『アンクル・トムの小屋』(Uncle Tom's Cabin)はアメリカ合衆国のストウ夫人(ハリエット・ビーチャー・ストウ)の小説。「トムじいの小屋」、または原題どおり「アンクル・トムズ・キャビン」とも。本作は初老の黒人奴隷トムの数奇で不幸な半生を描いている。シェルビー家に仕えていた黒人奴隷トムは、主人の息子ジョージから慕われて幸福な日々を送っていたが、そのシェルビー家が困窮したためにジョージと別れて売られていくことになる。売られていく途中、船で出会った白人少女のエヴァンジェリンを救ったことで仲良くなり、彼女に友達として愛される。しかし、その後にエヴァンジェリンは病死し、トムの理解者だったエヴァンジェリンの父も事故死してしまい、トムは奴隷に冷たかったエヴァンジェリンの母によって悪辣な農場主レグリーに売られてしまう。レグリーの元で残虐な扱いを受けたトムは、最後にはレグリーに暴行されて死亡する。死の直前にトムは、彼を買い戻しに駆けつけたジョージと再会し、そのジョージによって丁重に葬られた。ジョージは奴隷解放、制度廃止の運動に身を投じる。この作品はトムの受難に関するものと、トムと一緒に売られそうになったハリー坊やとその両親がカナダに逃げ延びるまでのものとの二本立てになっており、後者は子供向けに翻案された作品では省かれていることが多い。当時のアメリカは奴隷解放問題で南北分裂の危機を抱えていたため、大変大きな反響を呼び、奴隷解放への世論を喚起する一方、奴隷制の擁護論者からは激しい批判を浴びせられた。ロバート・M・パーシグは、本書を「優れているとはいいがたいが、当時の社会的背景を捉えたために成功した作品」と評する。その後、アメリカは奴隷解放問題を一つの引き金にして南北戦争に突入する。そこに至るうえで本作の存在は無視できないものがある。その影響の大きさは、後年の開戦後にエイブラハム・リンカーン大統領が作者のストウ夫人と会見した際、「あなたのような小さな方が、この大きな戦争を引き起こしたのですね」と挨拶したという逸話からもうかがい知ることができる。その高い知名度から、数回にかけて実写映像化された。この作品は、黒人奴隷問題の摘発の書として知られているが、キリスト教色の非常に濃い宗教小説との評価もある。エヴァンジェリンを天使、レグリーを悪魔と見立てた上で、受難しそれを耐え忍び、自らを殺そうとするレグリーをも赦し、二人の凶暴な男に囲まれて亡くなるというトムの最期は、イエス・キリストをモチーフとする解釈も可能である。エヴァンジェリンにしても、ただ幼い死によって話の悲劇性を際立たせるだけの存在ではなく、年齢の近い黒人少女トプシーの精神を救い、その様は周囲の大人をも感化する小さな伝道者(エヴァンジェリスト)と解釈できるのである。トムの従順な態度は一見脆弱な存在に映ることもあるが、実際にはイエス・キリストの受難になぞらえているのであって、けしてトムを弱い存在として作品自体は描こうとはしていない。一方で、作中のトムの従順な態度から、公民権運動以降のアメリカの黒人の間ではこの作品に対する評価が否定的なものに変化している。現在、黒人の間で通常「アンクル・トム」は「白人に媚を売る黒人」「卑屈で白人に従順な黒人」という軽蔑的な形容を意味する。
出典:wikipedia
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