冊目の出版の後は数学者たちが絶えずスローンに新しい整数列を知らせるようになった。コレクションは本の形式で出版するには膨大になりすぎたため、整数列が16000個を超えた1994年8月には電子メールサービスが始まり、直後の1995年にはウェブサイトが開設された。この活動のスピンオフとして、1998年に学術雑誌 Journal of Integer Sequences が創刊された。スローンは約40年にわたって「自分の」数列たちを一人で管理してきたが、2002年に編集委員会を結成し、2009年まで編集委員およびボランティアたちによってデータベースが維持されてきた。この間、1年あたり約1万個のペースで新しい整数列がデータベースに加わり、2004年11月7日、整数列の個数は10万個を突破した。データ量は、1995年の本に換算すれば750巻分に達した。2009年3月には、MediaWikiを用いたページが開設され、情報のやり取りに利用されている。2009年10月26日、スローンは OEIS の知的財産権をOEIS財団に委譲した。2011年11月、項目数は20万を突破した。データベースに登録されている全ての数列には6桁の識別番号 (ID number) が割り当てられており、先頭に A を付して表される。A000796 の代わりに A796 を用いるなど、しばしば先頭の 0 は省略される。OEIS では ASCII によるプレーンなテキストのみが用いられるため、表記においてはいくつかの暗黙の了解がある。数列 f の第 n 項は f ( n ) と表す。当該項目の数列は a と表し、その他の数列は英語の名前もしくは ID で表す。また、ギリシャ文字は通常その英語名で表される。例えば μ は mu と表し、φ は phi と表す。本記事においては、これらの慣習にならって基本的にローマン体の文字を用いる。0 はときどき「存在しない」ことを表すために用いられる。例えば、 の第 n 項は「なるべく小さな n × n 個の連続した素数を用いて魔方陣を作ったときの、その最小の素数」である。明らかに a ( 1 ) は 2 である。a ( 3 ) を求めるのはやや難しいが 1480028129 である。しかし、n = 2 のときはそのような魔方陣は存在しないため、a ( 2 ) は 0 とされている。0 が本来の意味を持つ数列では、この用法として -1 が代わりに用いられることもある。例えば など。OEIS においては整数が主役であるが、何らかの方法で整数列に変換することで、整数でない数も扱われていると言える。有理数の列は、分子の列と分母の列の2つの整数列と見なせる。例えば、ファレイ数列 0/1, 1/1, 0/1, 1/2, 1/1, 0/1, 1/3, 1/2, 2/3, 1/1, … に対しては、その分子の列 0, 1, 0, 1, 1, 0, 1, 1, 2, 1, … () と分母の列 1, 1, 1, 2, 1, 1, 3, 2, 3, 1, … () がデータベースに収められている。円周率 = 3.1415926535897… は超越数であるが、各桁の数字を並べてできる整数列 3, 1, 4, 1, 5, 9, 2, 6, … () や、連分数展開してできる整数列 3, 7, 15, 1, 292, 1, … () がデータベースに収められている。OEIS の歴史の初期の段階から、多くの人々が OEIS 自身を用いてできる数列を登録するように主張してきた。このことについてスローンは次のように回想している。「一つにはデータベースの重要性を維持したいという気持ちから、また一つには A22 が 11 項しか知られていなかったことから、私はそのような数列を登録することを拒否してきました。」以下、変数 n に対し、ID が n である数列は A_n で表す。スローンが比較的早くに登録を認めた自己参照数列に、a ( n ) = "A_n の第 n 項"(、後に )がある。当然この数列は有限である。また、第 91967 項は定義されていない。なお、この項目の存在が の先の項を求めることを促進した。n が数列 A_n に含まれるか、という問いを考えることにより、ある問題をはらんだ数列 (含まれるような n の列)と (含まれないような n の列)が考えられる。例えば は合成数の列であるから、合成数 2808 は A053873 に含まれる。 は素数の列であるから、素数でない 40 は A053169 に含まれる。