ドルフィン級潜水艦は、イスラエル国防軍の運用する通常動力型潜水艦である。イスラエルは従来から沿岸防衛のため少数の潜水艦を運用していた。80年代後半から、新型潜水艦の導入計画が持ち上がり、ドイツでの建造が一時は決定した。しかし、その費用はあまりに高価と判断され、キャンセルされた。再度イスラエルがドルフィン級の取得に向けて動き出したのは、湾岸戦争による。この戦争で2つの変化が起こった。1つは、戦争においてサッダーム・フセインがイスラエルに数十発のスカッドミサイルを撃ち放ったことである。アメリカ合衆国の強い圧力により、イスラエルは反撃を断念したが、化学兵器の搭載が懸念されていたミサイル攻撃を実際に受けたことは、イスラエルに、国土が大量破壊兵器による先制攻撃を受けても影響を受けずに報復攻撃可能な潜水艦の価値を改めて認識させた。もう1つは、戦後、イラクの化学兵器開発にドイツの企業が協力していたことが明らかになったことである。これによってドイツは強い非難を受けた。特にそれを使用されるかもしれなかったイスラエルの要求は厳しく、過去の歴史問題も併せて、ドイツは潜水艦建造についてイスラエルにかなりの協力を申し出ることになった。イスラエルはより有利な立場で潜水艦を購入することができるようになったのである。ドルフィン級はドイツにおいて212A型をベースに設計されたものである。しかしドルフィン級は209型とは大幅に異なっており、その大きさは212A型潜水艦をも凌ぎ、主機も212A型のAIPと異なり、従来のディーゼル・エレクトリック方式である。喫水線より上の艦体のエメラルドグリーン塗装が印象的であるが、実際の運用状況がどうなっているかは不明。武装は533mm魚雷発射管を6基、650mm魚雷発射管を4基搭載する。533mm魚雷発射管は対艦ミサイルや魚雷の運用、機雷の射出に用いられているが、650mm魚雷発射管は巡航ミサイルを発射できると考えられている。また、潜行中に工作員を放出できると思われる。導入が決まったときから、ドルフィン級はそれまでの潜水艦運用とは異なる運用をされるというのが諸外国の見方であった。ドルフィン級は核弾頭を装着したなんらかの巡航ミサイルを搭載しているというのが、各国研究機関の推測である。ミサイルについては、ハープーンを元に開発された巡航ミサイルなど諸説あるが、有力なのはポップアイをイスラエルが水中発射型として再開発したものである。ドルフィン級は2000年にインド洋においてすでに実射実験を実施済みと報道されており、現在は本国から遠く離れた海域にローテーション配備され、事あるときにはインド洋や紅海からペルシャ湾に突入してイランに対して核報復を行える態勢を構築していると推測されている。ドルフィン級の配備により、これまで国防軍内でもっとも重要度の低かった海軍部門はその戦略的地位を飛躍的に向上させることになり、従来の海軍の歴史とは一線を画すようになった。イスラエルはその核兵器の有無についてと同様に、ドルフィン級の情報を公表しておらず、ドルフィンが核弾頭はもちろん、巡航ミサイルについてもこれを搭載しているとの公式データは存在しない。ドルフィン級については研究機関や報道の推測に頼らざるを得ないのが現状である。イスラエルはドルフィン級を2隻追加購入する計画であり、これは実質新型になるものと思われる。具体的には、212型をベースとするAIPシステムを搭載した艦となる模様である。
出典:wikipedia
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