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ザ・ムーン

『ザ・ムーン』は、ジョージ秋山による漫画作品である。『週刊少年サンデー』(小学館)において、1972年14号から1973年18号まで掲載された。サンコミックス(朝日ソノラマ)にて単行本化され、後に文庫化もされている。ザ・ムーンとは、大富豪の魔魔男爵が二兆五千億円(当時)を費やして作り上げた巨大ロボットである。「神は死んだ」と語る男爵は、悪がはびこる世界への怒りから力こそ正義であると考え、新たな神としてムーンを作った。そして本当の正義を見つけ出せる純粋な心を持った少年たちにその操作を預ける。サンスウ・シャカイ・カテイカ・タイソウ(サンスウの弟)・ズコウ・リカ兄弟(双子)・オンガク・ヨウチエン(オンガクの弟)という、変わった名前を持つ9人の少年少女たちが心を合わせた時に、ムーンは動く。(般若心経を唱えて精神統一を行ない、念力で空中浮遊~飛行も可能となる)少年たちは、真の正義と平和のためと言って日本に水爆を落とそうとする連合正義軍や、老人の悲哀を訴えて悪事を尽くす春秋伯爵を相手に、人びとの幸せのために勇敢に戦い続ける。男爵の手下である糞虫という不思議な忍者風の男がそれを助けてゆく。少年読者を意識した設定ながら、街なかに晒される生首や、ハンマーで額に釘を打つ殺人者など、秋山独特の不気味な描写に彩られて物語は展開し、少年漫画とは思えない結末へと向かってゆく。魔魔男爵は九人の少年少女に巨大ロボット「ザ・ムーン」を与える。そして、男爵の下僕“糞虫”が影となり九人の警護につく。都内では首が晒しものにされる生首事件が発生。カテイカは何者かに誘拐されてしまう。残された子供らはカテイカを誘拐した組織をつきとめサーカス団の「ビッグ魔法団」に潜入する。子供らは誘拐犯に捕らわれてしまうもザ・ムーンを動かすことに成功、窮地を脱するのであった。サーカス団を背後で動かしているのが“未来”という男だ。一方、サンスウの前にバイクで疾走する“正義”と名乗る仮面の男が現れる。さらに仮面の男の集団が現れサンスウに「我ら連合正義軍」と叫ぶとその場を去って行く。その後も仮面の男は現れサンスウに招待状を渡す。仮面の男は仲間になるよう誘うもサンスウはこれを拒否する。ザ・ムーンの前に集結した子供らの前に“国家機密”を携えた男が現れその場で倒れてしまう。その中にはマイクロフィルムが隠されており水爆投下に関する情報が写されていた。再び仮面の男がサンスウの前に登場。「我々の偉大な指導者は未来で日本のとある場所に水爆を落とす。君も仲間になるように」と勧めるのであった。連合正義軍は水爆ミサイルを搭載したトレーラーとバイクで道路を疾走。ザ・ムーンが現れこれを阻止するが、ミサイルは海中に没してしまう。連合正義軍の水爆投下目標は四国であった。彼らは投下後、何十万の犠牲者に黙祷を捧げた後自決する覚悟でいた。ザ・ムーンは陸上に上がるが、そこには巨大オランウータンが待ち受けていた。この生物は連合正義軍が30億円の研究費を投じて製作したサイボーグで猿の脳を搭載していた。しかし、時は満月の夜、ザ・ムーンの三日月板が満月と重なり破壊光線(フルムーンアタック)を発射してサイボーグを粉砕する。サンスウの前に一人の仮面の男が立ちはだかり切腹する。彼の正体はサンスウの先輩である流であった。彼は「直に水爆が四国に向けて発射される」と言い残して死んでしまう。水爆ミサイルが遂に発射された。ザ・ムーンがこれを両手で掴んで海中に入ると水爆は爆発し、第一話が終了する。九人の子どもたちに日常が戻り普段の通学生活が始まる。新入生の踊次郎が入学してくる。彼は路上の通行人(実は人形)の額に釘を次々と打ち込み、それをサンスウらに目撃させた。さらに彼の前に消滅したはずのザ・ムーンが現れた。ザ・ムーンは魔魔男爵によって海中より引き上げられたのであった。台風の夜、踊は九人をダム湖へと誘導する。湖底に眠っている黄金をザ・ムーンで引き上げるためだ。だがダムに亀裂が入り決壊が目前となる。決壊はザ・ムーンの活躍で免れ、踊とその仲間は警察に逮捕されてしまう。鉄人間が路上を彷徨い人を襲う事件が発生。首謀者は春秋伯爵で彼は大邸宅に住み、巨体な水槽で美女を泳がせるなど贅を尽くした生活を送っていた。しかも巨大な飛行ロボット「ファーブル」を操りザ・ムーンを攻撃し右腕をもぎ取ってしまう。九人の子どもたちは般若心経を唱えサイコキネシスによりザ・ムーンを浮遊させる。しかし何十体ものファーブルが飛来してザ・ムーンは連れ去られてしまった。サンスウは一人春秋伯爵の屋敷に忍び込むが庭の中からザ・ムーンが出現し、九人を襲ってくる。伯爵は自らの脳波でザ・ムーンを動かすことが出来るのだ。さらにファーブルが続々と飛来、しかし、九人は般若心経でザ・ムーンを飛行させファーブルを撃退。伯爵は敗北する。大雪が降り、つららが空から降ってくる。そして晴れると巨大UFOが出現。やがて日常の身の回りのものが消えるという事件が頻発するようになる。ついにはサンスウとカテイカが消えてしまう。残された少年らは草むらで話のできる犬(ケンネル星人)を拾うが、下北沢を介して豪商の木の国屋商衛門に連れ去られてしまう。(ケンネル星人は、下北沢から木の国屋が買い取った)サンスウとカテイカは無事戻ってきた。二人はUFOに連れ去られ代表のセントバーナー提督と会談したのだ。もう一人のケンネル星人(探索隊員)が現れるがやはり木の国屋に拉致されてしまう。ケンネル星人は地球人との友好を目的に地球を訪れたが、木の国屋は商売目的で星人との取引をする気でいた。東京上空にUFOの大群が出現する。サンスウは中田首相に接触し、提督との会談の内容について話す。首相はついに提督と会談する。提督は首相に地球生物をカビで死滅させることを告げ、人間がどうするかを見届けたいと語る。東京に巨大ロボット「黒龍号」が出現しザ・ムーンを連れ去られ埋められてしまう。世界はカビに覆われていく。最後は九人の子供らがザ・ムーンを呼び起こし、カビ発生装置を破壊しようとするが次々に倒れてしまい結末は不明である。連載当時の1970年代と2006年頃にTVアニメ化の企画が立てられていたが、いずれも頓挫している。なお、2006年版の監督は神戸守の起用を予定していた。

出典:wikipedia

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