バリ・ヒンドゥーとは、バリ土着の信仰とインド仏教やヒンドゥー教が習合した信仰体系であり、バリの人びとの90%以上がこれにしたがった生活を送っている。バリ島では、クディリ朝の支配下に入った11世紀初めごろからヒンドゥー・ジャワ文化の影響が及び始め、その後しばらくジャワの支配を離れるが、マジャパヒト(マジャパイト)王国がバリを征服した1343年以後、16世紀初めにジャワのイスラム化によって同王国が滅亡するまでにヒンドゥー化が広く浸透した。マジャパヒト王国滅亡時にジャワの貴族や僧侶が大挙してバリに亡命したためであり、現在のバリ人の大半はマジャパヒト王国民の末裔であると自負している。これ以降、20世紀初頭にオランダによって植民地化されるまで、バリは独自の歴史の歩み続け、バリ・ヒンドゥーの宇宙論を発展させました。バリ・ヒンドゥーにはさまざまな神が存在するが、インドネシア共和国独立後は、建国五原則パンチャシラのひとつにある「唯一神の信仰」に従って、そうした神々は、唯一神サン・ヒャン・ウィディのさまざまな現われに過ぎないと公式解釈されるようになっている。バリ・ヒンドゥーのカーストは、次の四つのワンサに分かれており、上から3つが「トリワンサ」(貴族)と呼ばれる。人口の90%以上はスードラに属する。バリの人びとの名の頭には、カーストによって以下の名称が付される。バリ・ヒンドゥーのカーストは、インド・ヒンドゥーのような厳しい戒律による差別はみられず非常に緩やかなシステムである。いわゆる不可触賤民も存在しない。人びとの生活レベルでバリ・ヒンドゥーの信仰体系を作り、支えているのがデサ、バンジャールと呼ばれる地域組織である。デサは、カヤンガン・ティガと呼ばれる三位一体の寺院を中心として形成される「村」である。カヤンガン・ティガを構成する寺院のうち、プラ・バレ・アグン(大会議堂寺院)とプラ・プセー(起源寺院)は村の山側(カジャ)に位置しており、プラ・ダルム(死者の寺院)は海側(クロッド)にあり、プラ・ダルムは多くの場合、墓地とともにある。バリの人びとにとって、カジャは聖なる場所であり、クロッドは穢れた場所であるから寺院の配置もそれに従ったものになっている。デサは土地と密接に結びついた共同体であり、その成員は、供犠や寺院祭礼を通して、デサの領域を宇宙の安定のために清浄に保つ責任を負っている。バンジャールは、デサ内での共同居住を原則とする地域単位である(バリ島南部ではひとつのデサが複数のバンジャールで構成される)。デサ単位のものを含むすべての儀礼(ヤドニャ)の準備はバンジャールの成員が共同労働で行うため、バンジャールのメンバーシップなしにはバリ人は生きていけない。バリのカースト制はインドのように厳格なものとはいえないとはいえ、最高司祭プダンダはブラフマナ出身者に限られている。これに対して、非ブラフマナの宗教司祭はプマンクーと呼ばれ、その権威・権能も限られている。観光客がしばしば目にする葬式や祭りなどの祭礼とは別に、プダンダが毎朝の義務として行なっているのがスーリヤ・セーヴァナ(太陽の崇拝)である。この太陽とは、シヴァの現われとしての太陽である。マントラとムドラーが中心となっており、その本質は、自分自身がシヴァと同一化することで自己浄化を行なうことにある。またプダンダの儀礼は、聖水を創り出すという点で、プダンダ以外の人びとにとっても重要な意味を有している。葬式などの儀式では常にこの聖水が必要とされるからである。なお、プダンダは、これらの儀式の際には聖水を与えるだけで他の役割を果たすことはない。プマンクーの儀式は、丸覚えのサンスクリットのマントラを唱えながら花などを神に捧げるという単純なものである。マントラの内容はおおよそ、の7つの要素から成り立っている。シヴァは同時に仏陀としても捉えられて、「南無仏陀・南無シヴァ」などといった要素が繰り返し現われるが、全体の構成は明白にシヴァ教のものである 。バリに見られるさまざまな儀礼は5つのカテゴリーに分類され、これをパンチャ・ヤドニャという。ただし実際にはこの区分はあいまいで、パンチャ・ヤドニャの分類は、儀式の焦点がどこに向けられているのかを示すものにすぎない。どの儀式においても、バリ・ヒンドゥーのコスモロジーの根底をなす二元性の維持にまなざしが注がれており、排他的にひとつの対象にだけに供犠がなされているわけではないからである。第一のブタ・ヤドニャは、祓い・浄化の儀式である。ブタは悪霊を意味し、チャルと呼ばれる供物がこの地下世界の悪霊に捧げられ、土地の浄化が行なわれる。第二のマヌサ・ヤドニャは、通過儀礼である。バリ暦()で、出生時、生後12日、42日、3ヶ月後や、210日後の最初の誕生日、また結婚前には削歯儀礼が行なわれる。第三のピトラ・ヤドニャは、死に関する儀礼である。ただし、一般には葬儀のみで終わることも多い。第四のデワ・ヤドニャは、神々に対してなされる儀礼である。ウク暦ないしバリ風に変化したサカ暦()の一年に一度、寺院祭礼が行なわれ、寺にまつられている神や祖霊神が降臨する。また、寺院祭礼の他にも、神々や祖霊神を祭る儀礼としてガルンガン、クニンガンがある。第五のルシ・ヤドニャは、祭司になるための通過儀礼である。プダンダになるための儀礼をムディクサ、プマンクーになるための儀礼やその他の加入儀礼をムウンティンと呼ぶ。
出典:wikipedia
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