イギリス国鉄マーク4客車 (Mark4, Mk.4) は、新たに電化成ったロンドン - リーズ - エディンバラ間のイースト・コースト本線を走行するインターシティ225用にイギリス国鉄が設計した、4番目そして最後の客車である。マーク2・3に比べ、少数が1989年から1992年にかけて、バーミンガムにあるメトロキャメル（1989年5月に鉄道車両部門をアルストムに売却）のウォッシュウッド・ヒース工場で製造された。現在、イースト・コースト () が全 302 輌を客車 9 輌と制御荷物車() 1 輌ならびにクラス91電気機関車 ()から成る 30 固定編成として運用している。マーク4ではマーク3に比べいくつもの改良がなされ、特に手動ドアから押しボタン式のプラグドアに変更された事が大きい。障害者への対応も設計の際の優先事項であり、車椅子の回転がしやすい様デッキが拡張された。増加する「立席客」(gangway passenger) も問題視され、デッキについて壁のカーペット化、照明の向上、ドアからの吹き込み改善、折畳み椅子などによる居住性改善が図られた。これらの改善の多くが、マーク4の元となった先進旅客列車 APT (Advanced Passenger Train、計画自体は中止) に由来する。マーク4の内傾した斜体側面に、APT からの影響が最も強く表れている。この傾斜は、APT で強い批判の対象となり、結局は成功しなかった車体傾斜装置の後日設置を意図したものである。イギリス国鉄の初期の計画ではイースト・コースト本線の電化に続きウェスト・コースト本線でもマーク4を用いる予定だった。しかしインターシティー250 ()計画の予算獲得に失敗したイギリス国鉄は少数のクラス91電気機関車を発注したが、当時のネットワーカー車輌の受注会社はこの製造を阻止した。マーク4は車内表示や車体表記に特徴的な鉄道アルファベット () 字体を全く用いていない最初のイギリス国鉄車輌である。マーク4は、マーク3客車同様、ハットフィールドおよびグレートヘック () での事故で証明された、その類稀なる耐衝撃性のゆえに鉄道産業から広く称賛されるようになった。専門家によれば、これらの事故で死者が少なかった主な要因は車輌が一体構造であったことにあったのである。クラス158・159気動車は、外見こそ似ているものの、マーク4の車体設計に基づくものではない。マーク2、3 と異なり、マーク4はアイルランド鉄道では採用されなかった。2006年半ばに登場したは、スペイン製プッシュプル客車で、設計が異なる。VIA鉄道では、イギリス国鉄マーク4客車の派生型をカナダ内の都市間列車及び寝台列車として運用している。中止されたヨーロッパでのナイトスター列車用車輌の転用であり、カナダ向け改造はボンバルディアが担当した。2003年後半から2006年4月にかけ、かつてのフランチャイズオーナーである グレート・ノース・イースタン・レイルウェイ (GNER) とボンバルディアは、「マラード計画」の名のもとマーク4客車の改修を行った。改修作業の進行中、改修済車輌を用いた列車は「マラード」として未改修車輌による列車と区別された。「マラード」の名称は、GNER の「前身」であるロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道が1930年代に製造した蒸気機関車の速度世界記録保持機、マラードに因む。マラード改修により、マーク4客車には新しい座席とカーペットによる内装が施されるとともに、全席に電源コンセントが設置された。デッキの折畳み席は撤去され、代わりにとまり木タイプのが設置された。また、ビュフェ車は方向転換の上半車が普通席に改造れた。車椅子幅のドアが設置されるとともに、編成全体での座席数が増やされた。ビュフェ車はヴァージンがヴォイジャーやペンドリーノで展開した「ショップ」コンセプトに似たスタイルの「カフェバー」に改装された。しかし、GNER の品揃えはヴァージン・トレインズよりも限定されており、たとえば CD や雑誌は販売していない。GNERは2003年12月から無線インターネット接続を試験導入し、2004年4月からは実運用を開始してイギリスでのこの種のサービスの最初のものとなった (現在ではヴァージン・トレインズおよびサザンでも同様のサービスを提供している)。現在では全てのマラード編成で 802.11b/g 無線LANによるインターネット接続が可能である。ナショナル・エクスプレス・イースト・コースト () が2007年12月9日 (日曜) に新フランチャイズとして運行を開始するまでのインターネット接続は、一等車で無料、普通車では有料だった。新フランチャイズとなってから、インターネット接続は全席無料である。

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