ヴィーガニズム()は、動物製品の使用を行わない生活様式である。エシカル・ヴィーガニズムが動物の商品化を否定し、あらゆる目的での動物製品の使用を拒否するのに対し、ダイエタリー・ヴィーガニズム (純菜食主義) は食事から動物製品を排除するだけにとどまる。また、エンバイロメンタル・ヴィーガニズムと呼ばれる別の一派は、畜産業が環境を害しており、持続可能でないということを理由として動物製品の使用を拒否している。「ヴィーガン」という言葉は、「酪農製品を食べないベジタリアン」を表すために、1944年にイギリスにおいてヴィーガン協会の共同設立者であるによって作られた言葉であるが、ヴィーガン協会は卵の摂取にも反対していた。1951年、ヴィーガン協会は「ヴィーガニズム」の定義を拡大し、「人間は動物を搾取することなく生きるべきだという主義」の意味だとした。1961年、H・ジェイ・ディンシャー はアメリカ・ヴィーガン協会を設立し、ヴィーガニズムをジャイナ教のアヒンサー(生物に対する非暴力)の概念に結びつけた。ヴィーガニズムの運動は、規模は小さいが、年々拡大を遂げている。ヴィーガンのレストランも増加しており、アイアンマン・トライアスロンやウルトラマラソン等の耐久競技のトップ選手の中にも、ローヴィーガニズムやヴィーガニズムを実践する者がいる。アメリカ栄養士協会とカナダ栄養士協会は、栄養のバランスが充分考慮されたヴィーガン食は、ライフサイクルのどの段階においても適切な食事だとしている。バランスを充分考慮したヴィーガン食は、心臓病等、数多くの変性疾患に対し予防効果があることが知られている。ヴィーガン食は、食物繊維、マグネシウム、葉酸、ビタミンC、ビタミンE、鉄分、フィトケミカルの含有量が高く、カロリー、飽和脂肪、コレステロール、長鎖オメガ3脂肪酸、ビタミンD、カルシウム、亜鉛、ビタミンB12が低い傾向がある。植物性の食物にはビタミンB12がほとんど含まれていないため、ヴィーガンはビタミンB12が強化された食品を摂取するか、日々サプリメントを取る必要があるというのが、研究者たちの一致した意見である。さまざまな研究によると、アメリカ合衆国の人口のうち1.4%、イギリスの人口のうち1.0 - 1.6%がヴィーガンであるとされている。ヴィーガンは、心不全、大腸癌、高コレステロール血症、高血圧、前立腺癌、脳梗塞になりにくいとされ 、きちんとバランスが取れていれば、健康によく必要な栄養素をとることができるとされている。菜食主義の概念は古代インドや古代ギリシアまでさかのぼることができるが、肉を避ける人の呼称としての「ベジタリアン」("vegetarian")という英語が使われるようになったのは、19世紀に入ってからであり、オックスフォード英語辞典には、この時期に用いられた例として、イングランドの女優ファニー・ケンブルが1839年に使用した例が挙げられている。この当時のベジタリアンは、肉だけでなく乳製品や卵を避けたり、どのような目的であれ動物を使うことを避ける人々を指す言葉として使われ、より厳格なヴィーガンやまったくの菜食主義者のことも含まれていた。このころ、ヴィーガンおよび厳格なベジタリアン向けのコミュニティを作ろうという試みが幾度かおこなわれた。1834年、ルイーザ・メイ・オルコットの父でありとしても知られるエイモス・ブロンソン・オルコットは、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンに、厳格な菜食主義を実践するを建てた。1844年にはマサチューセッツ州ハーバードにて、農場経営といった動物の利用に反対するためのコミュニティ・を設立したが、こちらは7か月しか続かなかった。一方、イングランドでは1838年に (1777?1842)がサリー州ハムにて、厳格な菜食主義を実践するためのコミュニティ・オルコット・ハウスを設立した 。オルコット・ハウスの参加者は、1847年に全英ベジタリアン協会を設立し、同年9月にケント州ラムズゲートのノースウッド・ヴィラで第1回目の会合を開いた。なお、この時の会合で議長を務めたのはサルフォードの議員であるである。健康上の理由と言うよりむしろ倫理的観点から菜食主義を実践してきた者たちは、動物の利用そのものを避けようという議論を始めた全米ベジタリアン協会の1851年の会誌には皮革に代わる靴の素材についての議論が掲載された 。