京福電気鉄道株式会社(けいふくでんきてつどう)は、京都市内で軌道事業(路面電車)とケーブルカー及びロープウェイを運営している会社である。東証二部に上場している。戦時の配電統制令により、京都電燈が解散するのに伴い、同社の鉄軌道事業を引き継ぐため1942年に設立された(詳細後述)。京都市内で軌道事業として「嵐山線」と総称される嵐山本線・北野線を、鉄道事業として比叡山に登る鋼索線(叡山ケーブル)・叡山ロープウェイを運営している。かつては前記のほかに同市内で「叡山線」と総称される叡山本線・鞍馬線の2つの鉄道路線も運営し、福井県内でも福井支社(1992年7月以降は福井本社)を置いて鉄道・バス事業を行っていた。叡山本線・鞍馬線は当時経営状態が悪化していたことから1986年に叡山電鉄に分離譲渡しており、福井本社ではバス事業を2000年に子会社の京福バスに全面的に譲渡し、鉄道事業も2003年に鉄道施設をえちぜん鉄道に譲渡して撤退したため、以後は京都市内での軌道事業と福井県での小規模な不動産業を残すのみとなっている。嵐山本線・北野線は、嵐電(らんでん)と呼ばれ親しまれており、2007年3月からそれが公式愛称となった。京福の社名は、鉄道事業を行っていた京都と福井それぞれの頭文字を採ったものだが、京都と福井を結ぶ鉄道計画があったわけではない。京都は祇園を始め夜間の電力需要が多く、福井は逆に織物工場が稼動する昼間の電力需要が多いため、互いの電力を融通するために前身の京都電燈が建設した「京福送電線」が語源となっている。当初は阪神電気鉄道と関係が深く、車両や技術面の共通性も見られたが、1960年頃までは観光開発地域の競合する京阪電気鉄道と激しく争い、のちに資本を受け入れ、京阪グループに入っている(2012年3月31日現在で京阪電気鉄道が42.89%の株式を保有する親会社)。また、京阪に次ぐ大株主として財務大臣が7.12%の株式を保有しているが、これは以前の個人大株主の死去により、相続税の物納として同社株式が納められたことによるものである。福井県内では系列企業の三国観光産業(福井県坂井市)が三国競艇場の施設を保有しているほか、越前松島水族館の運営も行っている。嵐山本線・北野線の利用者数のピークは1965年頃の1483万人であった。近年は、2000年度に約720万人となった後は年間600万人台で推移したが、2008年度は地下鉄太秦天神川駅開業の効果により702万人となった。しかし、2009年度は景気低迷や新型インフルエンザの影響などで676万人に減少し、2010年度も引き続き673万人に漸減した。2011年度は684万人、2012年度は709万人と5年ぶりに700万人台に回復した。2014年3月22日に京都市バスと京都バスが嵐山・嵯峨野地区を均一料金区間に編入し、同時に「市バス専用一日乗車券カード」が「市バス・京都バス一日乗車券カード」となり嵐山・嵯峨野地区でも使用可能になった。このことによりどれだけの観光客が京福電鉄からバスに移行するかが注目される。社章は京都電燈の時代より使用されている菱形雷文マークとなっている。ただし京福グループ全体は京阪グループではあるが、京阪グループの共通ロゴは使用されていない。配電統制令により、京都電燈が配電事業を関西配電(関西電力の前身)・北陸配電(北陸電力の前身)へ、発送電事業を日本発送電へ譲渡し解散するのに伴い、同社の京都(嵐山線・北野線・叡山線)と福井(越前電気鉄道線)での鉄軌道事業を引き継ぐため1942年に設立され、同年中に傍系の鞍馬電気鉄道・三国芦原電鉄が合流した。1944年には永平寺鉄道・丸岡鉄道も合併し、1950年頃には京都と福井で合わせて120.9kmもの路線網を擁することになったが、車社会の進展に伴い1960年代から1980年代にかけて、福井支社管内の不採算路線・区間の廃止や、叡山本線・鞍馬線を叡山電鉄として分社化するなどの合理化を進めている。京福が近年まで保守的な経営をとっていた表れの一つとして、京都本社では1980年代まで詰襟の制服を、集電装置に嵐山線は1975年まで集電部が回転するトロリーポールを、叡山線も1978年までポールを(途中からU字状のスライダーポールに交換)使用していた。いずれもトロリーバスを除く日本の鉄軌道事業者としては最後まで使用していたものである。2000年12月と2001年6月、福井の越前本線で僅か半年間に2度の電車同士の正面衝突事故を起こし(京福電気鉄道越前本線列車衝突事故を参照)、国土交通省から福井地区各線の列車運行停止を命ぜられた。京福は事業継続が困難になったとして、2003年に福井地区の鉄道事業(越前本線・三国芦原線)を廃止して撤退。