Windows Vista (ウィンドウズ ビスタ)は、マイクロソフトが2006年にリリースした、Windowsシリーズに属するパーソナルコンピュータ用のオペレーティングシステム(OS)である。開発時のコードネームは Longhorn (ロングホーン)。2006年11月30日にボリューム ライセンス契約者へ提供が開始され、2007年1月30日に全世界で発売された。"Vista" の名称はイタリア語・スペイン語・英語で「眺望」という意味を持つ。マイクロソフトは「混乱を解消し、あふれる情報を整理し、未来を垣間見せる」ということとしている。2001年5月からWindows XPをベースにLonghornとして開発を開始した。当初は、Windows XPとメジャーアップグレードとなるBlackcomb(Windows 7)の中間にあたるマイナーアップグレードのバージョンであり、2003年にリリースされる計画であった。しかし、2002年4月頃にはその計画は修正され、Longhornはメジャーアップグレードの位置づけとなり、2004年までリリースされないように変更された。コンピュータウイルスの大規模な感染を契機にWindowsのセキュリティに関する動きが起こった。マイクロソフトは根本的な対処にあたるため Windows開発の全てを中止して、セキュリティに関する従業員のトレーニングに時間を割くことになった。そして、セキュリティが強化されたWindows XP SP2を開発するにあたってLonghornの開発に影響を及ぼした。セキュリティ分野に関してLonghornの開発にあたり、セキュリティ機能の検査や検討などにNSAも関与し、その後NISTやNATOからも申し出を受けたことを後に明かした。2003年頃からLonghornは従来とは違う開発プロセスが用いられるようになり、MinWinと呼ばれるものを基本として開発されるようになった。その間に、Longhorn開発チームのビルド プロセスが変更された。2004年頃、それまでの開発中であったLonghornはリセットされ、Windows Server 2003をベースに開発が再開された。2005年6月、Windows Vista Beta 1が公開された。2006年にはBeta 2、RC1、RC2がリリースされ、2006年11月8日に開発が完了した。製品名は候補としてWindows Seven、Windows 7.0、Windows 7等が挙がったが、2005年7月、Windows Vistaに決定した。同年9月にはエディションが現在に近いものに決定された。結果として、マイクロソフトはWindows Vistaの開発に 5年の歳月と6億ドルを費やした。従来のWindowsにはない新機能が多数搭載され、これまでのWindowsとはかなり異なる印象を受ける。また、Windows XPまで存在した「マイ コンピュータ」や「マイ ドキュメント」などの伝統的なフォルダの名称から「マイ」が外れ、単に「コンピュータ」や「ドキュメント」と呼ばれるようになった。Windows Vistaのエディションは基本的にStarter、Home Basic、Home Premium、Business、Enterprise、Ultimateの6つのエディションがあり、さらに市場によってはその地域の法律に従い一部機能に変更を加えた製品も提供された。また、WindowsVistaのステッカーは各エディションで異なる。Starterを除く全てのエディションではこれまでの32ビット版 (x86) に加えて、AMDのOpteronやAthlon 64、インテルのXeonやIntel Core 2に代表される64ビット命令(AMD64及び互換性のあるIntel 64)に対応したプロセッサ向けの製品も提供されている。これらはメインメモリのアドレス空間が拡張され、Home Basicは最大8GB、Home Premiumでは最大16GB、Business、Enterprise、Ultimateでは最大128GBのメモリ容量をサポートする。64ビット向けに設計されたソフトウェアはもちろん、32ビット版のソフトウェアもWOW64の技術を用いることで概ね動作させることもできる。Windows Vistaには5つの視覚スタイルが含まれている。Windows Aeroが動作できる環境であれば、Windows Aeroを有効にすることで、これまでCPUが行ってきたユーザインタフェースの描写処理をより高度な処理ができるGPU側で処理するようになり、相対的にCPUへの負荷が低減されるため全体的な処理能力が向上する。Windows Vista Service Pack 1(以下「SP1」)発表前のコードネームはFiji。2007年8月29日、マイクロソフトはSP1のリリースについて発表し、9月24日にβ版をリリースした。公式ブログによると、SP1にはバグフィックスやパフォーマンス、セキュリティの向上のほか、Windows Vistaで見送られた EFI (Extensible Firmware Interface) やexFATやワイヤレスLAN IEEE 802.11n(ドラフト 2.0)への対応、DirectX 10.1 のサポートなどが盛り込まれる。そして同12月5日にはリリース候補版を、2008年1月24日には新バージョン「Windows Vista SP1 RC Refresh 2」を、SP1のβ1を既に試している1万5000人のベータ テスターに提供した。同2月4日にはWindows Server 2008と共に正式にSP1開発完了の報告があったが、2月21日にSP1のインストールに必要な3つのアップデート ファイルのインストールでトラブルに見舞われ、1つの配信中止を余儀なくされた。3月19日にマイクロソフト ダウンロード センターおよびWindows Updateで公開された。