ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)は、フランス西部を原産地とする白ワイン用ぶどう品種である。ボルドーおよびロワール川流域のワイン産地では、白ワイン用のメインの品種になっており、現在では、ニュー・ワールドと呼ばれる南北アメリカやオセアニア、南アフリカなどのワイン産地でも、シャルドネとならぶ重要な白ワイン用品種である。名称はフランス語のsauvage（ソヴァージュ、野生の）とblanc「白い」に由来するとされている。なお、世界で最も多く栽培されている赤ワイン用ぶどう品種カベルネ・ソーヴィニヨンは、これとカベルネ・フランという黒ぶどうとの交配種である。ソーヴィニヨン・ブランは、明るい緑色の、ワイン用としてはやや大粒な実のなるぶどうで、ワインは、青草、ハーブ、熱帯果実などの香りがある。ブラック・ユーモアの好きなフランス人にいわせると、ソーヴィニヨン・ブランは「ねこのおしっこ」、シャルドネは、「犬のおしっこ」のにおいがするという。ワインの色は明るい緑色で、酸味が強くフレッシュ感があり、魚介類特に生がきによく合い、チーズ、中でも独特の臭みのあるブルーチーズ青カビチーズ）やシェーヴル（やぎの乳で作ったチーズ）などのよいパートナーになる。グラーヴ地区の高級白ワインのほか、比較的安価なワインが大量に作られているアントル・ドゥー・メール（ガロン川とドルドーニュ川の合流点より上流の中州地域）で多く栽培されている。また、世界最高の甘口白ワインといわれるシャトー・ディケムで有名なソーテルヌやバルザックのワインでは、セミヨン種が主体だが、酸味を補うために、この品種が混醸されている。ボルドーと似たタイプのワインが作られるアキテーヌ地方の、モンラヴェル、ベルジュラック、モンバジャック（以上ドルドーニュ県）、コート・ド・デュラ（ロット＝エ＝ガロンヌ県）でも、白ワインの主体はソーヴィニヨン・ブラン種である。ロワール川流域のワイン産地でも、この品種を使った個性的なワインが作られている。下流から中流にかけては、白ワイン用の品種として、ミュスカデやシュナン・ブランが用いられているが、上流域のトゥーレーヌ、サンセール、プイイ・フュメでは、ソーヴィニヨン・ブラン種による、辛口の白ワインが作られている。白ワインとしてはやや重く、煙でいぶしたような独特の香りがある。ヨンヌ県中央部にある小さな産地サン・ブリは、今世紀になってからAOCに昇格した小さな地区だが、ブルゴーニュでは珍しくこの品種が使用されている。フランスの中のニューワールドと呼ばれるラングドック＝ルシヨン地方のワイン産地では、80年代から、地域の固有品種からボルドー、ブルゴーニュ、ローヌなどの優良品種に切り替えが行われ、セパージュを名乗るヴァン・ド・ペイクラスのワインが増えてきた。アメリカ合衆国、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランドなど、ニューワールドと呼ばれるワイン産地では、ソーヴィニヨン・ブランはシャルドネに次いで多く造られる白ワイン用ぶどう品種である。セパージュワインとしても多く出回っており、シャルドネやセミヨン抔の品種とブレンドしたものも多く作られている。

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