完了検査申請(かんりょうけんさしんせい)とは、建築基準法(以下、法)第7条第1項に定められた手続きである。建築工事が完了した場合、特段の理由(災害等、やむを得ない理由がこれにあたる)が無い限り4日以内に行わなければならない。申請先は特定行政庁、又は指定確認検査機関である。完了検査申請は検査済証と対になったものであり、完了検査申請後に検査を受け、検査済証の交付を受ける必要がある。完了検査申請は法第7条によって義務づけがされている。通常、建築確認申請の必要な建築行為(用途変更を除く)について行われ、建築確認申請と対になっていると考えることができる。ただし理論上は、建築確認申請を必要としない工事について完了検査申請を行う(そして検査済証の交付を受ける)ケースがある。例えば建築物の耐震改修の促進に関する法律第8条に基づく認定を受けた場合など、建築確認に代えることのできる手続きが行われた工事の場合や、着工時は確認申請が不要であったが、様々な理由で完了時には完了検査が必要となってしまった場合などである。しかしながら、逆に建築確認申請を必要とするが完了検査申請を必要としない場合というのは、理論上はともかく現実には存在しないと考えて良い。このため、通常考えられる状況下では「確認申請が必要=完了検査が必要」と判断して良いと言える。完了検査申請における手続きは以下のような流れとなる。まず所定の様式に必要事項を記入した申請書を提出する。その際、監理者による監理の報告書(どのような監理を行ったかを記載したもの。申請書の第四面がこれにあたる)のほか、検査に必要な書類や工事記録などの資料(工事の内容によって異なる)を添付する。必要であれば手数料を納める。申請後、係員が現場で検査を行う。この検査は申請後7日以内に行われなければならない(法第7条第4項)。ここで建築関連規定に適合しているかどうかの検査が行われる。必要があればさらなる工事資料(記録や写真、証明書など)の検査が行われる。検査は通常、確認申請書の内容通りに工事が行われたかどうかを確かめる。法令への適合性について何らかの疑義が生じた場合、以下のどちらかで扱われる。手続きを経て適法性が確認された場合、特定行政庁や指定確認機関は速やかに検査済証を交付する義務がある(法第7条第5項)。なお、法第7条の5により、一部の建築物(法第6条第1項第4号に規定された建築物)の検査は、検査の特例によって簡略化されている。完了検査時に建築確認の内容と異なる施工が行われている場合でも、それが法令への適合性に無関係なものであれば問題とはされない。例えば、法律上は窓の必要のない部屋についた窓の大きさや位置を変更する場合などである。変更内容によっては変更に関する説明書を提出する場合もあるが、そうした手続きすら不要な場合もある。また、確認申請書に記載する必要のない事項(適法性の審査に無関係な部分)を任意に記載していたとしても、その部分の変更は、法令に適合した範囲であれば特に問題とされない。例えば、ドアの錠の形式を確認申請書に記載していたとしても、錠の形式は法律上の審査とは無関係であり、本来は記載する必要すら無い情報であるため、完了時に異なった形式の錠を使用していても問題とはされない。計画当初から一定の幅や選択肢を考慮して建築確認を受けている場合(例えば基礎杭の施工位置について一定の「ずれ」が生じることを最初から考慮し、適切な補強等の措置を計画の中に盛り込んでいる場合など)、その範囲内であれば問題とはされない。ただし、確認申請時にどの程度まで幅を持たせることができるかは状況によって異なる。法令への適合性に影響を与える変更であっても、一定の範囲の変更であり、それが法令に適合しているものであれば、完了検査申請時に変更内容に関する説明書を添付するだけで足りる。なお、一定範囲を超える変更を行う場合、その部分に着手する前に、法第6条に基づいた「計画変更確認申請」の手続きを行う必要がある。完了検査における現場の検査は計画変更確認申請書の内容に基づいて行われる。この場合は、着工前に手続きを済ませているため、完了検査時における変更とは別の扱いである。検査において実際に法令に適合しない部分が発見された場合、通常は手直し工事が求められ、その工事の完了をもって検査済証が交付されている。もし必要な手直しが行われない場合、検査済証が交付されないばかりか、違反建築物としても取り扱われることとなる。ただし制度上は、検査時に実態違反が発見された場合は「検査済証を交付できない旨の通知書」が交付され、そのまま違法建築物として扱われることとなっているので注意が必要である。また法制度上は完了検査は1度しか行えず(工事が完了するのは1回だけである。また、後から手直が必要ならその工事は完了しているとは言えず、完了検査申請をしたこと自体が違法となる可能性がある)、いちど「適合性を確認できない旨の通知書」の発行を受ければ、制度上は検査済証が交付されることはない(ただし、その後の手直し工事によって適法となれば、もはや違法建築物として扱われることは無いと考えられる)ため、その建築物は検査済証の交付を受けられないままとなってしまう可能性がある。しかしながら、特定行政庁等によって扱いが異なる場合もあるものの、こうした制度が字義通りに適用される場合は少ない。計画変更確認申請を必要とする変更を行ったものの、その手続きを怠ったまま工事を進めた場合、その工事は手続き上の違反となる(実態違反もあれば二重の違反である)。こうした手続き違反を残したまま完了検査申請をした場合、検査済証が発行されない可能性がある。この違反は、既に手続きを行うことができる時期を過ぎているために対処の方法が無いことが重要な問題である。この場合の取り扱いは特定行政庁等によって異なるが、違反は違反であるため、なんらかの行政処分が行われる可能性もある。
出典:wikipedia
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