外国人嫌悪(がいこくじんけんお)および外国人恐怖症(がいこくじんきょうふしょう)は、外国人や異民族などのアウトサイダーと見られている人や集団を嫌悪、排斥あるいは憎悪する気質を指す。「きわめてあいまいな心理学的概念」。ゼノフォビア(xenophobia)の訳語で、「外国人嫌い」などと訳される場合もある。ゼノフォビアとは、ギリシア語の" (xenos, 異人、異国、よそ者、外国人)と"(phobos, ポボス、恐怖)に由来する。あらゆる国、民族に存在し、かつてこれが行きすぎたために大量虐殺が行われた事例も数多くある。日本は、人口の98.5%を日本人が占めるため、しばしば「国民の大部分が日本民族により構成される単一民族国家である」と主張され、また居住者の99%以上は日本語を母語とする。また、外国人居住者の多くは地理的距離が日本に近く、肌の色がほぼ同じで同系のモンゴロイドたる中国人、朝鮮人、台湾人などである。このような社会的均一性が、日本における外国人恐怖症の背景となる。また、江戸時代において鎖国が約250年も続いたために、外国人や異民族との係わり合いを経験することは極めて少なく、極端な場合には会話さえ難しいこともあり、「外国人恐怖症」の原因となっているとする主張がある。それに対し、日本が島国であるということから思いついた単純な決め付けであり、江戸末期における開国以降の長い歴史を考慮に入れない偏見である、との反対意見もある。日本人による外国人嫌悪の対象は一般に欧米人(とくにロシア人)やアフリカ人、中東人などが中心であるが、特定の人種・民族や集団に対する例には以下のようなものがある。2008年10月9日、総務省が同年4月から5月に全国のホテルや旅館1万6113の宿泊施設を対象に郵送でアンケートを実施した結果(7068施設が回答、回答率43.9%)、37.8%が「2007年に外国人の宿泊がなかった」(別の報道では、37.8%が「外国人旅行者を受け入れていない」)と回答、そのうち客室30室未満の小規模施設の72.3%、客室100室以上の大規模施設の44.2%が、「今後も受け入れたくない」と回答している。受け入れたくない理由(複数回答)は、「外国語対応ができない」が75.7%で最多、その他、「施設が外国人旅行者向きでない」の71.8%、「問題が発生したときの対応に不安がある」の63.4%、「精算方法に不安」の22.2%などが続いた。日本国政府は2010年までに外国人観光客1000万人の誘致を目指し、2008年10月1日には観光庁を発足させた。アンケートの結果を受け、総務省は「国が主導して受け入れやすい環境を整える必要がある」としている。一方でJNTOの「訪日外国人旅行者満足度調査」(平成17年)によると、訪日外国人旅行者の94%が再訪日を希望しており、欧米諸国からの旅行者の5割、「台湾、中国、香港」からの旅行者の3割近くが「日本の人々が親切で礼儀正しい」ことを理由にあげている。以下のような議論には、日本人の外国人嫌悪が一定程度関係するかもしれない。日本は難民条約を批准しているものの、難民認定数は年間数十人程度である。2005年1月18日にはトルコから逃れ、国際連合難民高等弁務官事務所が難民と認めたクルド人を、難民とは認められないとして強制送還した例がある。これは日本とトルコが友好関係にあることが影響しているものと思われる。なお、日本は山や森林が多く、居住可能な地域が欧米に比べて少ない点も考慮する必要がある。現状は、就労ビザではなく観光ビザで入国し、期限切れを無視して日本に残留し(不法残留)そのまま不法就労する者、また彼らを扱うブローカー、闇ビジネスが存在しており、彼らは更に苛酷な条件で、中小企業中心に働かせられているとも言われる。法務省は不法就労の摘発に力を入れ、通報を受け付けているが、これについても片や「外国人への偏見を生む排外主義」、片や「犯罪者なのだから当然、速やかに追放せよ」と真っ向から対立する。多民族国家であるアメリカにも外国人嫌悪の風潮は存在し、テロリズムなどが発生する度に保守系の共和党 (アメリカ) が主張の材料に用いるなどの強まる傾向がある。ドナルド・トランプは、イスラム系やメキシコ系移民・渡航者に対する過度な規制を掲げており、同氏は対立候補であるヒラリー・クリントンや英エコノミスト誌などから「ゼノフォビアである」と指摘されている。現在のドイツにおける外国人嫌悪()は、主としてトルコ系移民がその対象となることが多い。第二次世界大戦後の西ドイツは、戦後復興とともに驚異的な経済成長を達成したが、それに伴い労働力不足が深刻になった。