《光世紀世界》(こうせいきせかい)とは、工学博士でSF作家の石原藤夫によって定義された、太陽を中心とする半径50光年(直径100光年 = 1光世紀)の宇宙空間のことである。石原は1978年 - 1979年に『SFマガジン』で太陽を中心とする半径30光年以内に実在する(当時発見されていた)すべての恒星を収録した星表・星図とそれらの解説を連載し、1984年には収録範囲を半径50光年にまで拡大した資料集『光世紀の世界』として発表したほか、1980年 - 1981年には小説『光世紀パトロール』を執筆している。『光世紀の世界』は1985年の日本SF大会で星雲賞ノンフィクション部門を受賞した。元本は私家版ということもあり現在では入手困難だが、一部を抜粋した物が2冊に分けて刊行されている(3分冊となる予定だったが、3冊目の刊行は未定)。《光世紀世界》は銀河系のオリオン腕にあり、銀河系中心から約3万光年離れている。惑星状星雲や球状星団などは存在しない。太陽から140光年ほど離れたところにヒアデス星団(散開星団)があり、《光世紀世界》内の恒星の一部も固有運動からこの星団の影響下にあると推定される。1980年代初頭の時点で判っていただけで738個の恒星が存在し、LCC番号(Light Century Catalogue No. 詳細は光世紀星表参照)が付けられている(これ以外にも未発見の暗い星が最少でも約700個、最大で2千個以上存在すると予想されていた)。恒星の約3分の1は連星系をなしており、ほとんどは主系列星や赤色矮星で、白色矮星や巨星は少数あるが赤色超巨星はなく、中性子星やブラックホールなども発見されていない。いくつかの恒星には惑星が存在することが判明している。知的生物が存在し、文明を築いている惑星系は今のところ一つしか確認されていない。《光世紀世界》は16の宙域、60の星域に分けられている。第1宙域(第1星域 - 第5星域)は太陽を中心とする半径15光年の球体である。第2宙域 - 第4宙域は太陽からの距離が15光年 - 30光年の球殻で、銀緯+20度 - -20度が第2宙域(第6星域 - 第11星域)、+20度以北が第3宙域(第12星域 - 第19星域)、-20度以南が第4宙域(第20星域 - 第24星域)である。第1星域 - 第24星域は比較的近くにある数個の恒星を恣意的にまとめる形で設定され、星域内の恒星を繋ぐ線(一本線かループ状の線、まれに枝別れした線)が引かれている。例えば第1星域はケンタウルス座アルファ星(トリマン/プロキシマ、LCC 0020A / 0030B / 0010)- 太陽 (LCC 0000) - バーナード星 (LCC 0040) - ロス154(いて座V1216星、LCC 0110)- ウォルフ1061 (LCC 0340) からなる。第1星域 - 第3星域、第6星域 - 第11星域、第13星域 - 第19星域、第20星域 - 第24星域はそれぞれ銀河北方向から見て反時計周りに並んでおり、第4星域・第12星域は太陽から見て北に、第5星域は南にある。第5宙域 - 第16宙域は太陽からの距離が30光年 - 50光年の球殻で、以下のように区切られている。第25星域 - 第60星域は宙域を銀経で3等分したものである。光世紀星表は、以下の14枚の表と6枚の付表からなる。『《光世紀世界》への招待』には表1の一部と表2,3および付表a,dが、『《光世紀世界》の歩き方』には表4および表12,13の一部と付表b,cが掲載されている。総合星表には以下のデータが記載されている(『《光世紀世界》への招待』では0000 - 0600のみ全項目を、それ以降と補遺については最初の13項目のみ掲載している)。位置は1950年分点の値。など光世紀星図は9種類66枚の図からなる(2枚1組で1枚として扱っているものもある)。通常の星図は太陽系から天球を眺める形となっているが、光世紀星図ではその方式を採っているのは一部だけで、残りは《光世紀世界》の外側からの俯瞰で描かれている。恒星を表す丸は視点に近い物ほど大きく、また一部の図以外では連星や変光星などを表す符号も付いている。基本は宙域単位だが、半径30光年以内については星域単位の星図もある。1980年 - 1981年、『SFアドベンチャー』に連作短編形式で連載。のち単行本化。全5話。光世紀世界の概念はこの時点でほぼ完成しているが、30光年以遠の恒星についてはまだデータがそろっていなかったためか言及されていない。また、一部の星はLCC番号が後のものより小さい数字になっている。第1話は第11星域、第2話・第5話は第6星域、第3話は第10星域、第4話は第11星域と第6星域の中間にある超微光星(21世紀以降に発見された暗い星の一つという設定)が舞台。2120年代、太陽系文明は第1星域から第11星域を経て銀河中心方向へ進出しつつある一方、第23星域のオリオン座パイ3乗星 (LCC 1430) を根拠地とするパイ3乗星文明や第16星域のりゅう座シグマ星 (LCC 0690) を根拠地とするシグマ星文明と睨み合いを続けていた。パトロール艦《オレーム二世号》は辺境の星々を巡回し、犯罪者や異星人の宇宙船と戦う(光世紀パトロールは第11星域方面の大会社と太いパイプでつながっており、ライバル会社はパイ3乗星人やシグマ星人と手を結んででも利権を奪おうとするという企業間戦争に近い図式にもなっている)。《オレーム二世号》は「光速伸長航法」によって光速が通常空間の1万倍になる特殊空間を作り出し、その中を光速の10分の1強(通常空間における光速の千倍強)で航行することが出来る。乗員は通常6名で、うちヨハネス・ケプラー隊長を含む5名が再生クローンである。再生クローンとは、過去の人物をその子孫たちの遺伝子パターンから逆算して復元したもの(厳密にはクローンというよりデザイナーベビーの一種と思われる)だが、能力や人格がオリジナルと同一とは限らない。なお、同一遺伝子のクローンを4人以上作るのは禁止されている。第11星域には多数の再生クローンがおり、《オレーム二世号》の母港があるGC23298 (LCC 0660) は「再生クローン希望の星」とも呼ばれている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。