自動更新は5月6日から始まった。2011年7月12日にサポートが終了した。米マイクロソフトは現地時間の2009年3月5日、Windows Vista Service Pack 2(以下「SP2」)のリリース候補版を早期に提供するとした2月の約束を果たした。このSP2はOSブート時の高速化、無線LAN使用時におけるパフォーマンスの向上のほか、Bluetooth 2.1およびBlu-ray Disc、VIA Technologiesの64ビットプロセッサがサポートされた。また、過去のサービス パックによって作成されたバックアップ データをクリーンアップするユーティリティ ツールも用意された。2009年4月28日開発が完了。4月30日よりMSDN及びTechNetのサブスクリプション会員に対し公開され、5月27日にマイクロソフト ダウンロード センターおよびWindows Updateで公開された。既にインストール済みの環境にSP2を適用する場合、SP1が適用されている必要がある。SPなしの初期バージョンをインストール後、直接SP2を適用することはできない。リテール(単体販売)版の出荷終了が近い時期に公開されたためか、SP2適用済みの単体パッケージ版は存在しない(ただし、下位から上位へのステップアップグレードパッケージ版は発売された)。マイクロソフトは、Windows Vistaに関して2種類のシステム要件を公示している 。マイクロソフトから配布されているUpgrade Advisorを使用して、使用機種でのWindows Vistaの動作の可否を検知することができる。このソフトを使用すると使用機種のデータを自動検索してレポートが作成され、機種に適したエディションやそれに必要なシステム要件が表示されるしくみ。ただし、このソフトウェアは32ビットのWindows XPとWindows Vista以外のOSを使用しているユーザーは使用不可。日本市場で、特に日本メーカー製の2005年以前のコンピューターのラインナップでは、メモリーが1GB未満であったり、Windows Aeroやピクセルシェーダー 2.0に対応していない場合が非常に多く、Windows Vistaを動かすことは困難。そのため、一部を除く2005年以前のコンピューターでは一部またはすべてのハードウェアの交換・増設が必要。多くの場合、増設や交換はメーカーのサポート外にあたり、また相性による故障のリスクもあるために、Vista対応世代のコンピューターを新規で購入する方が無難である。通常パッケージ製品のアップグレード版でのアップグレード対象製品は、Windows XPの全てのエディション、Windows Vistaの全てのエディション、Windows 2000 Professionalのみである。Windows XP Home EditionからはWindows Vistaの全てのエディションにアップグレード可能であるが(StarterとEnterpriseを除く)、Windows XP ProfessionalとTablet PC EditionからはBusinessとUltimateにしかアップグレードできない。Windows XP Media Center Edition からはHome PremiumとUltimateにのみアップグレード可能。また、Windows XPからWindows Vistaにアップグレードする際は、どのエディションにアップグレードする場合でも、Windows XPにService Pack 2以降がインストールされている必要がある。また、Windows Vistaの下位エディションから上位エディションにWindows Anytime Upgradeやステップアップグレードパッケージ版を使用してステップアップグレードする事も一応可能であるが、Windows XPと同様アップグレードするバージョンの組み合わせによってはアップグレードできない場合もある(Home Basicからは全ての上位エディションにステップアップグレードが可能であり(ただしHome Premium かUltimateへのみ、その他Home PremiumからUltimate、BusinessからUltimateへは可能)、Home BasicからBusinessへと、Home PremiumからBusinessへは、ステップアップグレード版はなく通常のアップグレード版からは可能。)。ちなみにWindows Vistaの上位エディションから下位エディションにアップグレードする事は当然できない。ただし、上位エディションから下位エディションのインストールメディアを用いてセットアッププログラムを起動し、下位エディションに新規インストールという形で戻すことは可能。また、アップグレード対象製品に含まれているにもかかわらず、Windows 2000 Professionalからは直接アップグレードすることができず、新規インストールを行う必要がある(この場合、Windows 2000にもService Pack 4がインストールされている必要あり)。Windows 2000 Professionalから環境を引き継ぎたい(アップグレードしたい)場合は、先にWindows XPにアップグレードする必要がある。Windows 2000より前のバージョン(Windows 98等)からはセットアッププログラムを起動させることすらできない。余談ではあるが、Service Pack 4が適用されたWindows 2000 Server及びWindows 2000 Advanced Serverからでも、Windows Vistaのセットアッププログラムを起動させ、新規インストールを開始することはできるが、Professional以外のWindows 2000は、パッケージに記載されているアップグレード対象製品になっていないため、アップグレード版のWindows Vistaのインストールメディアを使い、これらのバージョンから新規インストールすると、Microsoftの使用許諾契約書の条項に違反することになる。