このため西ドイツ政府は各国と二国間協定を結び、外国人労働者の募集活動を行った。当初は東欧や南欧などから労働者を集めていたが、ベルリンの壁建設により東欧からの労働者流入が止まると、トルコからの労働者の流入が急増していった。政府はこれらの労働者を「ガストアルバイター」(、客人労働者)と呼称し、彼らが供給する低廉な労働力を自国の労働力不足を補うために短期間だけ利用するつもりでいた。しかし、トルコ系を中心とする外国人労働者の多くは経済的に豊かなドイツへの定住を望み、本国から家族を呼び寄せるようになった。その結果、石油危機による経済低迷やベビーブーム世代の労働市場参入により労働力不足が解消され、政府が外国人労働者の募集を停止した後も、ドイツ国内に定住する外国人の数は引き続き増加し続けていった。帰国奨励金の支給などの政策も大きな成果は挙げられなかった。このため、ドイツには現在、約200万人のトルコ系住民が居住しており、無期限滞在許可を取得した長期滞在者や永住者、帰化人、ドイツ生まれの移民2世などがその大部分を占めている。政府は彼らの社会的統合を図ろうとしているが、ドイツ再統一による経済的混乱や旧東ドイツ地域の旧国営企業の倒産などによって失業者が増加し、労働市場が不安定化したため、外国人労働者に対する国内感情は悪化し、トルコ系移民を主な対象とした民族差別やネオナチによる外国人襲撃事件などの暴力行為が頻発しているほか、外国人労働者の排斥を訴える極右政党に対する支持も一部の地域で高まっている。これらの外国人嫌悪の矛先がトルコ系住民に向けられることが多い理由としては、トルコ系住民の数の多さに加え、彼らがムスリム(イスラム教徒)であることが挙げられる。ドイツ人とは言語だけでなく宗教的・文化的にも価値観の異なるトルコ系の人々が、ドイツの社会や文化に同化することなく、ドイツ国内に異質な少数派社会(、並行社会)を形成していることに対する反発は強く、ドイツ社会の中に多くのムスリムの移民を内包することへの忌避感が高まってきている。また、外国からの移住労働者がドイツの充実した社会保障制度に「ただ乗り」しているといわれていることも、外国人に対する嫌悪感を増大させる一因となっており、外国系住民の多い地域では、保守派の政治家から地区ごとに外国人住民の比率の上限を設けることなどを訴える声が挙がることもある。フランスでもドイツと同様に、石油危機による経済低迷により外国人労働者の受け入れを停止し、帰国を希望する者には帰国奨励金の支給を行ったが、それ以前に移住した外国人労働者による家族の呼び寄せなどにより、定住外国人の数はその後も増加していった。しかし、アラブ系などの外国人労働者の増加に対するフランス国民の反発も強く、彼らを対象にした人種差別も根強く存在している。こうした国民感情を背景に、移民の排斥などを訴える極右政党・国民戦線に対する支持が高まってきており、2002年フランス大統領選挙では同党党首のジャン=マリー・ル・ペンが事前の予測を覆して決選投票にまで進出して注目を集めたほか、2004年に行われた欧州議会議員選挙でもフランス全土で168万4868票(9.8パーセント)を得て7議席を獲得した。また、就職などで差別され、貧困や失業に悩まされている移民2世の若者らのフランス社会に対する不満も強く、2005年には社会に反発した移民の若者らが中心となって、大規模な暴動がパリをはじめフランス全土で発生した。その後、ニコラ・サルコジ内相が若者らを「社会のクズ」呼ばわりしたことで暴動が急拡大し、近隣ヨーロッパ諸国に飛び火。フランスだけでも死者や1,000人を超える逮捕者が出て、フランス政府が非常事態宣言を発令するまでに至った。その後、移民の滞在資格選抜の厳格化などを定めた新移民法が制定された。自国文化に対する正当な理解、矜持が無いために、他国人を侮辱することで優越感を得ようとする卑劣な側面も否定できないともされる。また、外来語を使わないようにするなどの自国語を守る運動を否定する側面もある。また、文化の相違などから、特定の民族に対して相手の文化を侮辱する目的で使用される呼称がある。例えば、英語では、フランス人の食文化に対する侮蔑を目的とした「フロッグイーター」(カエル喰い)が、韓国語では日本人の衣服文化に対する「チョッパリ」(豚足:足袋の先が割れているのを蹄に見立てて言う)などが他国の文化を侮蔑する目的で使用される侮蔑語である。
出典:wikipedia
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