1886年、イングランドの運動家ヘンリー・ソルトが執筆した "A Plea for Vegetarianism"が出版され、その中で菜食主義は倫理上避けられないことだと主張した。のちにソルトは動物福祉から動物の権利へパラダイム・シフトした最初の人間の一人として知られるようになった。彼の著作はマハトマ・ガンジーにも影響を与え、二人は親しくなった。1910年英国史上初のヴィーガン向け料理本となる"No Animal Food: Two Essays and 100 Recipes"(Rupert H. Wheldon著)が出版された 。歴史家(1944-1999) リア・レネンマンは1901年から1912年の間、協会の大多数が卵や乳製品に対する見解を同じくしていたとを記している。当時のある会員は「屠殺する分の雄鶏数羽いなければ卵は手に入りません」と見解を述べている。結局協会内で解決策が見いだされることはなかったが、1923年に「動物製品を避けるという姿勢は理想的なベジタリアンの姿勢である」という内容の記事が掲載された。1931年11月にロンドンでベジタリアン協会の会合にソルトを含む約500人が参加し、マハトマ・ガンジーが "The Moral Basis of Vegetarianism"という題で、人類の健康を守るほかにも、倫理的観念から菜食(肉のない食事)を勧めるのが、協会の使命であることを語った。ガンジーはロンドン留学当時のベジタリアンが食と病のことばかりを話題にしていたとし、次のように語った。「健康上の理由から菜食を実践することは、一番ひどい方法です。病苦など、つまり単純に健康上の理由から菜食主義を実践する人はたいてい失敗することにわたしは気づきました。菜食主義を貫くには、倫理的な原理が必要なのです。」1970年代より、医学者、、、 Dean Ornish, Michael Klaper、Michael Greger、栄養学者コリン・キャンベルらは、動物由来の脂肪やたんぱく質を中心とした、は体に悪いという意見を述べだした。彼らは、低脂肪・野菜中心をとることにより、冠状動脈性心臓病や糖尿病やある種のがんといった生活習慣病防ぐことができると述べた。CNNの番組に専門家として度々出演する医学者のサンジェイ・グプタはキャンベルの『』は世界中の人々の食生活を変えたと述べている。2010年代に入ると、ヴィーガンの食事が一般に受け入れられるようになり、動物性たんぱく質を使わない主菜の人気が出ただけでなく、ヴィーガン向けの料理をメニューに掲載するレストラン・チェーンも出てきた.。ヴィーガニズムへの関心はウィキペディアの閲覧数にも表れていた。英語版のヴィーガニズムの記事は2009年8月の時点で73,000 回閲覧されたのに対し、2013年8月の時点では 閲覧数が145,000回に伸びていた。これは、同時期の英語版・フランス語版・ドイツ語版・ポルトガル語版・ロシア語版・スペイン語版ウィキペディアにおけるベジタリアニズムの記事の閲覧数よりも大きな数字である。ヴィーガニズムを実践するセレブリティ・運動選手・政治家ら著名人が増えてきており、完全菜食主義を貫く者もいれば、時々行う程度に済ませる者もいるフレキ・ヴィーガンという概念が広まっていることは、エシカル・ヴィーガンにとって腹立たしいものとなっている。ニューヨーク・タイムズのフード・コラムニストであるMark Bittman は、自著 "VB6" (2013)の中で、ヴィーガニズムを実践するのは夜6時以降に限定すべきだと述べている。2010年、欧州議会 は、ヴィーガン向けの食品ラベルの使用を認める法律を制定し、2015年から法律が発効する 。2010年には、オランダでベジタリアン向けに肉の代替品を発売する"De Vegetarische Slager"が開店し、2011年にはヨーロッパで初めてのヴィーガン向けスーパーマーケットがドイツで開店した。また、ドルムンドには Vegiliciousという店が開店し、Vegilicious系列のスーパーマーケット Veganzが2011年にベルリンでオープンし、他地域にも店舗を展開している そして2013年、伝統的に肉料理がふるまわれてきたオクトーバーフェストで、200年の歴史の中で初めてヴィーガン向けの料理がふるまわれた。