名鉄5000系電車(めいてつ5000けいでんしゃ)は、名古屋鉄道の通勤形電車。特急列車の運行体系見直しにより、2000系「ミュースカイ」で運転される中部国際空港アクセス特急以外の列車はすべて一般車を連結した一部特別車編成に変更されることとなった。これにより余剰廃車となる1000系の全車特別車編成から主要機器を流用し、新規に製造された車体と組み合わせて誕生したのが本系列である。名鉄では1955年から1986年まで初代5000系が在籍していることから、「新5000系」と称されることもある。なお、名鉄において機器流用車が製造されるのは1993年に落成した1030系2次車(1134F。その後1380系に改造)以来、15年ぶりのことである。3300系・3150系とほとんど同一の日車式ブロック工法による19m級片側3扉ステンレス車体である。ただし、先頭車前面は普通鋼製である。1000系の運転台機器を流用した関係で先頭車前面は非貫通構造となり、1200系・1800系に似ているが、将来の非常用貫通扉設置改造が可能な設計とされている。車体側面の帯色は3300系・3150系と共通で、側窓下に赤帯を1本配する。先頭車前面は3300系・3150系とはブレーキ方式が異なり併結が不可能であることから(後述)、識別のため3300系・3150系で用いられているダークグレーのライトベゼルとガーニッシュをやめ、前面窓下の赤帯もピンストライプから太めの子持ちラインに変更されている。前面および側面の種別・行先表示器は、3300系・3150系ではオーロラビジョンR-STAYを採用していたが、本系列では名鉄初のフルカラーLED式に変更された。行先表示がLEDとなっている場合、側面の表示器は走行中は消灯するケースが多いが、5000系では走行中も点灯したままである。客室のカラースキームはライトグレーを基調とする。座席は2007年に落成した3150系2次車と同様にすべてロングシートで、一人当たりの掛け幅は470mm、座面高さは430mmである。座席モケットの色はブルー系を基調とする。構造は片持ち式が基本であるが、各車両の車端部1か所は機器艤装スペースを確保する観点から脚台付きとしている。客用ドア間の座席部には一部をライトブルーに着色したスタンションポールを2か所に配する。座席部のつり革の位置は床面から1,630mmである。優先席は各車両10席に拡大された。座席モケットは赤系で、加えてつり革とスタンションポールをオレンジ色とすることで、一般座席との区別を明確にしている。ただしJR東日本E233系などに見られる床や壁への配色は本系列では施されていない。車椅子スペースは両先頭車の運転席後部に設置されている。3300系・3150系では折り畳み式の補助座席が設置されていたが、本系列では手すりと車椅子固定用のベルトを設置したため荷物棚を含めて設置されなかった。また、バリアフリー対策として3300系などと同じドアチャイムを装備している。なお、優先席や車椅子スペースの形態は車体のフルカラーLED式種別・行先表示器とともに本系列以降の新造車両にもフィードバックされて標準仕様となった。床は2次車までブルーグレー系の濃淡の2色塗りであったが、2009年度製造分の3次車は前年の2次車投入後に落成した2300系や瀬戸線用4000系と同一で、バリアフリー対策として淡いブルーグレー系の単色にドア付近を黄着色という仕様に変更されている。また、電動車には後述するようにメンテナンス用のトラップドアが設置されている。車内案内表示器はLED2段表示式で、各車両の客用ドア上部3か所に千鳥配置している。中間車両には、他形式同様、車掌が車内巡回中のドア扱い時に使用するドアスイッチが装備されている。運転台は1000系の機器を流用したため主幹制御器とブレーキ弁を配した2ハンドル式である。計器パネル部にはタッチパネル式のモニタ装置も設置されている。ただし従来の3300系などとは表示様式が異なっている。主回路システムは1000系から流用した東芝製GTO界磁チョッパ制御である。電動機も流用品の直流複巻電動機を装備するため、ブラシの保守点検が必要であることから、電動車の客室内床面には主電動機点検蓋(トラップドア)が設置されている。2010年時点では日車式ブロック工法車体で唯一の直流電動機搭載車である。ブレーキシステムは3300系・3150系の電気指令式とは異なり、1000系から流用した回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキである。車体重量の変化に対応してブレーキ力を調整する応荷重装置は乗車定員が増加したことから改造された。主幹制御器も1000系の直列並列指定式を流用したもので、設計上は1380系・1800系・1850系・5700系・5300系との相互連結を考慮したものとなっている。