海部郡(あまべぐん)は、大分県(豊後国)にあった郡。おおむね現在の下記の区域にあたる。天平12年(740年)頃までに成立したとされる『豊後国風土記』において、豊後国の8つの郡のひとつとして海部郡が挙げられている。同書の海部郡の条には「この郡の百姓は、みな海辺の白水郎(あま)なり。よりて海部の郡という。」と記されており、海部郡の名は、海人が多く住んでいたことに因んで付けられたとされる。また、承平年間(931年 - 938年)に成立した『和名類聚抄』には、海部郡に、佐加(さか)、穂門(ほと)、佐井(さい)、丹生(にう)、日田、在田、夜開、曰理、叉連、石井の10郷があったと記されているが、実際には、佐加、穂門、佐井、丹生の4郷が海部郡に属し、他は日田郡に属していたと考えられている。このうち、佐加、佐井は現在の大分市の東部にあたり、丹生郷は大分市東部から臼杵市にかけての地域、穂門郷は臼杵市、津久見市から佐伯市に及ぶ広大な地域であったとされる。『延喜式』神名帳に記される郡内の式内社。臼杵藩・佐伯藩が藩庁を置き、熊本藩が領地を有していた。また旧佐伯藩領の一部が天領(幕府領)となっていた。幕府から公認された臼杵藩の御朱印村全279か村のうち、海部郡分は97か村である。『旧高旧領取調帳』では、本村を分割したり、枝村のいくつかを村扱にして村高を割り付けているため、数字が1町114村に増えている。臼杵藩では、この御朱印村を数箇村ごとに一まとめにして「村組」という行政上の単位を設けて管理しており、臼杵城下にあたる町屋鋪村を除いた278か村は、いずれもこの村組に属していた。村組は各地域の事情によりたびたび組替えが実施されたため、組数・所属も時期によってまちまちだが、文政6年(1823年)の時点ではほぼ最終的な村組が確定していたと見られている。海部郡における文政6年の村組(町屋鋪村を除く96か村)は以下の通り※は枝村明治11年(1878年)の海部郡分割に際しては、全域が北海部郡の所属となっている。豊後国内の熊本藩領全63か村のうち、海部郡分は22か村であり、全村が関手永に所属した。関手永の御茶屋および会所は関村内の佐賀関町に置かれた。なお『旧高旧領取調帳』では、本村を分割したり、枝村のいくつかを村扱にして村高を割り付けているため、数字が39村に増えている。明治11年(1878年)の海部郡分割に際しては、全域が北海部郡の所属となっている。幕府から公認された佐伯藩の御朱印村は26か村であり、この御朱印村を基本単位として、その下に多数の枝郷が所属している。※は天領編入および相給分枝郷は必要に応じて随時再編されており、その名称・範囲等についても時期によって変動が見られるが、享和3年(1803年)に書かれた『郷村仮名附帳』により、概容を知ることができる。『旧高旧領取調帳』では、こうした枝郷やさらに下位の小字のいくつかを村扱にして村高を割り付けているため、156か村と約6倍の数になっている。また佐伯藩では、領内の村を農山村である「在方」と漁村である「浦方」に分類し、それぞれの特質に応じた支配形態をとっていた。御朱印村のうち津久見村については在方と浦方が併在しており、それぞれ津久見村組・津久見浦組として別個に管理されていた。佐伯藩の領域内には一部(床木村と堅田村のうち枝郷9か村)に天領(幕府領)およびその相給となっている箇所が存在する。この村々は、もともと初代藩主毛利高政の弟・吉安の所領であったが、吉安が第3代藩主の選定問題で藩と対立した結果、寛永10年(1633年)に兄から与えられていた堅田・床木の計2,000石の領地を幕府に献上し、自身は蔵米取りの旗本となってしまったために発生したものである。吉安の旧領10か村は当初佐伯藩の預地となったが、寛文6年(1686年)に佐伯藩領と天領との間で争論が発生したため、寛文8年(1688年)に預りを解かれて日田代官所の管轄となり、その後天明3年(1783年)に佐伯藩の懇請により再び預地となって明治3年(1870年)に日田県に移管されるまで続いた。明治11年(1878年)の海部郡分割に際しては、大部分が南海部郡に、津久見村組・津久見浦組全8か村(臼杵藩と相給の鬼丸村を含む)、上浦村組のうち四浦(落野浦・久保泊浦・鳩浦・深良津浦)・保戸島、大坂本村組のうち八戸の計11か村が北海部郡に振り分けられている(北海部郡分はいずれも津久見市に属す)。『旧高旧領取調帳』記載の支配形態は以下の通りだが、海部郡については過渡期の再編・細分化が記載に反映されているため、幕末から明治初年当時の実際の村割と取調帳の記載との間にかなりの差が見られるうえ、後述する明治8年(1875年)の村落統合を経て、明治11年(1878年)の海部郡分割時に存在した村名とも一部でずれが生じている。
出典:wikipedia
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