2012年のギャロップの調査によると、アメリカ国民の2%がヴィーガンであると自認しているという。2007年の時点で豆腐および肉の代替品の売り上げが£786,500,000だったイギリスでは、2012年に行われた政府の調査に対し2%の国民がヴィーガンであると自認していると回答した。オランダ・ヴィーガニズム協会は、2007年の時点で全国民の0.1%にあたる16,000がヴィーガンであることを自認していることを発表した。イスラエルが2014年に行った調査でも、全国民の5%近くがヴィーガンであることを自認していることが判明した。19世紀から20世紀初めのベジタリアンは健康上の理由で動物製品(畜産副産物)を避ける者と倫理上の理由で避ける者に分かれていたが、その状況は依然としてそのままである。ダイエタリー・ヴィーガニズム (純菜食主義) は、肉・魚・卵・乳製品を摂取しないように心掛ける一方、動物由来の成分が含まれている衣服や化粧品を使うことは許容する。それに対し、エシカル・ヴィーガニズムは、ヴィーガニズムを哲学としてとらえており、食事や衣服、娯楽などあらゆる面で動物を商品として扱うことを拒否している。全英ヴィーガン協会は、動物実験を含む動物の利用を可能な限り避けた製品だけを認定している。動物由来の製品には獣肉や鶏肉、海産物、卵、乳製品、はちみつ、毛皮および皮革、ウール、シルクなどのほかに、あまり知られていないものとして蜜蝋、骨灰、ボーンチャイナ、コチニールカイガラムシおよびその虫から採取される色素、カゼイン、ゼラチン、アイシングラス、ラノリン、ラード、 レンネット、コチニールとは別のカイガラムシから採取されるシェラック、ヘット, 乳清、などがあり、これらの多くは完成品の原材料リストに記載されていないこともある。また、エシカル・ヴィーガンは、動物実験が行われた製品の購入も避けている。彼等は毛皮のコートや革靴、皮革製の車用シート、ウールのジャンパー、シルクのスカーフ、カメラフィルム、ダウンやフェザーの入った羽毛布団の購入を避けるほか、製造時に鶏卵を用いるインフルエンザ用ワクチンといった特定のワクチンの使用も拒んでいる。ただし、状況によってはヴィーガン向けでない製品をチャリティ目的で購入したり、使い古すこともある。ウールの代用品には、アクリル、綿、麻、レーヨン、ポリエステルなどがある。一部のヴィーガン向けの衣服や、靴、もしくは皮革の代用品としてヴィーガンらの間では石油由来の原料が愛用されているが、これらの原料は製造時に地球環境へ大きなダメージを与えるため、論争の火種になった。卵・乳製品は製造時に動物を苦しめたり早すぎる死をもたらすことから、エシカル・ヴィーガンはこれらの製品を避けている。いようが、放し飼いにされていようが、雄鶏は卵を産まないため経済的な利益がないとみなされ、多くの雄鶏が間引きの対象にされる。乳牛から搾乳するにも、授乳期を延ばすために人工授精と言う形で常に牝牛を妊娠させる必要がある。牡の仔牛は生まれてすぐ、もしくは肉牛として育てられてから屠殺される。牝は生まれてすぐ24時間から48時間以内に母親から引き離されて育てられる。残された母牛には搾乳機が取り付けられ、結果として乳牛は人間から搾取されているということになる。野生の牛は20年まで生きるが、家畜として飼育されている牛は5年で屠殺され、ひき肉へと加工される。これはヤギにも当てはまる。昆虫を加工した品も避けるべきだという考えに賛同しないヴィーガンもいるが、エシカル・ヴィーガンは、絹およびカイコ由来の製品を避けている。現代の養蜂方法は残酷で搾取的であるという見解は多くのヴィーガンの間で一致している。蜂たちの食料の貯蔵物であるはちみつを搾取する代わりにコーンシロップや砂糖を摂取という方法がとられており、リュウゼツランを原料とするアガベシロップもヴィーガンの間で愛用されているVegan Society と American Vegan Societyは蜂蜜や絹など昆虫由来の製品の使用はヴィーガンにはふさわしくないとする一方、Vegan Actionと Vegan Outreachは個人の自由と言う見解を示している 。 