日本における首都圏(しゅとけん)とは、首都圏整備法に基づき整備・建設された関東地方1都6県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)と山梨県を含む地域である。日本における首都圏の範囲は、本法において定義されている(首都圏整備法#首都圏の定義を参照)。近年では、首都を中心とする周辺地域を指す用語として、東京周辺の生活圏(都市圏)を指す「東京圏」(とうきょうけん)や「東京都市圏」(とうきょうとしけん)などが「首都圏」とは別の範囲の東京近郊圏を指す用語として用いられている。本項では、生活圏(都市圏)としての東京圏や東京都市圏についても記述する。日本の首都圏は、1956年(昭和31年)に制定された日本国の法律「首都圏整備法」において『東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域』と定められ、さらに同法律の下位法令である政令「首都圏整備法施行令」において『首都圏整備法 (以下「法」という。)第二条第一項の政令で定めるその周辺の地域は、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県及び山梨県の区域とする』と定められている。一方、九都県市首脳会議は「首都圏サミット」の別名を持つが、1都3県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)とそこの5政令指定都市の知事・市長で構成される。なお、近年では「首都圏」とは別の東京周辺地域を指す用語である「東京圏」(生活圏)あるいは「東京都市圏」(都市圏)などが首都圏と同義で用いられることも多い。これらの圏域は、本来「首都圏」とは別の範囲を指している。各種の統計資料等では、東京都心から50km - 70kmの圏内(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県)、あるいは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県を、「東京圏」や「東京都市圏」として定義する事例が多く見受けられる。近年、内閣府を含めた官公庁や民間団体が「首都圏」という言葉を、東京都区部及びその近隣域を指す「東京圏」や「東京都市圏」の範囲として用いている例がある。以下、東京都市圏の経済について記述する。東京都では約1,313万人(2012年12月現在)、東京都市圏では定義にもよるが約3,400 - 3,700万人である。東京都区部の人口は895万人(2012年12月現在)であるが、昼夜人口変動を考慮したオフィス街の多い都区部における昼間人口はもっと高い。東京都市圏は世界のどの都市圏よりも人口が多く、世界最大の都市である。2008年の東京都の総生産は89兆7149億円(約1兆ドル)である。2008年のニューヨーク市の総生産が6,108億ドル(約50兆円)であることから、東京都はニューヨーク市の2倍近くの経済規模である。2008年の東京都市圏(一都三県)の総生産は160.5兆円(約1.8兆ドル)である。また、2010年の都市雇用圏を基準とした東京都市圏の総生産は157.8兆円である。ニューヨーク都市圏の総生産が1兆2815億ドル(2008年)であることから、東京都市圏はニューヨーク都市圏の1.4倍ほどの経済規模である。国のGDPと比較すると、ロシア(1兆6669億ドル)やインド(1兆2606億ドル)を凌ぎ、世界8位の「国」に相当する世界最大の経済都市である(国の国内総生産順リスト参照)。購買力平価 (PPP)を基にしても、東京都市圏のGDPは1兆4790億ドル(2008年)と非常に大きく、G7の一員であるカナダ全体のGDP(1兆3032億ドル・2008年)などを超える、名実ともに世界最大の経済都市であり(2位がニューヨーク都市圏1兆4060億ドル)、GDP世界12位の「国」に相当する。2014年4月、アメリカのシンクタンクが公表したビジネス・人材・文化・政治などを対象とした総合的な世界都市格付けにおいて、ニューヨーク、ロンドン、パリに次ぐ世界第4位の都市と評価された。2016年10月、財団法人森記念財団 都市戦略研究所が公表した世界の都市総合力ランキングではロンドン、ニューヨークに次ぐ世界第3位との評価を得ている。以下に東京都市圏の分布特徴を著述する。東京都心からの時間的距離に応じて人口や都市空間の集積が遷移するという性質が強く、郊外では放射状に広がる近郊鉄道沿いの人口密度が高いものの、それらの間の地域では人口密度が低くなる。すなわち、ヒトデ型あるいは星型の都市圏構造を呈している。都心、副都心と呼ばれる地区は、おおむね皇居から10km圏内に位置している。一方その外側にはベッドタウンが形成されており、人口に比して商業・業務機能の集積が少ないのが特徴。