問題は 53169 や 53873 はどちらに含まれるか、ということである。53169 は A53169 に含まれるか含まれないかのどちらかである。含まれるとすれば、A53169 の定義より 53169 は A53169 に含まれないことになって矛盾する。含まれないとすれば、再び A53169 の定義より 53169 は A53169 に含まれることになってやはり矛盾する。この議論はラッセルのパラドックスによく似ている。本節は OEIS の各項目の主な欄についての解説である。OEIS に登録された全ての数列に割り振られた6桁の識別番号。先頭に A を付して表される。論文・本や外部のサイトにおいて数列を表すために「OEIS の A****** (A****** in OEIS)」 または単に「スローンの A****** (Sloane's A******)」のように書かれるほど世間に認知されている。以前は現在とは別の識別番号が用いられていた。1973年出版の "Handbook of Integer Sequences" では、約2400個の数列が辞書式順序で並べられ、M が付された4桁の識別番号が与えられた。1995年出版の "Encyclopedia of Integer Sequences" では、5487個の数列がやはり辞書式順序で並べられ、N が付された4桁の識別番号が与えられた。これらの古い識別番号は、A が付いた新しい識別番号と同じく利用可能であり、この欄に記載されている。その数列の一般的な名前もしくは簡単な説明が記載されている。定義式が与えられている場合もある。例えば立方数の列 1, 8, 27, 64, 125, 216, 343, 512, … () の Name の欄には The cubes: a ( n ) = n^3 と記載されている。数列の先頭部分。大抵の場合4行ほどにわたって記載されているが、この部分だけ見ても、長い有限数列か無限数列かは区別できない。区別するためには Keyword の欄(後述)を見る必要がある。ここで言うオフセットとは、初項が第何項であるか、ということである。すなわちオフセットが n のとき、初項は a ( n ) と表される。例えば、平方数の列 a ( n ) = n^2 () 0, 1, 4, 9, 16, 25, … のオフセットは 0 であるが、もし 1, 4, 9, 16, 25, … で始まるならオフセットは 1 である。ほとんどの数列のオフセットは 0 か 1 であるが、次のようにそれ以外のオフセットを持つ数列もある。時には初項に採用すべき項について意見が分かれることがある。例として、第 n 項が次の意味を持つ数列を考えよう。パンケーキに包丁を n 回入れて、なるべく多くのピースに分けたとき、ピースは何個になるか。1回ならば2個に、2回ならば4個に、3回ならば7個に切り分けることができる。OEIS におけるこの数列 は 1, 2, 4, 7, 11, 16, 22, 29, 37, … で始まる。初項の 1 は、包丁を1回も入れない場合のピースの個数を表している。すなわち、この数列のオフセットは 0 である。しかし、包丁を入れない場合を考えるのは無意味であるとの解釈もあり、MathWorld は 2 を初項としている。オフセットは重要な項目であるが、ときどき数列の投稿者が、デフォルトのオフセット 1 が適当かどうかをチェックすることを怠るために混乱がおこる。Offset の欄には通常ふたつの数が記載されている。ひとつ目の数は上に説明された意味を持ち、ふたつ目の数は「絶対値が 1 より大きな数が初めて現れるのは初項から数えて何項目か」を表している。このふたつ目の数は、検索の速度を上げるのに役立っている。例えば、第 n 項が位数 n の群の個数である数列 は 1, 1, 1, 2 で始まるので、オフセットの欄には 1, 4 と記載されている。また、全ての項が 0, 1, -1 のどれかならば、ふたつ目の数は 1 と記載される。この欄には、他の欄に記載されるのが適当でないあらゆる情報が記載される。他の数列との興味ある関係や、定義からすぐに導かれるわけではない応用例などである。例えば Lekray Beedassy は立方数の列 に次の意味のコメントを与えている。「三角形の二辺を n 等分し、各等分点を向かい合う頂点と線分で結ぶ。その図形内に三角形は(重なりあっているものを含めて)n^3 個ある。」