


『マディソン郡の橋』(マディソンぐんのはし、原題: "The Bridges of Madison County")は、1992年にアメリカ合衆国で発売されたロバート・ジェームズ・ウォラー()の同名ベストセラー小説を原作にした、1995年の恋愛映画。アンブリン・エンターテインメントとマルパソ・プロダクションズが製作し、ワーナー・ブラザーズが配給した。クリント・イーストウッドがプロデューサーおよび監督、キャスリーン・ケネディが共同プロデューサー、リチャード・ラグラヴェネーズが脚本を務めた。イーストウッドとメリル・ストリープが主演した。批評的にも商業的にも成功し、世界中で1億8,200万ドルをあげた。1996年、第68回アカデミー賞でアカデミー主演女優賞にノミネートされた。アイオワ州の片田舎で出会った、平凡な主婦と中年のカメラマンの4日間の恋を描く。世界的ベストセラー(およびロングセラー)となったロバート・ジェームズ・ウォラーによる同名小説(日本語訳・文藝春秋刊)を、クリント・イーストウッドが製作・監督・主演を務めて映画化。この項目では主として映画について記載する。不倫をテーマにした大人のラブストーリーであり、米国のみならず世界的大ヒットを記録した。撮影は、小説に描かれた実在の場所、アイオワ州マディソン郡ウィンターセットに造られた特設セット『フランチェスカの家』(Francesca's House)にて、延べ42日間に渡って行われた。1989年の冬、フランチェスカ・ジョンソン(メリル・ストリープ)の葬儀を出すために集まった長男のマイケル(ヴィクター・スレザック)と妹のキャロリン(アニー・コーリー)が母の手紙と日記を読み始める場面からストーリーがはじまる。「火葬にしてローズマンブリッジから灰を撒いてほしい」というもので、平凡だと思われていた母親の激しい恋を知ることになる。1965年の秋、子牛の品評会に隣町まで家族が出かけ、4日間一人きりになった小さな農場の主婦フランチェスカ・ジョンソン。ウィンターセットに点在するカバードブリッジのひとつ、ローズマン橋を撮りにやってきたナショナルジオグラフィックのカメラマン、ロバート・キンケイド(クリント・イーストウッド)はフランシェスカと出会い恋に落ちる。橋まで案内し、帰りにアイスティーをごちそうする。野の花をつんでくれた彼を夕食に招待する。物静かさが夫たちとは違っていた。翌日は新しいドレスを着たのを「息が止まるほどきれいだ」といい、二人は自然に結ばれる。4日目の夜に「一緒に町を出よう」というのでトランクに荷物を詰める。しかし、家族を捨てる訳にはいかないというと「これは生涯に一度きりの確かな愛だ」という。夫を看取った後に、ロバートを探すが、ある日遺品が届き、『永遠の4日間』という写真集が入っていた。遺骨はローズマン橋に撒かれたという。「せめて残りの身は彼に捧げたい」という遺言で、フランチェスカの遺骨は橋から撒かれ、風に乗って舞い落ちていった。1991年終盤、スティーヴン・スピルバーグが創立した製作会社アンブリン・エンターテインメントはロバート・ジェームズ・ウォラーの発売前の小説『マディソン郡の橋』の映画化権を25,000ドルで購入した。映画公開前までにこの小説は世界中で950万部が売れた。当初スピルバーグはシドニー・ポラックを監督に選任し、カート・リュードックに脚本を担当させたが降板した。キャスリーン・ケネディとスピルバーグが2番目の脚本家にロナルド・バスを連れてきたが、彼らは仕上がりに満足しなかった。しかし3番目の脚本家であるリチャード・ラグラヴェネーズの脚本はスピルバーグと、初期段階から主演を演じることが決まっていたイーストウッドが気に入り、スピルバーグの『シンドラーのリスト』の次の作品として考慮された。スピルバーグもイーストウッドもラグラヴェネーズのフランチェスカ視点での描かれ方を気に入り、フランチェスカの子供たちが成長して母の日記を発見して読むという枠物語を取り入れた。スピルバーグがこの作品の監督をしないことになり、ブルース・ベレスフォードを監督に任命するとベレスフォードはアルフレッド・アーリーに脚本の草案を書かせたが、ワーナー、スピルバーグ、イーストウッドの全員がラグラヴェネーズの脚本の方を支持したためベレスフォードは降板した。ウォラーはフランチェスカ役にイザベラ・ロッセリーニを推薦した。アンジェリカ・ヒューストン、ジェシカ・ラング、メアリー・マクドネル、シェール、スーザン・サランドンも候補に挙がっていたが、ロッセリーニが最適とされた。スピルバーグは同調しなかったがイーストウッドは最初からメリル・ストリープを推薦していた。撮影は52日間の予定で行われたが、実際には10日早い11月1日に終了した。これだけの世界的ヒットを収めた名作にもかかわらず製作に要した期間は、正味42日間だけであり、製作費も約US$900万(当時の日本円にして約11億円)に留まった。イーストウッドはフランチェスカの視点を大事にし、時系列を追って撮影した。イーストウッドはこれについて「それが重要なことだった。我々は実際に俳優としても登場人物としても互いを知り合っていくのだから」と語った。アイオワ州マディソン郡ウィンターセットの他、ダラス郡エイデル、そしてペンシルベニア州ウェストモアランド郡にあるベルズ・ミルズ橋でも撮影が行われた。当初フランチェスカの皮肉を込めた台詞によりR指定を受けたが、イーストウッドの嘆願によりPG-13となった 。1995年6月2日、1,805館で劇場公開された。初週10,519,257を上げ、2週目の『キャスパー』に次ぐ全米2位となった。公開終了時には全米で$71,516,617、海外で$110,500,000の計$182,016,617を上げた。ほか撮影の特設セットであるフランチェスカの家は、撮影終了後も保存、一般公開されていたが、2003年の放火で被害を受け、現在は一般公開されていない。『マディソン郡の橋』はジェイソン・ロバート・ブラウン作詞作曲、マーシャ・ノーマン脚本によりミュージカル化された。2013年8月1日、マサチューセッツ州ウィリアムズタウンのウィリアムズタウン・シアター・フェスティバルにて初演された。バートレット・シアが演出を担当し、エレナ・シャドウがフランチェスカ役、スティーヴン・パスケールがロバート役に配役された。2014年1月17日、ブロードウエイにあるジェラルド・ショーンフェルド・シアターにてケリー・オハラがフランチェスカ役、スティーヴン・パスケールがロバート役、ハンター・フォスターがフランチェスカの夫バッド役に配役されプレビュー公演が開幕し、2月20日に正式に開幕した。バートレット・シアが演出、マイケル・イヤガンが装置デザイン、キャサリン・ズベアが衣裳、ドナルド・ホルダーが照明を担当した。トニー賞においてオリジナル楽曲賞および編曲賞を受賞した。
出典:wikipedia
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