ダクテッドファンとは、円筒形のダクトやナセルの中にプロペラ状のファンを据え、それを回転させることによって推力を生み出す推進器の一種である。もともと航空機用に研究されてきたが、ホバークラフトやラジコン飛行機の推進器としてよく採用される。プロペラ状のファンに円筒状の覆い(ダクトまたはナセル)を被せたような構造が特徴であり、推進力を得る基本的な仕組みは通常のプロペラと大差ない。ダクトによっていくつかのメリットが発生する。まず、通常のプロペラ推進では進行方向だけでなく、それと直交する平面内にもプロペラ端から気流が発生している。(渦流)これは推力とならないため、エネルギーの無駄になってしまうばかりか、衝撃波(音波)となって騒音の原因にもなっている。しかし、プロペラの外側を筒で覆ってやればプロペラ先端部から発生する気流を全て進行方向側に整流することができ、エネルギーを無駄にしなくてすむ。同時に、衝撃波の発生を抑えて騒音を減らすこともできる。円筒状のナセルをうまく使うことでさらなる効果を得られる。このナセルは空気取入れ口が排出口に比べて広い、“ハ”の字型の断面をしていることが多いが、このようにしてさらに円筒壁面の断面形状(翼形)を工夫するとナセル自体が進行方向側に揚力を生み出すようになる。また、ナセルを偏向させることで気流の向きを変え、ある程度の推力偏向能力を持たせることも可能である。上記の特徴から操縦特性は『出力が低いターボファンエンジン機』に類似している。このためジェット機のパイロットを養成する初等練習機としてRFB ファントレーナーが開発された。デメリットとしてはナセルによる抗力が大きく、高速化に適さないことが挙げられる。ただし、抗力は速度に比例して大きくなるため、低速のホバークラフトなどにおいては問題とならない。多くの場合エンジンから離れた場所にファンがあり、ギアとシャフトを介した駆動系が必要なため整備性の低下や専用部品によるコスト増加が避けられない。RFB ファントレーナーはターボシャフトエンジンの軸出力でファンを駆動させている。ホバークラフト等ではプロペラが露出して回転すると危険なので防護壁を兼ねている場合もある。また、ヘリコプターのテールローターでもフェネストロンとして使用される。なお、共振を防ぐためにファンのブレード数は奇数であることが多い。1932年のスティパ・カプロニや、VTOL機向けに研究されてきたアメリカのベル X-22のように、実験の域を出ることはあまりなく、有名な実用例としてはホバークラフト用の推進器がある。ただしラジコン飛行機用の小型推進器としては比較的ポピュラーな存在である。特にモデルとした実機がジェット機である場合に、プロペラが外から見えないようにするため、小型かつ安価なモデルでは模型用ジェットエンジンの代わりに搭載される.電動モーター駆動のファンの後に燃料噴射装置とバーナーを備えた燃焼室を設け、ジェット排気による推力を付与するものもある。ヘリコプターに代わるダクテッドファン方式のリモコン輸送機なども登場している。ツインダクテッドファン方式の超小型の乗り物が幾つか登場している。Springtail Exoskeleton Flying Vehicle (EFV-4A)やDragonfly Unmanned/Manned/Remote Vehicle (UMR-1)などが有名である。空飛ぶ乗用車として注目されているスカイカーも、ダクテッドファン方式の乗り物の一種である。また、一部の風力発電(風レンズなど)でも使用される。類似の機構として船舶のダクテッドプロペラがタグボートや潜水艦や魚雷や深海潜水艇等に使用される。スクリューの先端から生じる渦流を減らす事が出来る為、潜水艦等の静粛化に役立つ。飛行船のプロペラには良く用いられる。プロペラが覆われているダクテッドファンであれば、羽根についた氷が遠心力で飛ばされた際に、船体を破る危険が極めて小さくなる。
出典:wikipedia
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