ヴィーガン向けの料理には、チリ、スープ、ラタトゥイユ、ファラフェル、フムス、ヴェジー・ブリトー、、野菜炒め、ヴェジーバーガー、といったパスタ料理が挙げられる。大豆は完全タンパク質を含んでいるため 、豆乳や豆腐、テンペやといった形で使用される。にがりを加えて作られる豆腐は水分含有量によって硬さが異なり、それぞれに適した調理方法があるほか、豆腐を柔らかくしたり滑らかにしたものをサラダドレッシングやスイーツ、シェイクの材料にすることができ、植物性タンパク質はしばしばパスタのソースに用いられる。。また、麩(小麦のグルテン)も蛋白源としてしばしば利用される。グルテンミートといったは、小麦や大豆のグルテンを原料としており、ベジタリアン・ソーセージやベジタリアン・ミンス、ヴェジーバーガーといった、ベジタリアン向けの食品に加工される。豆乳やアーモンドミルク、ココナッツミルク、(コメやオートムギなどを原料としたものが有名)が、牛や山羊の乳の代わりに用いられ、その中でも豆乳とアーモンドミルクは比較的手に入りやすい方である。牛乳1カップ(250ml)につき8gのたんぱく質が含まれているのに対し、豆乳は1カップにつき7gのたんぱく質が含まれている。その一方で、アーモンドミルクはカロリー・タンパク質共に控えめである動物の乳や肉同様、豆乳には完全タンパク質が含まれており、飲むと必須アミノ酸の摂取にもつながり、必要なたんぱく質全部をとることができる。。ただし、母乳の代わりとして乳幼児に豆乳を与えることはできず、母乳を与えない場合は牛乳、または豆乳ベースの乳児用ミルク(SBIF)を与える必要があるアナログチーズはナッツやタピオカでできており 、Chreese, Daiya, Sheese, Teese 、Tofuttiといった商品が売られており、これらは風味や溶けやすさにおいて通常のチーズと変わらない。はチーズに近い風味をしており、ヴィーガン料理においてチーズの代用品として広く使われている。チーズの代用品は家庭でも作ることができ、Joanne Stepaniakの"Vegan Vittles" (1996), "The Nutritional Yeast Cookbook" (1997), "The Uncheese Cookbook" (2003), Mikoyo Schinnerの"Artisan Vegan Cheese" (2012)などにレシピが掲載されている。たとえば、あるヴィーガン向けブリーチーズは、カシューナッツと豆乳と豆乳ヨーグルト、ココナッツオイルから作られている。また、Earth Balanceといったヴィーガン向けマーガリンも存在する。卵を使わないマヨネーズ風調味料のブランドには、Vegenaise, Nayonaise, Miso Mayo, and Plamil's Egg-Free Mayoが挙げられる 。マヨネーズ製造において、卵は増粘剤・つなぎとして入れられる。加熱することにより、卵のたんぱく質の粘り気が増し、他の材料をつなぎ合わせる 。卵1個分の代わりに、挽いた亜麻仁をテーブルスプーン3杯分入れ、亜麻仁3:水1の割合で混ぜ合わせてできたものは、増粘剤とつなぎの役割を持つ。また、Bob's Red MillやEner-G eggといった市販品も卵の代わりとして使うことができる。ヴィーガン向けのパンケーキには、卵の代わりにベーキングパウダーが使われる。このほかにも、きなこ1:水1を混ぜたものや、潰したバナナもしくはプルーンないしは林檎ソース4分の1カップ、裏ごしした豆腐や潰した芋、もしくは小麦粉をテーブルスプーン4杯分・植物油1杯・水2杯・ベーキングパウダー半杯分を混ぜてこねたものや滑らかにした豆腐やマッシュポテトも卵の代わりとして生地に加えられる。医療関係者でつくるNPO団体 (PCRM)は1991年より果物・豆類(大豆、えんどう豆、レンズマメ、ラッカセイなど)、穀物、野菜からなる新四代食品群を取り入れた非コレステロール・低脂肪菜食の推奨を続けてきた。PCRMは一人当たり一日に3つ以上の果物(かんきつ類やメロン、イチゴなどビタミンCの豊富な食べ物は一日1つ以上)と、たんぱく質を豊富に含む豆類2つ以上(豆乳・豆腐・テンペなどの加工品でもよい)、5つ以上の全粒穀物(トウモロコシ、大麦、米など。