クアトロポルテ("Quattroporte" )は、イタリアのマセラティが生産するEセグメントからFセグメントに属するラグジュアリーサルーン。1963年に初代モデルが発売され、2013年から発売された現行型は6代目にあたる。スポーツ走行時の性能と、サルーンの快適性を両立させたセダンであり、同社のフラッグシップ車でもある。車名はイタリア語で「4, 4つの」を意味する「クアトロ」と「扉、門」の複数形を意味する「ポルテ」とを組み合わせできた複合語で、ボディ形状である「4ドア」の意味。初代はカロッツェリア・ピエトロ・フルアがデザインしたボディに4,100cc/256馬力エンジンを搭載した最高速度230km/hのスーパースポーツサルーンとして、1963年のトリノ・ショーでデビューした。1966年までに230台が生産されたところでエンジンが4,700cc/295馬力に強化され、引き続き1969年の生産終了までに約500台が作られた。4ドアのイタリアン・スーパーカーとして、イソ・リヴォルタ・フィディアとともにユニークな存在であった。日本にも当時のディーラー新東洋企業によって数台が輸入された。1968年にシトロエンの傘下に入ったマセラティが、初代の生産終了後5年を迎えた1974年のトリノ・モーターショーで、「クアトロポルテII」と命名しデビューさせた。シトロエン・SM のシャシーにベルトーネがデザインした4ドアボディを載せた、同社史上唯一のハイドロニューマチックサスペンション付きFWD車であった。しかし、前年勃発した第一次オイルショック後の不況に加え、同社のメラクと同じV型6気筒エンジンが車重に対して相対的に力不足であったことから、1978年までに僅か13台が受注生産されただけに終わった。3代目は、イタルデザイン社のジョルジェット・ジウジアーロによる性能、高級感と実用性の組み合わせたコンセプトカーに近似性を持たせた全長490cm、全幅は約185cmの大柄であるが、全高は138cmと低く、直線基調で台形キャビンの重厚なスタイリングで、1976年に発表された。マセラティをシトロエンから買い取ったデ・トマソによって3代目は「クアトロポルテIII」と命名された。発表後は生産準備に手間取り、実際のデリバリーは1979年からとなった。設計は再び手堅い手法に戻り、フロアパンは親会社となったデ・トマソの4ドアサルーン・ドーヴィルのホイールベースを延長したものを用いた。サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンの独立型。エンジンは1950年代以来同社伝統となっているV型8気筒・4カムで、4,200cc/255馬力が標準、4,900cc/300馬力もオプションで用意された。4,900ccモデルの最高速度は230km/hと公表されていた。内装はウッドパネルや本革をふんだんに用いた豪華なものであった。イタリアのスーパースポーツカーの伝統に則って設計され、メルセデス・ベンツ450SEL6.9を意識したビジネスマン向け高速サルーンとなった3代目は市場からの評価も高く、1984年までに1,876台が生産された。1984年には「マセラティ・ロイヤル」と改称して、大型バンパーやサイドシル、アロイホイール部分のステンレス製プレートや、ダッシュボード中央には楕円のラ・サール製金時計が初めて装備された、マセラティの記念碑的なモデル。またリアシートには左右ドアにビルトインされたピクニックテーブルが装備されるなど、クアトロポルテIIIと比較しても、より豪華な装備となっている。完全受注生産となったものの、1990年までに2,141台が生産された。全長556cmまで引き延ばしたリムジンも製造された。フィアットの傘下に入ったマセラティから1994年に登場した4代目は、マルチェロ・ガンディーニのデザインによる、コンパクトなアグレッシブなデザインを持つ車で、当時の同社主力車種ビトゥルボのシャシーを流用したやや小型のモデルに生まれ変わった。しかし、同社のギブリ(二代目)と共通のV型6気筒・DOHC24バルブエンジンは2,800ccで280馬力、イタリア国内向け2,000ccでは306馬力を誇り、最高速度は3代目を大きく上回る260km/h(2,800cc)に引き上げられた。更に1997年にはシャマルと共通の3,200cc/336馬力V型8気筒ツインターボエンジンモデルが追加され、最高速度は6速マニュアルで275km/h、4速オートマチックでも265km/hにまで上昇した。1998年にマセラティがフェラーリの傘下となると(フェラーリ自体もフィアットの傘下にあった)、フェラーリの技術が導入されるようになり、「クアトロポルテ・エヴォルツイオーネ」へとマイナーチェンジを受けた。但し、新たに同社の経営者となったルカ・ディ・モンテゼーモロの意向で、ダッシュボード中央の、マセラティ・ロイヤル以来同社のトレードマークの一つであったラ・サール製のアーモンド型の金時計は、ダッシュボードから外されてしまった。量感豊かな本革シートや木目パネルを多用した内装の様子からは、その明るいカラーコーディネートとも相まって、当時特に日本で「伊達男が似合う(乗る)車」としてのイメージが定着した。4代目が生産中止されて以降しばらくラインナップから外されていたクアトロポルテであったが、2003年9月に開催された第60回フランクフルトモーターショーで再び5代目となる新型モデルが発表され、翌年春から欧州各国で順次デリバリーが開始された。 究極のイタリアンデザインを表現したとされる独特のエクステリアのデザインは、同社のモデルとしては半世紀ぶりにピニンファリーナが手がけたもので、当時同社に所属していた日本人カーデザイナー・奥山清行によるもの。 