施設をえちぜん鉄道へ譲渡した。ただし、福井地区の鉄道事業は1990年代には既に赤字であり、1992年2月には越前本線東古市 - 勝山間と永平寺線の廃止を表明。沿線自治体の支援によって存続したものの、バブル崩壊によって芦原温泉の定期通勤利用者が激減したことからそれまで堅調であった三国芦原線も急速に収益が悪化。このため事故前から全線廃止を含めた検討をしていた。越前本線からの撤退で京福は経営不安が表面化したため、2002年に保有する叡山電鉄の株式をすべて京阪電気鉄道に売却している(親会社京阪による救済策とされる)。これにより、叡山電鉄は京阪電気鉄道の完全子会社となった。なお京福においては、過去にも1964年1月には当時の鞍馬線で正面衝突炎上事故を起こし、わずかその7か月後の同年8月には、越前本線発坂付近で下り旅客列車が貨物列車に追突する事故を起こしている。またバス部門においても、1985年10月に2階建て観光バスが中央自動車道においてガードレールを突き破り県道に転落する事故を起こし、乗客3人死亡、57人が重傷、運転していた乗務員は、その場で自殺するという事故を起こしている。京福の事業はいずれも小規模でスケールメリットを享受できないことから収益性が低く、歴史的に経営基盤が脆弱になりがちである。このため、十分に安全投資ができず安全管理がおろそかになったのではないか、との指摘がある。各路線の運行形態、駅の一覧は以下の各項目を参照。線名の前のマークは駅番号の線別ローマ字記号(嵐山本線はA、北野線はB)を表す。京福電鉄の公式サイトなどでは、嵐山本線と北野線とをあわせて、嵐山線、嵐電と称されている。合併などの経緯により路線同士が離れていたり、異なる路線規格を複数持つ鉄道事業体は他にも存在するが、京福の三線は鉄道技術面での統一がまったく行われず(電動貨車の嵐電モト1000形・叡電デト1000形のみ共通車体)、たとえば300形電車をとっても、嵐山線はモボ301形・叡山線はデオ300形・福井支社はホデハ301形(その後モハ・クハに変更してえちぜん鉄道になってからはMC・TC)と車両番号が重複するどころか、形式記号までバラバラであった。嵐山線のボや福井支社のホはボギー車を意味するが、この形式記号を使っている鉄道会社は、現在ごくわずかである。嵐山線と鋼索線の現有車はすべて阪神電鉄系の武庫川車両工業製であり、分社された叡山線も現有車は武庫川車両製で統一されており、福井支社も阪神電鉄からの移籍車両を多く受け入れていた。2002年の武庫川車両工業解散後(後身として阪神車両メンテナンスを設立)は新車が導入されていない。モボ101形は更新時の車体組立を担当した。塗装については全線において、上半分が薄茶色・下半分が緑色となっていた。1970年代に京福バスが白地・茶帯塗装(京都バスも同一塗装)を採用すると、福井支社でも比較的すぐこれを採用。尾灯部分も茶色に塗ったり、同じ形式でも頭部を茶色に塗った車両と白に塗った車両が混在するなどの特徴があった。叡山線でも叡電分離後の新車に白地・茶帯塗装が採用されたが、現在は叡電・えちぜんとも全く新しい塗装が採用され、この塗装の電車は消滅した。嵐電においても2010年の開業100周年を機に、塗色が「京紫」に変更されることになり、2013年3月現在で塗色変更車が14両まで拡大されており、従来の塗色車は徐々にその数を減らしている。車体デザインは大きく変更しながらも、全車が同一性能を持つという車両設計の元、1990年代後半になるまでモボ101形の主要機器類を踏襲した自動加速制御の吊掛け駆動車を導入してきた。これは鉄道事業者としては異例である。だが、最新のモボ2001形でWN平行カルダン駆動方式やVVVFインバータ制御を採用するなど、最新技術を多数採用している。ただ、そのためにモボ2001形は他形式との併結ができず、2両編成になる場合は2001号と2002号の組み合わせに限定されている。方向幕はモボ501形以降に搭載され、それまでの車両には運行標識を掲出して運行している。方向幕はモボ501形とモボ611形以降とでは変更されている(モボ501形には「ワンマン」の表示が入る)。製造順に配列えちぜん鉄道に継承されたものは「えちぜん鉄道#車両」を参照。形式称号改定以後に在籍したもの。形式称号改定以後に在籍したもの。嵐山本線、北野線を通じて、大人210円、小人110円の全線均一運賃である(2015年4月1日改定)。駅員が配置されている駅では、自動券売機で普通乗車券を購入できる。2002年6月30日までは180円、210円、230円の区間制運賃であったが、スルッとKANSAI加盟に際し、降車時のみのカード処理で済ませられるよう、2002年7月1日から均一運賃(大人200円、小人100円)となった。