パンやトルティーヤといった加工品でもよい)、4つ以上の緑黄色野菜(ブロッコリなど)を摂取することが望ましいとしている。PCRMのヴィーガン向け食品群はアメリカ合衆国農務省(USDA)が1956年から92年までに推奨してきた四大食品群(肉・乳・野菜/果物・穀物およびその加工品)に代わるものとして制定された。1992年、農務省は四大食品群に代わってフードガイド・ピラミッドを制定した。2011年には、穀物・野菜・果物・乳製品・タンパク質(鶏肉を含む肉類・海産物・豆類およびその加工品・ナッツ等種子類)の5つの食品群から構成されるMyPlateが制定された。また、イギリス政府も5つの食品群(果物/野菜・いもやパン等の炭水化物・乳製品・肉/魚/卵などのたんぱく質・脂質および糖分)からなるというものを展開しており、このうち乳製品とタンパク質は大豆などの植物性たんぱく質のものからとってもよいため、ヴィーガンでもこれを実践することができる。ビタミンB12は、細胞分裂、赤血球の生成及び成熟分裂、DNA合成、神経の正常な動作に必要とされており、バクテリアによって合成されている。ビタミンB12が欠乏すると、神経が損傷するだけでなく、巨赤芽球性貧血に陥ることもある。ヴィーガンはもちろん、動物性たんぱく質をとるベジタリアンもビタミンB12が多く含まれる食品やサプリメントを摂取する必要があると、多くの栄養士は考えている。多くの場合(少なくとも欧米では)、ヴィーガンがビタミンB12を摂取することは簡単ではないため、菜食中心の食生活を送りながら、ビタミンB12を摂取することの困難さは、ヴィーガズム反対の論拠としてしばしばあげられている。ビタミンB12はバクテリアや藻類・きのこといった微生物によって作り出されるものであり、植物も動物も自分でビタミンB12を生成することはできない草食性の動物はこぶ胃を利用して反芻したり、ウサギのように盲腸糞から摂取する方法をとっている肉食・雑食動物はこれらの草食動物の肉を通じてビタミンB12を摂取している。きちんとあらわれていない野菜には、土中(特に排泄物)の細菌に由来するビタミンB12が含まれている。また、特に発展途上国においては、飲み水にもこれらの細菌に由来するビタミンB12が含まれている可能性がある。栄養士のリード・マンゲルスらは、人間の体内の細菌は消化器官の中でビタミンB12を生成するが、多くは吸収されることなく排泄されるため尿に少量含まれている程度だとしている。医学研究者のジェームズ・ハルステッド(James Halsted)は、動物性たんぱく質の摂取が少なかったあるいはまったくなかったにもかかわらずイランのある地域の住民からビタミンB12が検出されたのは、一緒に暮らしている動物の排せつ物や人間の屎尿を肥料として利用していたことと、その屎尿で育った作物が十分に洗われぬまま食べられていたからであることを、1960年代に行った調査で明らかにした人間の口もB12の栄養源となるが、大した量ではないうえ、B12に類似した非活性物質であることが多い欧米は衛生環境が整っているため、ヴィーガンの食事はビタミンB12不足を招きやすい傾向にある。そのため、このような地域においてビタミンB12を摂取するには、サプリメントや栄養強化食品を食べる必要がある 。サプリメントのビタミンB12は細菌由来のものであり、動物由来のは使われていない。サプリメントや栄養補助食品の摂取しなかったヴィーガンに、ビタミンB12の欠乏症状が出なかったという研究結果が出たことから、ヴィーガン達のコミュニティーの間では、このような栄養補助食品の必要性を疑問視する声も上がっている。 。マンゲルスらは、これらのサプリメントや食品を摂取しなかったヴィーガンに対する長期的な調査が皆無であるがゆえに、ビタミンB12に対する絶対的な評価が出ず、このようなことになったとしている。。また、味噌やテンペといった発酵食品、アラメやワカメ、海苔、昆布といった海藻、ミドリムシ、緑黄色野菜や穀物・豆類には、ビタミンB12が含まれており、さらに言えば雨水にもB12は含まれている。