電動空気圧縮機(CP)についても流用品のC-1000形交流電動機駆動タイプを装備する。種車の1000系全車特別車編成ではモ1150形にトイレの汚物処理タンクを設置する関係で両先頭車(ク1000形・ク1100形)に艤装されていたが、本系列にトイレは設置されていないため、他の4両固定編成の系列と同様に豊橋方制御車ク5000形と岐阜方電動車モ5150形への艤装に変更された。補助電源装置は直流330Vを給電するDC-DCコンバータをク5000形・モ5150形に搭載する。2007年度製造分の1次車(5001 - 5004F)は全編成ともボルスタ付き台車FS539・FS039を装備しているが、2008年度製造分の2次車からはボルスタレス台車(SS165F・SS026F)装備の編成も落成している。ボルスタ付き台車に関しては、乗車定員が増加したことからブレーキ力を高めるため、ブレーキてこ比が変更された。制御車に装備する付随台車ではブレーキ配管を2つに分割することで各軸制御に変更し、滑走防止装置が設置された。ボルスタレス台車装備編成についてはユニットブレーキ式であり、所定のブレーキ力が確保可能なことから、前述の変更はされていない。空気笛も1000系からのデュアルトーン装置を流用し、3150・3300系同様の電子ホーンを新設した。台車のブレーキシリンダーを大型化、テコ比を変更して120km/h運転が可能になっている。冷房装置は1000系流用品のインバータ制御集約分散式を各車に2基搭載する。周波数の変更で、1基あたりの能力は17000kcal/hに強化され、型式が RPU-4414B となっている。能力強化に伴い、種車の1000系にあった熱交換器(ロスナイ)は取り付けられていない。パンタグラフも1000系流用品の菱形を搭載する。2014年度時点の車両番号を基本として記載する。合計14本が落成したが、機器流用の種車となる1000系は製造年次により台車や一部の機器が異なるため、これを整理するため同系列のうち4・5次車を種車とする車両を5010F-5014Fとした。1次車は2008年2月から3月にかけて4本が落成。3月23日より順次営業運転を開始し、同月30日からは7000系・5700系6両固定編成の運用の一部を置き換えた。2次車は2008年5月に4本が落成し、同年6月のダイヤ改正より本格的に運行を開始。これにともない7000系6両編成(P6編成)は定期運用を終えた。3次車は2009年5月に2本が落成し、同年6月より営業運転を開始した。残りの4本も同年9月までに落成し、製造予定の14編成が出揃った。3次車落成にともない、従来、主に三河線で運用されていた7700系と7100系は2009年10月の運用変更から翌2010年2月までに順次運用を離脱し、全車廃車となった。また、5300系のうち、2両編成2本が廃車されたほか、5700系のうち、6両編成を組成していた5701・5702Fが4両に組成変更され、この2編成から抜き取られた中間車4両のうちの2両に、廃車された5300系の先頭部分を接合の上で先頭車化して新たに4両編成1本を整備、といった動きがあった。2009年10月3日改正時点では以下の路線で定期運行されている。1次車の営業運転開始から2008年12月改正までは、それまでの7000系または5700系6両編成による運用を置き換える形で豊橋駅や豊川線にも1日数回定期運用で入線していた。三河線の猿投 - 知立間では一部編成が猿投検車区に疎開留置された際に毎週1回1往復の営業運転を行ったほか、豊田おいでんまつりの臨時列車に運用されたことがある。また、5013Fは営業開始間もない頃、代走で尾西線の津島駅 - 名鉄一宮駅間で営業運転を実施したことがある。回送列車では5300系や5700系、1380系と連結して走る場面も見られる。2008年12月改正時点では基本的に営業列車では連結運転は行われておらず、終日4両編成で運用されていたが、2011年3月改正より平日朝間帯に8両での定期の営業運転も行われる様になったほか、2008年12月改正以降消滅していた定期の快速急行での運行が復活した。なお、これまでに数回、1800系と連結した6両編成での営業運転が実施されている。定期の特急運用は持っていないが、本系列は120km/h対応であるため、ダイヤ乱れの際には運用に就けるようにしている。2011年4月13日に所定は5700系の運用を代走して初めて特急運用を行った。築港線でワンマン運転を行っている。車両に乗車整理券発行機や運賃箱はなく、東名古屋港駅でもすべての車両のドアが開く。また、同駅には自動券売機がないが、中間駅がなく大江駅で改集札を行っているためその必要がない。
出典:wikipedia
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