なお、Windows XPまでとは異なり一度アップグレードすると通常の方法(コントロールパネルを利用した方法)では旧バージョンに戻すこと(アンインストール)はできないが、アップグレード中に作成される元の Windows の情報が格納されているフォルダ「Windows.OLD」が削除されずに残っている場合、コマンドプロンプトを使った特殊な方法で Windows Vista をアンインストールして旧バージョンに戻すことができる場合がある。しかし、若干複雑な手順を踏まなければならない。同じ方法を利用して後続の Windows 7 もアンインストールできる。その他アカデミック アップグレードやボリューム ライセンス版のクライアント OSは基本的にアップグレード版のみの提供となっている。アップグレード対象も異なる場合があるが、Windows XP以外はいずれも新規インストールに限られる。なおクライアント OS のボリューム ライセンスは最新OSへのアップグレード権のみが販売されているため、Windows 7登場後に Windows Vistaのボリューム ライセンスを使用するには Windows 7のダウングレード権を使う形になる。Windows Vistaからはその後継であるWindows 7とWindows 8にアップグレード可能(詳細は各項目参照)。ただし、Windows VistaのどのバージョンからWindows 7、Windows8のどのバージョンにアップグレードしても、それらをアンインストールして、Windows Vistaに戻すことはできない。Windows 7にアップグレードする場合、設定、ファイル、ソフトウェアを受け継いでアップグレードすることができる。Windows8にアップグレードする場合は、ファイルと設定を受け継いでアップグレードすることができる。当初発表されていたWindows Vistaのライセンス規約によると、店頭販売版のWindows Vistaは新しいPCに移し替えることがただ一回しか許されていなかった。二回目以降にWindows Vistaを移し替える場合、電話でマイクロソフトに連絡をとってライセンスの正当性を証明する必要があるとされていた。この規約は強い反発により改定され、複数のPCに同時にインストールしない限りは何回でも移し替えることができるようになった。ただし、インターネット経由での認証は5回までとなっている。Windows XP同様、プリインストール品に関してはシステムロックプリインストールが用いられたため、利用者はプロダクト アクティベーションを意識する必要はない。なおボリューム ライセンス製品ではパッケージ製品とは異なるアクティベーションが新たに行われるようになった(ただしUltimateを除く)。ボリュームアクティベーション2.0(VA2.0)は、Windows Vistaから新たに採用された、ボリュームライセンス(VL)専用のアクティベーション形態である。VA2.0ではキー管理サービス(key-management service;KMS)またはマルチライセンス認証キー(Multiple Activation Keys;MAK)という2形態の新たなアクティベーション方法が採用されることになった。Windows XPで動いていた一部のハードウェア(パソコン本体・周辺機器)やソフトウェア(アプリケーションやユーティリティ)がWindows Vistaでは使用できない場合がある。多くの場合、サポート元が対応しない旨を告知している。古いハードウェアなどでは、Windows Vistaではサポートされなくなった古い仕様に依存するものが多い。ソフトウェアの場合は互換モードで実行すれば正しく動作する可能性がある。このほか、実行時に管理者権限を要求する設定にすることも可能である(管理者権限にするだけで動作する場合が多い)。また、標準ドライバでハードウェアの基本的な機能は利用できるものの、付属ソフトウェアがVista非対応で利用できない場合も多い。特にテレビ視聴や録画などのビデオキャプチャソフトはWindowsのオーバーレイ表示に頼っているものも多く、Windows Vistaには対応しない製品や、Windows Vistaに対応していてもWindows Aeroを停止しないと動作しないものが多い。実際は、オーバーレイそのものに関しては、DirectX 8.0 SDKリリース時点で、将来的に廃止されることが予告されており、DirectX 9.0 SDKで既にレガシー扱いになっていた。また、同様のことがオーバーレイを用いなくても実現できる DXVA (DirectX Video Acceleration) も提供されている。この状況はWindows Vista販売後の製品でもオーバーレイを利用する方式が依然として存在していることに原因がある。2008年4月発売の製品だがオーバーレイが利用されている状況である。互換性を向上させるために更新プログラムが定期的に提供されている。更新プログラムによる互換性の向上の多くはソフトウェアの対応で、利用者の多いソフトウェア企業のアプリケーションを中心にサポートしている。Windows Vistaの発売時にサポートされていなかった製品のサポートが含まれている。リテール パッケージの化粧箱はWindows Vistaからプラスチック製に変更された。この変更はディスクやマニュアルなどを安全に保管することを目的に行われたものである。これを機に、マイクロソフトが販売する製品のリテール パッケージは、全てプラスチック パッケージで統一された。
出典:wikipedia
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