シャトル(シャットル、shuttle)あるいは杼(ひ)とは、織物を織るときに、経糸(たていと)の間に緯糸(よこいと)を通すのに使われる道具である。梭(おさ)とも。織機で布を織る際、ぴんと張った経糸を、糸に高低の差をつけるように開いて隙間(杼口、ひぐち、shed)をつくり、その間に緯糸を収めたシャトルを投げ入れたり反対側から手ですくい取ったりして、緯糸を左右一方の端から反対側の端まで通す役割を果たす。先端は基本的にはとがった形をしている。指で緯糸を経糸の中に編みこんでゆくより、織機で経糸を開いてシャトルで緯糸を投げ入れる方がはるかに早く布を織ることができる。シャトルには様々な種類がある。最も簡単なスティックシャトル(stick shuttles)は平らな細い木切れでできており、その端に緯糸を引っ掛けるかぎがある。機械織りでは、緯糸(よこいと)をボビンに巻いて収めた平らな舟型の器が一般的である。西洋のシャトルは、堅くて割れにくいハナミズキの木片を磨いて作られる。日本の杼は糸の通し方や織る布の種類に合わせて、縫い取り杼、すくい杼、投げ杼、弾き杼、綴織の地用の杼、細幅用の杼に大別される。一般的には九州の堅いアカガシの木が使われるが、磁器製、金属製、竹製のものもある。シャトルとそれを扱う機構の改良によって織機の速度が速くなったことは、その前段階である紡績のスピードアップも要求し、機械式紡績機が登場するきっかけとなり、産業革命の先駆けとなった。また、「往復するもの」の代名詞でもあり、シャトルバスやシャトルサービス、スペースシャトルといった語の「シャトル」は、この機織りに利用するシャトルからの派生である。シャトルの歴史は古い。クジラの骨で作られた考古学的なものも存在している。緯糸をシャトルに対して横方向に巻きつけるようなタイプである。これはシャトルが経糸とこすれた際に巻いた糸がバラけてしまいやすい。スティックシャトルは平らな細い木切れでできており、その端に緯糸を引っ掛けるかぎがあるもの(上方、右に写真掲載)で、これも歴史が古い。縦に巻いてあるので、シャトルが経糸とこすれてもバラけにくい点では優れている。近代以降に、糸の繰り出しがスムーズになるように改良されたシャトルが生まれた。中央に細長い穴の開いた形状であり、この穴の中に緯糸を巻いたボビン(糸を巻きつけておくための小管)が入れられている。もともと両手を用いて布の端から端へ渡されてきたシャトルであったが、1733年にイギリスのジョン・ケイ によって、シャトルを飛ばす機構の発明、すなわち飛び杼(とびひ)が発明されたことにより、シャトルは片手で(紐を握り、ただ上下に引くなどするだけで)遠くまで飛ばせるようになり、より速く飛ばせ、より幅の広い布を織ることができるようになった。飛び杼は織機の構造をシンプルにし、手織りの作業をよりシンプルなものにしたのである。経糸の上をスムーズに走ってゆくようにするために、下面に木製のローラーをつけることも行われるようになった。自動織機(力織機)の登場によって、飛び杼も自動化されることになった。20世紀の半ばまでの自動織機のシャトル部分(投杼機構、とうひきこう)も、飛び杼の原理をほぼそのまま応用し、人の手で引く動作の部分だけを機械化したようなものであった。布の製造の高速化の要求によって、シャトルを打ち出す速度の高速する技術的な改良が重ねられ、ついには、打ち出されたシャトルは肉眼でほとんど見えないほどの高速で飛ぶようになった。結果として打ち出しの時や反対側で受けが行われる時の衝撃が強くなり、シャトルの先端部分が木では破壊されてしまうので、金属で強化されることになった。自動織機と言っても、緯糸を使い果たした時のシャトルの交換は長らく手作業によって行われていたが、その後、シャトルの交換も自動に行う織機も登場した。原理上・構造上、シャトルは一定以上の質量を持たざるをえず、それを往復運動させることは高速化に限界があった。そのため、緯糸を折り返すことをやめ、適宜切断しながら気体や液体のジェットにのせて片方向に飛ばすシャトルレス織機(無杼織機、むひしょっき)が発明され、現代では高速・大量生産の現場においてはシャトルは消滅している。もっとも現代でも世界全体を見渡せば、行われている布づくり・布の製造のほとんどは、今でもシャトルを用いて行われているのである。
出典:wikipedia
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