各コメントにはそのコメントを書いた人の名前と日付が付けられているが、それが省略されている場合は、そのコメントを書いたのは数列を投稿した人である(Author の欄を参照)。その数列を扱っている文献。多くは英語で書かれた論文や専門書である。関連するサイトへのリンク集。多くは個人的なサイトであり、そのサイトの著者名も記されている。種々の公式が与えられている。その数列の各項を与える閉じた計算式(もし存在すればだが)をはじめ、漸化式や他の数列との関係式などもこの欄で与えられる。ある項がなぜその数になるかの説明。定義だけでは意味が分かりにくい場合に、この欄が用意されていることがある。その数列を計算するためのプログラム。比較的簡単なコードで書かれており、計算効率は考慮されていないことが多い。Maple と Mathematica のプログラムには固有の欄が用意されるが、その他の数式処理ソフト(PARI/GP, Magma, MATLAB, Python, Excel など)によるプログラムはそのソフト名とともに一括して Program の欄に記載される。関連する数列への内部リンク。Cf. の部分は、投稿者が関係が深いと認めた数列である。Adjacent sequences: の部分は、ID が近いいくつかの数列である。Sequence in context: の部分は、辞書式順序でその数列の前後にあるいくつかの数列である。ただし、OEIS における順序では、基本的に符号および先頭部分の 0, 1, -1 たちは無視する。OEIS は各々の数列を特徴付ける4文字程度のアルファベットの列をいくつか用意している。いくつかのキーワードは互いに排他的である。すなわち両立しない組み合わせとして core と dumb、easy と hard、full と more、less と nice、nonn と sign がある。たとえその数列が古くから知られていたとしても、この欄には OEIS への投稿者が記される。著者の名前はフルネームで与えられる。すなわち、ファーストネームの完全なスペル、ミドルネーム(もしあれば)、ラストネームが記される。Reference や Links の欄では通常名前が省略されることと対照的である。また、著者のメールアドレスが記される。その際、アットマークは (AT) で代用される。A055000 以降の多くの数列では、投稿した日付も記されている。特によく投稿する人の名前は略記される。例えば、スローン自身は njas と表記されている。OEIS で数列を検索するにはいくつかの方法がある。以下、その方法について解説する。整数をいくつか入力すると、それらを項に含む数列を検索できる。各項は空白かコンマで区切るが、その両者では意味が異なり、コンマで区切った場合は項の並びも指定したことになる。検索結果を絞り込むために、a ( 2 ) から a ( 7 ) までをコンマ区切りで入力することが推奨されている。それでもなお、望む程度に検索結果が絞り込まれない場合もある。マイナスの記号を入力することはできるが、それらは基本的に無視される。例えば、第 n 項が n^2 から n 番目のフィボナッチ数を引いたものである数列 0, 3, 7, 13, 20, 28, 36, 43, 47, 45, 32, 0, -64 を入力すると、符号を入れ替えた数列 0, -3, -7, -13, -20, -28, -36, -43, -47, -45, -32, 0, 64 () が検索される。signed: を先頭に入力すればマイナスの記号は無視されない。アルファベットや記号からなる文字列を入力すれば、記事内にその文字列を含む数列を検索できる。多角数を検索する場合には注意が必要である。12角数 (dodecagonal numbers) よりも先では、ギリシャ語の接頭辞を用いた表現ではなく、"n"-gonal numbers で検索する必要がある。例えば、47角数は heptaquartagonal numbers ではなく、47-gonal numbers で登録されている。文字列が存在する欄を指定することもできる。例えば、keyword:more や offset:-2 などと入力すればよい。各々の数列に付された ID で検索する方法もある。A796 と入力すれば、記事内に A000796 を含む全ての項目が検索できる。ID が A000796 である数列のみ表示したいならば、id:A796 と入力すればよい。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。