、シイタケ、パセリ、サワードウなどにもB12は含まれているが、これらの食品に含まれるB12は非活性のものであると見られている According to Mangels et al., all Western vegans not using supplements or eating fortified foods will probably develop a B12 deficiency, although it may take decades to appear.。マンゲルスらは、もしビタミンB12を含むサプリメントや栄養強化食品を摂取しなかった場合、十年以上経ってから欠乏症状が現れるだろうとしているタンパク質はアミノ酸で構成されている。雑食性の動物は、タンパク質の3分の1を植物から摂取しており、ラクト・オボ・ベジタリアンはタンパク質の半分以上を植物から摂取していると、栄養学者のReed Mangelsは話している。動物性たんぱく質を摂取しないヴィーガンは、 たんぱく質全てを植物性の食べ物からまかなっているということになる。このとき、人間の体内では合成できない必須アミノ酸も植物性タンパク質だけでまかなえるのかという疑問が生まれる。植物性たんぱく質は、大豆(豆腐・テンペ・豆乳等の加工品や枝豆など)やエンドウマメ、ピーナッツ、黒豆、ヒヨコマメ(ホムスなどの形で食べられることが多い)といった豆類や、キヌアや玄米、トウモロコシ、大麦、ブルグア、小麦(全粒パンやセイタンとして食べられる)といった穀物類、アーモンドや麻の実、ヒマワリの種といったナッツ類などに多く含まれている。キヌアと大豆に関しては、いずれも必須アミノ酸を含んでいるため、完全たんぱく質の摂取に役立つ食べ物と言える。。Mangelsらは、1日に必要なたんぱく質を大豆から摂取することは、生物学的に見て体内に必要な分のたんぱく質を賄うことができるとし、アメリカ合衆国農務省がで、肉由来にたんぱく質の食品を大豆由来のものに差し替えるかもしれないと付け加えた。必須アミノ酸全てを多く含む伝統的な料理には、ベリーズ料理の、コーン・アンド・ビーンズ、ホムス、全粒小麦で作られたピタパンなどがあげられる。従来、適切なタンパク質摂取を植物性の食品で確保するためには、足りない必須アミノ酸を補いあうように、一回の食事毎に様々なタンパク源を組み合わせて摂取すべきだとされていた。しかし、アメリカ栄養士会は、成人の場合、必要な必須アミノ酸は1日の間に摂取されていれば良く、一回の食事毎に全ての必須アミノ酸を取る必要はないという立場を1993年以来取っている。, Messina and Messina 2011, p. 75ff.Mangelsらは、ヴィーガンにタンパク質摂取量を増やすよう忠告しても無意味であるとしつつも、植物性タンパク質にばかりこだわっていては摂取できる必須アミノ酸の種類に偏りが出ることや、これらのたんぱく質は消化が悪いということを頭に入れておく必要があるとしており、成人男性のRDAの25%、つまり体重1kgにつき1gのたんぱく質をとることを勧めている。全英ヴィーガン教会の定めるヴィーガン向けグッズの認定基準は、「動物由来の成分を使っていないかつ、製品および原材料の製造において製造元・支援者・下請けに至るまで動物実験が行われていない」ことである。協会のウェブサイトには認定を受けた企業や製品のリストが掲載されている 。Beauty Without Cruelty は、ヴィーガン向け化粧品・トイレタリーの製造元として、ヴィーガンのコミュニティ内で広く知られている。この企業から認定を受けた企業には南アフリカの Esse Organic Skincareなどがある。イギリスのAnimal AidやHonesty Cosmeticsはネット上でヴィーガン向けトイレタリーなどのグッズを販売している 。また、Kiss My Faceはイギリス・アメリカ・カナダで幅広くヴィーガン向けトイレタリーを販売している。バス用品などの販売を行うラッシュは、世界中に法人を持ち、ネット通販を行っている。ラッシュは自社製品の83%は動物由来原料不使用・動物実験なしだと主張している。カナダのHaut Mineralsはヴィーガン向けBBクリームといった製品を製造しており、オーストラリアのThe Choose Cruelty Free のウェブサイトには、現地で手にはいるヴィーガン向け製品のリストが掲載されている。