これに伴い、不要となった各車両の整理券発行機は撤去された。なお、定期運賃は距離制のままである。2014年4月1日の消費税率改定(5%→8%)の際は、国土交通省(近畿運輸局)から上限運賃210円の認可を受けた上で、適用運賃は200円として値上げを見送っていた。しかし、2015年4月1日に適用運賃を210円とする値上げが行われた。2011年4月1日より、IC乗車カードのPiTaPaと、自社専用の「らんでんカード」が導入された。PiTaPa相互利用先のICOCAなども利用できる。ICOCAについては2011年4月1日から京福でも相互利用でき、2013年3月23日からは、交通系ICカードの全国相互利用を開始した。ただし、京福電鉄の駅および車内ではチャージできないので、事前に他社局の駅などでチャージしておく必要がある。また、割引用manaca、割引用はやかけん、障がい者用nimocaは利用できない(相互利用対象外)。らんでんカードの発売額は大人2,500円(デポジット500円を含む)。有人駅または車内で2,000円単位でチャージでき、2,200円分利用できる。チャージ額の有効期限は6か月で、その後は無効になる。ただし有効期限が切れる前に追加でチャージすれば、チャージ残額全体の有効期限が6か月後まで延長される。2002年7月1日からスルッとKANSAI対応カードが利用できるようになった。京福電鉄では大人2,000円券のみ発売している。カード処理機は路線バス車内に搭載されているものと同様のもので、有人駅改札口および車両内の運転台後ろに設置されている。券面印字は有人駅の処理機では「京福 四大宮」「京福 帷子辻」「京福 嵐山」「京福 白梅町」、車内処理機では「京福電鉄」となる。前記の4つの有人駅や嵐電嵯峨駅前の喫茶店・一部のホテルでは、500円(小児250円)で全線が1日乗り放題になる「嵐電1日フリーきっぷ」を発売している。1日に3回以上乗車すれば割安になるほか、付属のクーポンで沿線社寺や観光施設で拝観料・入場料の割り引きを受けたり、粗品の進呈を受けたりすることができる。予め購入して後日利用する場合のために、通用日はスクラッチ方式により利用者が決めることができる。2008年からは、京都市営地下鉄の太秦天神川駅延伸、京福の嵐電天神川駅開業を受けて、同年3月28日から「京都嵐山・びわ湖大津1dayチケット」、「京都地下鉄・嵐電1dayチケット」が発売された。このうち、「京都地下鉄・嵐電1dayチケット」については、各駅の近くの商店等に委託されている回数券販売所でも販売されているほか、平成エンタープライズが運行する高速バス「VIPライナー」のオプションとして組み込むことができる。2010年3月27日から1年間、嵐電開業100周年を記念して土・日曜日及び年末年始・お盆期間の小児運賃が無料となる「休日は家族みんなで出かけようキャンペーン」が実施された。紙の回数券(11券片、発売額2,000円、3ヶ月有効)は2011年4月1日をもって廃止された。駅員が配置されているかどうかにより、乗降方法が異なる。嵐電天神川駅、太秦広隆寺駅など、観光客や乗継客が多い駅では、観光シーズンや通勤時間に職員が派遣されて、ホーム上で運賃収受業務を補助することがある。御室仁和寺駅は御室桜のシーズンのみ、出入口に職員が派遣されて運賃収受を行う。2007年から乗客誘致策のひとつとして夏季に妖怪電車が運転されている。夕刻以降嵐山本線と北野線に臨時列車として運転される。通常の運賃で乗車できるが妖怪(の扮装をした乗客)は50円で乗車できる。なお、一般乗車券や各種フリー乗車券では乗車できず専用の乗車券を必要とする。妖怪電車は車内照明にブラックライトを使用したり、様々な妖怪を紹介するポスターを掲示したり、車両に取り付けられている方向幕が青くなるようにされるなどムードの演出がされている。一般の仮装客のほか、地域のまちづくり組織も仮装して参加協力するなどイベントの盛り上げに一役買っている。2011年の運行時は、前面方向幕部分には「妖怪電車」の文字のシートが貼られ側面方向幕は「団体」表示の一方赤く照らされる演出がされた。2010年までは、嵐山本線四条大宮 - 嵐山間を3往復後嵐山→北野白梅町、北野白梅町→帷子ノ辻→西院と北野線にも乗り入れ運行されていたが、2011年は、嵐山本線四条大宮 - 嵐山間2往復の運転にとどまった。
出典:wikipedia
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