『惑星』(わくせい)は、冨田勲のシンセサイザー音楽としての4作目のアルバム。グスターヴ・ホルストの組曲「惑星」をシンセサイザー用に編曲・演奏したもので、「宇宙3部作」の第1作。原曲にはないストーリー性が与えられており、無線通信音声の付加、「天王星」と「海王星」との重ね合わせ、最初と最後にオルゴールで鳴らされる「木星」第4主題などの構成上の工夫も見られる。ただし、「天王星」と「海王星」との重ね合わせなどの工夫は、当時音楽メディアとして主流であったLPレコードでの収録時間の限界(約54分)という制約から、時間内に収めるために、やむをえず行われたという側面もある。1977年2月19日付けのビルボード(クラシカル・チャート)及び同月28日のキャッシュボックスでそれぞれ1位にランキングされた。ホルストの「惑星」は、編曲や楽団編成の変更禁止、部分演奏の禁止といった禁則事項が設けられていた。現在はホルストの著作権が消失しているが、1976年当時は遺族によって遵守されており、制作関係者の努力によって本作におけるシンセサイザーでのアレンジが合法的に認可された。1977年1月に日本で発売されたLP(RVC-2111)は、RVC株式会社から初回プレスのみダブルジャケット仕様、次回プレスからはシングルジャケットに変更されて発売された。SIDE1「火星」「金星」「水星」(ジャケット表記収録時間 25分18秒)SIDE2 「木星」「天王星」「海王星」(ジャケット表記収録時間 27分15秒)第1作の「月の光」から第3作の「火の鳥」までは、ビクターのCD-4チャンネル方式のLPも発売されていたが、「惑星」はなかなか発売されなかった。次作以降の「宇宙幻想」「バミューダ・トライアングル」「ダフニスとクロエ」はCD-4チャンネルLPの発売はされていたが、この3作の帯裏にある発売中告知のカタログにも、惑星のみCD-4チャンネルLPの番号はない。しかし「火の鳥」と「宇宙幻想」の間の「R4C‐2066」というカタログ番号が欠番になっていたので、何かの事情で発売中止になってしまったかと思われた。原因として考えられるのが、第一に著作権の問題、第二にCD-4チャンネルLPの仕様上長時間の収録が不能である点(SIDE2が27分を超える長時間収録であった)が考えられた。しかし後年わずかな枚数ではあったが、CD-4チャンネルLPは、「R4C‐2066」の番号で発売された。冨田勲のシンセサイザー音楽作品は、1986年7月から9月にかけて、RVC株式会社(当時)からR32Cという分類で国内リリース(定価3200円)されているが、本作だけはリリースされなかった。しかし同時期、外国では以下の仕様でリリースされている。これがなぜ日本でリリースされなかったかについて、公式なコメントはなされていないが、日本は第二次世界大戦の敗戦国であり、著作権の保護期間に戦時加算がなされるため、ホルストの作品についても、諸外国とは異なり未だ有効期間であったことが理由として考えられる。初リリース時の許可は当時存在した、LPレコードやミュージックテープに対して与えられたものであり、CDについては新たに許可を得る必要があったためと推測される。ただし、日本でも国内版発売前の期間も輸入版としては入手可能であった。本CDパッケージのオビに「初CD化」及び「1977年1月発売」と記されている。冨田勲の一連のシンセサイザー音楽作品の中で、唯一DVDオーディオ仕様によるマルチチャンネル作品としてリリースされた。通常、DVDオーディオのマルチチャンネルは5.1chだが、本作はセンターチャンネルのない4.1ch仕様になっている。ライナーノーツに掲載された冨田自身のコメントによると、この音場は正面を決めていないので、その方向を強調しないためにセンターチャンネルを使わなかった。冨田の作品を冨田自身の手で再創造する「イサオ・トミタプロジェクト」第1弾としてリリース。最新のデジタル機材を使用して音の加減や差し替えも行った。このアルバムでは冨田が糸川英夫を偲んで作曲した「イトカワとはやぶさ」が「木星」と「土星」の間に追加されているが、糸川と冨田には次のようなエピソードがある。糸川は60歳を超えてから貝谷バレエ團に入団し、基礎からバレエを学んでいたが、ちょうどその頃、冨田は『惑星』を貝谷バレエ團で使ってもらおうと思い、バレエ團の主宰者貝谷八百子に発売前の音源を、糸川が入団しているとは知らずに渡していた。貝谷は冨田の『惑星』を帝劇での公演に使用することにしたが、これを聴いた糸川は作品を非常に気に入り、一部分でも良いから公演にソロ・ダンサーとして出演させるよう貝谷に訴えた。糸川はダンサーとしては「まだ基礎もちゃんとできていない」状態であったため、貝谷は冨田に「音楽家の立場で冨田さんからからお断りしていただけないでしょうか」と依頼したが、冨田はむしろそれを推したため、結局糸川はみすぼらしい科学者の役として自ら振付までして舞台をやり遂げた。
出典:wikipedia
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