『塩の街』(しおのまち、文庫版サブタイトル:"wish on my precious")は、有川浩によるライトノベル作品。第10回電撃ゲーム小説大賞受賞作。電撃文庫での刊行時のイラスト担当者は昭次。「塩害」によってすべてが塩で埋め尽くされようとした世界に住まう男と少女の恋愛物語。著者のデビュー作であり、自衛隊三部作の「陸」に当たる。ライトノベルとしては異例の「文庫からハードカバーになった作品」でもあり、出版社側は当初、ハードカバーとして出版することを望んでいたが、電撃小説大賞の大賞を受賞したがゆえに文庫として出さざるを得なくなってしまい、その後に大幅な改稿を行った後にハードカバー化されたという経緯がある。そのため文庫とハードカバーで年齢などの設定が多少変わっており、文庫であったF-14で結晶を爆破するシーンがハードカバーでは存在しない。またハードカバー版には本編のサイドストーリーである『塩の街、その後』(後述)が収録されている。塩害により塩に埋め尽くされ、社会が崩壊しかけた東京で暮らす秋庭と、真奈。2人の前を時に穏やかに、時に激しく人が行き過ぎる中で、2人の気持ちは徐々に変わりつつあった。そして、2人の許へ訪れた1人の来客が秋庭と真奈、そして世界の運命を変えることとなる。ここでいう塩害とは一般的にいう塩害とは異なる。この作品中での塩害は東京湾羽田空港沖に建設中の埋め立て用地基礎に落下した、巨大な塩化ナトリウムの結晶を視認したことにより人が感染・塩化し、死に至る病が広がっていることを指す。入江はこの巨大な結晶を「暗示性形質伝播物質」と呼び、紛れもない生物だと明言している。これに感染・塩化し、死に至った人間の亡骸である「塩の柱」もこの病の感染源となる。ただし直接的に塩を目視しない限り感染効果はなく、そのためテレビ等では塩害にはならない。役所が機能を停止するまでに出された塩害による死亡届は延べ300万人分を超え、最低でも推定数百万人以上はいると言われている。入江がこの塩害は結晶を見ると伝染すると考えた理由の大きなものとして、この死亡者の中に視覚障害者が一人もいないという、確率的にありえない事態が起こっていたからであった。この物語の舞台は結晶が落下した半年後と考えられる。この落下により真奈は両親を失い、また国家が臨時国会期間中だったこともあってか国会に登院しようとした議員・政府要人がことごとく被害にあい、内閣・各省庁も事実上の壊滅状態に陥る。関東圏の人口は3分の1に減り、海外でも塩害は広がり始めていた。一時放送各局は報道合戦状態で華やかだったが、スポンサーが無くなるとともに採算の合わなくなった局から閉鎖、最終的にはNHKだけしか残らなかった。残ったNHKも放送局として機能せず、再放送だと疑われるニュースだけを延々と流すだけであった。かろうじてラジオが機能しているかどうかというだけで、情報も入ってこない閉鎖された世界となっていた。また警察などのシステムも機能せず、秋庭のように引き出し(技術や知識)を持たない俗に言う社会的弱者は、配給により食料を手に入れるくらいしか生活するすべがない。生きるのが苦しい人は、誰も住んでいない家や学生などの弱者が住んでいる家、誰もいなくなった商店等を襲撃して食料を手に入れるようになり、治安は悪化を超えてまさに無秩序。生きることが狩る側と狩られる側の戦い無しでは不可能に近い時代と言える。真奈も狩られる側となったが、そこで秋庭に助けられ暮らす場所を与えられた。なお、上記の2人はハードカバー版には登場しない。『塩の街、その後』(しおのまち、そのご)は、本作品のサイドストーリーに当たる短編小説である。電撃hpに掲載された三話と、単行本化の際に書き下ろした一話の、合計で四つの話があり、題名にはそれぞれ、本編より後の話には「飛行後打ち合わせ」の意味を持つ「"debriefing"」が、本編より前の話には「飛行前打ち合わせ」の意味を持つ「"briefing"」が冠されている。
出典:wikipedia
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