ブルース・カミングス(Bruce Cumings, 1943年9月5日 - )は、アメリカを代表する歴史修正主義の歴史家である。シカゴ大学スウィフト冠講座教授。専門は、政治学、朝鮮半島を中心とする東アジア政治。1975年、コロンビア大学大学院で博士号取得。スワースモア大学、ワシントン大学国際関係学部を経て、1987年からシカゴ大学歴史学部教授。1967年から1968年には徴兵を忌避して平和部隊に参加し、韓国で英語教師として働いた経験もある。1999年にアメリカ芸術科学アカデミーの会員に選ばれる。1981年に出版された著書『朝鮮戦争の起源』において、朝鮮戦争は植民地時代に醸成された朝鮮内部の階級対立に端を発する内戦の発展したものであるという説を唱え、1980年代には朝鮮戦争研究に影響を与えた。同書ではまた、解放後の米軍政下の南朝鮮における人民委員会運動とそれに対する米軍政の抑圧を米軍資料によって描き出した。朝鮮戦争を内戦として捉え、この「内戦」は1945年に既に始まっていたのだから1950年に「誰が戦争をはじめたのか」という問題には「答えを出せない」とし、「この問いは問われるべきではない」と主張した。開戦をめぐる台湾ファクター、北朝鮮軍の韓国占領と米韓軍の北朝鮮占領などについても多く取り上げている。冷戦終結後に秘密が解除されたソ連の資料から、朝鮮戦争はアメリカとの冷戦のおいて勝機を得ようとしたソ連の同意を取り付けた金日成が、中国と共同で周到綿密に準備し、満州という地域を罠として、アメリカをそこに引き入れようとする国際謀略として企図された北朝鮮による先制攻撃であることが明らかとなったことにより、カミングスの説に対する支持はなくなった。李栄薫ソウル大学教授は、「戦争の勃発過程を詳細に伝えるモスクワの秘密文書が公開されたことで、今さら身の置き場がなくなってしまいました」と述べている。重村智計早稲田大学教授は、「旧ソ連の外交文書の公開で、朝鮮戦争の起源が明らかにされた。それによると、朝鮮戦争は『内戦』や『誘因』の展開ではなく金日成首相がソ連の指導者スターリンを説得し開始した、『金日成』の戦争だったのである。また、『ヤルタ体制の崩壊』が生んだ戦争でもあった。こうした事実が明らかにされたことから、ブルース・カミングス教授らの研究は批判され、価値と威信を失った」と述べている。一方で、朝鮮戦争を米ソの分割占領および戦争勃発以前の社会的葛藤と政治的対立の延長、もしくは終着点として捉えるべきという問題提起は、依然として有効であるとする意見もある。
出典:wikipedia
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