動物由来の原料は安く、化粧品において広く使われている。動物が食肉目的で屠殺された後に残った物(骨・目玉・脳髄など)は加工されてさまざまな目的で使われている。特に脂肪は化粧品において広く使われている。ヴィーガンは "Animal Ingredients A to Z" (2004) の情報を基に材料に動物由来のものがないか照らし合わせている。たとえば、獣脂は石鹸の原料として広く使われており、コラーゲンから分離されたグリセリンは潤滑剤や保湿剤としてヘアケア用品や保湿用クリーム、ひげそり用クリーム、せっけんや歯磨き粉に使われている。植物由来のもので同じ働きをするものも存在するが、原材料名にグリセリンの表記がある場合はたいてい動物由来である。羊のウールからとれるラノリンも広く使われ、リップクリームや保湿用クリームに入っていることが多い。ステアリン酸も現状のところ顔用クリームやひげそり用クリーム、シャンプーなどに入っている。グリセリン同様、こちらも植物から採取することができるが、動物由来のものが主流である。動物の乳からとれる乳酸やヒドロキシ酸は保湿剤としてよくつかわれる。シャンプーや保湿剤、歯磨き粉に入っているアラントインは、牛の尿からとれるほか、植物のコンフリーからもとれる。アメリカ栄養士協会は、充分考慮されたヴィーガンの食事は「妊娠期や授乳期を含む、ライフサイクルの全ての段階において適切」としているが、ヴィーガンの母親に対しては、鉄分、ビタミンD、ビタミンB12の摂取を補うことを推奨している。また同国栄養士協会などは「特に動物性食品からしか摂れないビタミンB12などの不足しがちな栄養素をきちんと補給できるなら、子供がヴィーガン食を実践することに問題はない」という立場を取っている。ヴィーガン協会は、子供の免疫力を高め、アレルギーのリスクを減少させるため、ヴィーガンの母親に母乳育児を奨めているが、授乳中の母親のビタミンB12欠乏症は、子供にも欠乏症や神経障害をもたらすとされている。必須脂肪酸のω-3脂肪酸、α-リノレン酸およびそれらの誘導体についても、これらの脂肪酸から変換されるドコサヘキサエン酸(DHA)が視神経や中枢神経系の発達に必須であるが、ほとんどのヴィーガン食では含有量が非常に低いため、妊娠・授乳中のヴィーガンの母親は摂取を補う必要があるとする研究がある。母親がヴィーガンであると、子供の出生時体重が軽くなる傾向がある。また、ヴィーガンの母親から双子が生まれる確率は動物性食品を食べている人の5分の1であるとされるが、これを報告した論文では、ヴィーガンでない人たちが酪農製品を摂取することが、特に乳牛に成長ホルモンを与えている地域において双子妊娠の確率を増加させていると結論付けている。親に不適切なヴィーガン食を与えられた乳幼児が極度の栄養失調に陥り、脊柱奇形や骨折が発生したり、あるいは死に至った事例が何件か報道されている。。責任ある医学のための医師委員会の栄養部長であり、ある乳児死亡事件の検察側鑑定証人を務めたエイミー・ラヌー博士は、ヴィーガン食について「赤ん坊にとって安全であるだけでなく、動物性食品ベースの食事より健康的である」、「本当の問題は(その子供が)どんな種類の食べ物も十分に与えられなかったことにある」と書いている。2016年8月、イタリアの保守政党フォルツァ・イタリアの国会議員エルヴィラ・サヴィーノは、ヴィーガンの食生活が「子供の食事において大事となる[健康でバランスの取れた成長]に不可欠な栄養素に欠けているもの」であることを理由に、それを自分の子供に強制する親を罰する法案を同国議会に提出している。サヴィーノの法案は16歳以下の子供を対象としたもので、この法案が可決され成立となれば、親が子供へのヴィーガン食の強制だけでも最長で1年、子供がそれによって病気を患った場合は最長4年、そこから子供が没した場合は最長6年の懲役が科せられることになる。また子供が3歳以下の場合は、更なる厳罰が用意されているといわれている。しかし、同氏の法案がやや過激な内容のものであることから、これに対して「刑罰よりも正しい情報を周知させることに重点を置くべきだ」という意見も多く出ている。
出典:wikipedia
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