第一号型駆潜特務艇(だいいちごうがたくせんとくむてい)は、日本海軍の駆潜特務艇。有事の局地用駆潜艇として木造艇が1939年(昭和14年)から計画され、試作として雑役船の公称1182号が横須賀工廠で、公称1183号が市川造船所で建造(艤装は横須賀)された。これを受け昭和16年度(1941年)からのマル急計画で第1号から第100号駆潜特務艇の100隻が各地の木造造船所で建造され1944年(昭和19年)までに竣工した。また昭和18年度(1943年)からのマル戦計画により更に第151号から第250号の100隻が建造され1945年(昭和20年)1月までに完成した。マル急計画時は1隻780,000円で第70帝国議会で70隻、第81帝国議会で30隻の予算が成立し、計78,000,000円。仮称艦名は第500号艦から第599号艦。マル戦計画時は1隻866,000円で第84帝国議会で哨戒特務艇(木製100トン)として100隻の予算が成立し、計86,600,000円だった。こちらの仮称艦名は第2001号艦から第2100号艦だった。用途としては、沿岸における哨戒と対潜攻撃を想定し、また港内での交通艇の用途や、曳船にも使えるよう考慮された。設計は逓信省の木船規定に準拠し、戦時の急速建造を考慮して構造や工作方法を決定した。実際の建造では計画より1年程度遅れたが、木材の入手困難と、それ以上の主機の量産の遅れが影響したという。特に工事簡易化はされなかったが、艤装品の簡易化と最後の艇若干が垂直煙突とマストを採用した。また操舵室、機械室などに防弾板を設置した。これらにより復元性が若干低下したので、後期の艇はバラストを搭載した。主機は飛行機救難船に搭載して好評だった中速400馬力ディーゼルを搭載、量産を考慮して1軸とした。当時の漁船は7から8ノット、速い船でも9ノット程度であり、計画の11ノットは駆潜艇としては遅くても、漁船としては速いものだった。これを実現するために船体の長さを増し、その構造を頑丈にして対処した。発電機として15kwと6kwのディーゼル発電機を搭載した。船の大きさの割には有力な装備であり、後の磁気機雷掃海の際に掃海具にそのまま電流を流せ、本型が活躍できる一因にもなった。爆雷は九五式爆雷18個搭載し、手動投下台一型6基、同二型2基を設置する計画だったが、実際には5個載投下台(投下軌道)2組と爆雷庫内に12個の計22個を搭載した。水測兵装(ソナー)は、吊下式水中聴音機と93式1型探信儀を各1組搭載する計画だったが、実際の探信儀は軽便探信儀を搭載し、後に三式2型探信儀に変更となった。機銃は当初7.7mm機銃1挺だった。試作艇の完成図によると船橋前に7.7mm機銃1挺を装備している。機銃はその後1943年に13mm単装機銃、更に1945年に25mm単装機銃に変更された。外線部隊の艇では爆雷の搭載量を10個に減らし、後部に機銃1挺を追加した。「あ号作戦後の兵装装備の状況調査」で1943年から1944年の時点で第34,40,48,64,65,79,198号が13mm単装機銃2挺を装備したと記されている。試作艇の要目は後の量産艇と若干違いがある。相違点のみを以下に列挙する。試作艇の2隻と樺太庁警備船として建造された1隻を含めて、203隻もの同型船が建造された。太平洋戦争中は、北は千島から南はソロモン諸島まで活動を広げ、戦没した艇は81隻に上った。終戦後は、木造船体であることを買われ、第一号型哨戒特務艇とともに掃海艇として用いられることとなり、発電機と掃海具の搭載や、前部甲板への退避室設置などの改装を経て、日本近海にアメリカ軍が散布した磁気機雷の掃海作業に当たった。海上保安庁航路啓開部で35隻が運用された後に、1952年(昭和27年)8月1日に創設された保安庁傘下の警備隊に25隻が転属し、1954年7月1日に発足した海上自衛隊で引き続き運用された。海上保安庁と警備隊では「掃海船」と呼ばれていたが、海上自衛隊では掃海艇(艦種記号はMSI=Minesweeper, Inshore=内海掃海艇)と呼称された。海上保安庁と海上自衛隊で運用された本級は、長期に渡り掃海や救難警備に従事し、最後まで残った海上自衛隊の「いわつばめ」(旧称・第99号駆潜特務艇)は1964年(昭和39年)に退役した。退役した後にも、漁船となって使われ続けた船もあり、そのため「小型とはいえ名艦と称すべき艇である」(『世界の艦船 日本海軍護衛艦艇史』p118)とする意見もある。船体建造所は、市川=市川造船所(宇治山田市)、強力=強力造船所(宇治山田市)、小柳=小柳造船所(静岡市)、佐賀=佐賀造船鉄工所(新湊市)、四国=四国船渠工業所(高松市)、自念=自念造船鉄工所(門司市)、徳島=徳島合同造船(徳島市)、西井=西井造船所(宇治山田市)、林兼=林兼重工業(下関市)、福岡=福岡造船鉄工(福岡市)、福島=福島造船鉄工所(松江市)、船矢=船矢造船鉄工所(函館市)、三保=三保造船所(清水市)、村上=村上造船所(石巻市)、山西=山西造船鉄工所(石巻市)、米子=米子造船所(米子市)。兵装艤装工廠は横須賀=横須賀海軍工廠、呉=呉海軍工廠、佐世保=佐世保海軍工廠、舞鶴=舞鶴海軍工廠。
出典:wikipedia
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