しかし20 - 40km圏内においては副々都心、業務核都市の指定を受け、また新都心と呼ばれるような業務の集積がみられる自治体も点在している。なお、関東大震災後や第二次世界大戦後には、東京都区部から郊外に無秩序・虫食い状に住宅地が拡大するスプロール現象が起こった。このような事態への対策として多摩ニュータウンなどの大規模ニュータウンが計画されたが、当初の構想とは異なり住宅供給を主体とするものとなり、企業の進出は余り進まなかった。関東の空は、通称「横田空域」と呼ばれる1都8県(東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)に及ぶ広大な空域の航空管制が行われており、羽田空港の離着陸着経路設定にも影響を及ぼしていた。それが同空域からの影響をほぼ受けない成田国際空港の新空港建設の遠因ともなった。また国内航空の最重要ハブ空港である羽田空港も、主に離陸経路の設定に横田空域の影響を受けていたが、1992年と2008年9月25日に、空域が一部返還されており、離陸時の要求上昇率が緩和されたため、離陸経路の設定自由度が増して離着陸着回数増加寄与している。その一方で横田空域を利用する軍用機、自衛隊機等は設定空域が低空であるが故に進入進出路となる地域は騒音問題に悩まされ続けており、横田飛行場(多摩地域)以外にも、特に神奈川県には、厚木基地や横須賀基地、キャンプ座間に代表されるように、米軍基地が密集している。神奈川県内の国道16号(相模原市 - 横浜市 - 横須賀市)は、米軍基地の多さで、沖縄県内の国道58号(嘉手納周辺)と対比されることもある。東京都市圏の人口増とともに都市圏の地価が高騰し、より安くより広い床面積の住居を求める東京都市圏住民が次第に都市圏辺縁部に拡散し、これに伴い東京都市圏が辺縁部に拡大・偏重し、ドーナツ化現象を引き起こした。平成期に入ると、とりわけ新幹線沿線では通勤圏が遠方ギリギリにまで拡大する傾向が目立った。三島や宇都宮・那須塩原・新白河や高崎がその例で、それぞれ東海道新幹線、東北新幹線、上越新幹線の開業当時には東京への通勤圏として一般的に認知されていなかったが、バブル景気以後、東京への主要通勤圏内に入った。また、長野新幹線開業後は安中榛名・軽井沢(首都圏住民の別荘地でもある)にもこの傾向が広まっている。東京都市圏は、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の大部分、茨城県南西部、栃木県南端部、群馬県南東端部、山梨県東端部だけではなく、更に広範に拡大する傾向をみせている。第二次世界大戦後、高度経済成長期を中心に東京湾沿岸には工業の集積が著しく進行し、日本各地の農村部の余剰労働力を吸収する形で「金の卵」と呼ばれた青年労働者(第二次産業労働力が中心)が集まり、臨海部を中心に人口が急増した。また、高度経済成長以後は、日本全国の販売網から集まる売上(内需)や貿易黒字(外需)が東京に集中するようになり、第三次産業の労働力を吸収して東京都市圏の人口は激増した。画一的な団地が次々に建設され、また郊外の良い住環境やマイホームを求める動きも背景として、ニュータウンに代表される郊外の宅地化が急速に進行し、東京の都市圏は特別区の外側に向かって拡大していった。この郊外化は戦前から構築されていた鉄道網を背景とするところが強く、既存の鉄道は度重なる輸送力の増強や新駅の設置に追われた。この他にも路線の延伸や新規路線の開業も頻繁に行われた。このように東京都心部を中心として放射状に伸びる交通網に沿って宅地化が進行したため、多摩地域はもとより隣接する神奈川県・千葉県・埼玉県の各県と茨城県南西部・栃木県南端にまで広がった。欧米の大都市の中には、都心部を含む中心市と郊外の衛星都市群の間にグリーンベルトと呼ばれる緑地帯をはさむものが存在するが、東京都市圏においては、一部で環状都市が構想されたものの、それは実現せず、自治体の領域は名目地域としての性質を強めることとなった。このように、東京都区部の外に連続的に都市圏が拡大した結果、昼間は東京都区部で働き・学び、夜間は東京都区部の外に帰るという「多摩都民」「埼玉都民」「千葉都民」「神奈川都民」「茨城都民」というように、「○○都民」と呼ばれる新興住民が急増した。このような住民は「新住民」とも呼ばれ、居住地区や「旧住民」との疎遠さも指摘された。しかし、近年は新旧住民の交流や地域通貨の導入など、新たなコミュニティーづくりが始まっている。地域によっては、土地とは無縁な瑞祥地名が多く付けられた。その中には、ひらがな表記や、英語などの外国語を含む地名が誕生したのも特徴である。バブル経済期になると、東京で地価が高騰した結果、北は那須塩原から、西は焼津から、新幹線や在来線で東京に通勤することも一般化するようになった。このような一連の通勤圏の拡大により、近縁部の人口が増加すると、その居住人口を背景として衛星都市群の都心の商業が活性化した。しかし高度経済成長の終焉(しゅうえん)やバブル経済の破綻などを機に、地域間の二極化の加速も指摘されるようになった。