開発に際しては、当時マセラティの親会社の立場にあったフェラーリの技術を積極的に採り入れており、性能・信頼性の両面で従来モデルより大幅に進歩し、実際市場からも好評価を得ている。基本モデルに搭載されるエンジンは4.2リッター/400馬力のV型8気筒・DOHC32バルブで、フェラーリ・F430の物とベースが同じ。車両型式はGH-MQP。発表当初のグレード展開は「デュオセレクト」("DuoSelect" )と呼ばれるセミオートマチックトランスミッションを採用した「クアトロポルテ」の単一グレードのみであったが、後に幾つかのグレードが追加された。また市場の要望に応える形で通常のオートマチックトランスミッションも追加設定された。全長は500cm超、全幅は約190cm、重量は約2tという巨体であるが、操安性は極めてナチュラルである。さすがにライトウェイトカーと同様な軽快さはないが、コーナリング性能は巨体を意識させない程レベルが高く、ステアリングの切り込みと同時にノーズからインに入って行く感覚が伴う。雑誌媒体などのインプレッションでは、同クラスのライバル車(メルセデスSクラス等)と比べて一回り小さな車体を操縦している感覚を伴うと評されている。これには同クラスの車両としては非常に珍しくエンジン搭載位置を完全にホイールベースの内側に収めたことが奏功していると考えられる。またトランスミッションについてもデュオセレクト搭載のモデルではミッション本体をリヤアクスル直前に配置するトランスアクスル レイアウトを採用し前後重量バランスが前:47、後:53と最適化されており、運動性能の向上に一役かっている。またオートマチックモデルはトランスミッションの搭載位置が通常通りエンジン後方とされているが、それでも重量バランスはスポーツカーとして理想的な値である前:49、後:51とされており、基本的なキャラクターはデュオセレクトと変わらない。なお、この手の中規模生産数の車の割には内外装のカラーの選択肢が比較的多く、エクステリアだけでも10色以上のカラー選択が可能である。インテリアに至っては、シートの内側と外側で異なるカラーを選択できることに始まり、パイピングのカラー、ダッシュボードの上側と下側のカラー、ステアリングや天井やカーペットのカラー等、インテリアの大部分のカラーや素材を複数の選択肢から発注時に選択でき、これら組み合わせを全て合計すると、実に400万通りにもなる。またホイールデザインやブレーキキャリパーのカラーまでも選択でき、2つとない独自の個体に仕上げられる。また、旧来のマセラティのイメージからは想像に難い現代装備も揃えられており、一例として、電磁ラッチ式のドア・トランクオープナー(トランクにはオートクローズ機能付き)、室内赤外線感知センサー付きのセキュリティーシステム、電磁式パーキングブレーキ(自動解除機能付き)、リービングホーム機能(サイドミラーランプ付き)、レインセンサー式オートワイパー、オートライト、電子施錠グローブボックス、マッサージ機能・ベンチレーション機能付きシート、自動防眩ミラー、コンソール画面で任意に設定可能なオートロックや乗降時のコンフォートアクセス等、数々の快適装備が備えられた(一部オプション含む)。市場からはその走行性能の高さや、ラグジュアリーな内装や数多くの快適装備、エレガントさとスポーティーさを兼ね備えた佇まい、そしてそれらが信頼性の高い技術の上に成り立っていること等から「4ドア版フェラーリ」と比喩された。事実、例えば日本に於いては、この5代目クアトロポルテの存在により、年間販売台数は記録を更新し続けている。また好調な売れ行きを背景に、5代目クアトロポルテをベースにした派生車種としてマセラティ・クーペの後継車の開発が始まり、2007年にマセラティ・グラントゥーリズモとして発表された。2008年10月にはマイナーチェンジが行われたが、元々の評価が高く販売台数の低下も目立たなかったため、変更は内外装の意匠変化程度に留まった。但し前述のグラントゥーリズモのラインナップと同調させるため、排気量を4.7Lに拡大したモデルが新たに設定された。詳細後述。クアトロポルテには、後に発表されたグラントゥーリズモにも搭載される90°V型8気筒エンジンが搭載されているが、セミオートマチックトランスミッションを採用したモデルとオートマチックトランスミッションを採用したモデルとでは各種スペックの詳細が異なっている。5代目クアトロポルテは主要マーケット全体で好調な売れ行きを示し、2008年にはグラントゥーリズモの本格展開も手伝い、日本でも過去最大の販売台数を記録した。2008年10月には5代目初のマイナーチェンジが実施された。基本構造や機関類は前期モデルを踏襲しているが、内外装の意匠が一部変更された。また「デュオセレクト」が需要減を背景にラインナップから外され、「オートマティック」のみとなった。具体的な変更点はMC発表当初のグレード展開は「クアトロポルテ」と、排気量を4.7Lに拡大した新グレード「クアトロポルテS」の2種。後に「クアトロポルテS」を基にパフォーマンスを更に向上させた「クアトロポルテ スポーツGT S」が追加された。これにより、クアトロポルテ全体のラインナップは、ノーマルモデルである「クアトロポルテ」と、排気量を上げパフォーマンス向上を図った「クアトロポルテS」、それをベースに更なる性能向上を目指した「クアトロポルテ スポーツ GT S」の3本立て(全てオートマチック)となった。2013年1月に開催された北米国際オートショーで6代目となる新型モデルが発表された。2013年4月、日本市場で発表され、「クアトロポルテGT S」が導入された。
出典:wikipedia
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