1990年代後半以降は、それまでの都市圏の拡大から、都心回帰の動きに転じていると言われ、都心部での人口増加、郊外部での減少といった状況が見られる。東京の都心部は、再開発が盛んで新富裕者が居住するようになった一方、老朽化したアパートに住む高齢者や一人暮らしの若者、ネットカフェ難民と呼ばれる貧困層やホームレスが増えている。また郊外の拠点都市では、新都心の造成を始め業務機能の拠点整備や人口増加がみられる反面、やはり老朽化した住宅団地などでは人口減少と急激な高齢化が指摘されるに至っている。富士箱根伊豆国立公園(富士山周囲の保養地、箱根・伊豆半島の温泉地)、水郷筑波国定公園(千葉県と茨城県にまたがる水郷地帯と海岸線)、房総半島東海岸(九十九里浜・御宿・勝浦・鴨川等)や相模湾(湘南海岸・逗子等)などの海水浴場、南房総・三浦半島の避寒地、ディズニーリゾートなどのテーマパーク、東京・横浜の都市内観光地など、関東地方東部・南部から山梨県や伊豆半島に渡る地方は、観光地が集中しており、東京の近接観光地となっている。しかし、「首都圏」という立地条件がデメリットとなっている例もある。特に日光・川越・鎌倉などは、首都圏住民が日帰り旅行として立ち寄る例が多く、地域内への宿泊客が伸び悩んでいる。古代の南関東には京から東海道が延びていた。また武蔵国には上野国まで武蔵道が整備されていた。中世の混乱期にこうした道路網は荒廃したが、江戸時代になると東海道、日光街道、中山道、水戸街道、甲州街道などが整備された。現在、東京都心から郊外に向かって道路・鉄路ともに環状・放射状に発達しているが、郊外に行くに従って整備は遅れている。代表的なものとして環状道路では環状七号線・国道16号、環状鉄路では山手線・大江戸線・武蔵野線+南武線がある。東京都心の外側の環状高速道路として、都心から15-20km圏内に東京外環自動車道と、都心から40-60km圏内に首都圏中央連絡自動車道などの整備が進むが、未完成である。律令制の五畿七道では、関東地方の内、現在の栃木県と群馬県以外は東海道として区分された。このため、日本を交通網で区分する時に、関東の特に東京都以南を東海道として区分することもある。JR、私鉄、地下鉄、モノレールなどが網の目のように張り巡らされ、年間輸送人員は世界一である。ダイヤが正確で、3列乗車など乗降マナーも良く、車内や駅が清潔であるなどの点では評価が高いものの、特に不慣れな利用者には路線網や列車の系統・停車駅が複雑で分かりにくいなどの課題もある。日本国外からの観光客誘致を目指して2003年に始まったビジット・ジャパン・キャンペーンも手伝い、英語の車内アナウンスや、駅の標識のローマ字や番号での表記が増えている。一部の駅の表記にはローマ字の他に隣国で使用されている中国語や韓国語も併記されているものもある。中心的なターミナル駅は東京駅である。JRの中長距離乗車券に適用される「東京都区内」及び「東京山手線内」は、東京駅との営業キロを基に運賃を計算する特例である。また、東京駅は所属する中央本線、総武本線、東海道本線、東北本線、京葉線、東海道新幹線、東北新幹線のすべての起点となっていることから、出発列車はすべて下り列車である。上野駅・品川駅は新幹線の停車駅でもある。新宿駅は一日平均乗降客数が350万人を超え、世界一である。また、新宿駅は長距離バスのターミナルになっている。その他、環状線の山手線主要ターミナル駅の池袋駅、渋谷駅なども乗降者が多く、昼夜人波が途絶えることがない。主要な空港として、東京都特別区内に国内線をメインとする東京国際空港(通称:羽田空港)、千葉県成田市に国際線をメインとする成田国際空港(通称:成田空港)がある。羽田空港は、国内線48都市、国際線28都市(2015年冬ダイヤ)に就航、年間の国内線旅客数は約6257万人、国際線旅客数は1275万人(2015年)を誇り、国内線就航都市数、年間国内線旅客数、年間総旅客数で日本一を誇る。
成田空港は、国内線16都市、国際線98都市(2015年冬ダイヤ)に就航、年間の国内線旅客数は約672万人、国際線旅客数は約3060万人(2015年)を誇り、国際線旅客数、国際線就航都市数、総就航都市数で日本一を誇る。また、成田空港の貿易額は日本全体の貿易額の14%を占め(2015年)、1994年以降常に港及び空港を含めた日本一の貿易港となっている。その他にも、東京都下に調布飛行場、大島空港、八丈島空港、新島空港、神津島空港、三宅島空港がある。また、東京都は、米軍横田基地(東京都福生市)について民間共用化を要望している。国会等の移転に関する法律は、国会等の移転を目指して、その具体化の推進のために積極的な検討を行うべきことを明らかにし、そのための国の責務、基本指針、移転先候補地の選定体制等について定めるため制定された。
出典:wikipedia
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