赤沢氏（あかざわし）は、武家氏族の一つ。清和源氏（河内源氏の庶流甲斐源氏）の流れを汲む小笠原氏の庶流。発祥は伊豆だが、早期に信濃に移った。小笠原氏の初代小笠原長清の嫡男長経の次男清経が、伊豆国田方郡赤沢郷を本貫として赤沢氏を称したのに始まる。また、初代清経が伊豆守に任ぜられたことから、以後の当主も伊豆守を称する事が多い。初代清経は伊豆より信濃国埴科郡埴生に移住し、以後子孫は主に信濃を本拠とした。4代長興は宗家小笠原長氏の子、8代満経の娘は小笠原持長に嫁すなど、宗家とは密接な関係にあった。建武2年（1335年）、小笠原貞宗に従って信濃に出陣、この時の武功により信濃筑摩郡浅間郷を与えられ、信濃に移住したとされる。その後、時期は不明ながら北信濃に塩崎城を構えて居城とした。この塩崎城は応永7年（1400年）の大塔合戦に登場、この戦いで赤沢一族は小笠原長秀方として参陣して敗北する。永享12年（1440年）に結城合戦に参加した信濃武士の記録（結城御陣番帳）の17番目に「赤沢殿」の名前が残されている。小笠原政康の死後に起きた小笠原家の内紛では、持長（府中家）に味方して漆田原の戦いで勝利するが、赤沢教経（対馬守）が戦死を遂げている。教経の後を継いだ朝経は、家督を嫡男の政経に譲って上洛。管領細川政元の重臣として山城・大和・河内方面で養子の長経と共に活躍する。しかし永正4年（1507年）の政元の暗殺と共に朝経は丹後で敗死（永正の錯乱）、生き残った長経も翌永正5年（1508年）に処刑され、河内にいた政経も戦いに敗れて永正6年（1509年）に信濃に戻る。その後、甲斐の武田氏による信濃侵攻に対して小笠原家に与して抵抗するが、小笠原長時の没落によって赤沢氏も信濃を去ることになる。政経の後を継いだ時の当主経智は息子長勝・経直（小笠原貞経）を伴って長時と共に同族である三好長慶を頼って上洛するも、永禄元年（1558年）に長勝は北白川の戦いにおいて討死、貞経は奥州の相馬氏に寄寓した。その後、慶長9年（1605年）に貞経が徳川家康に500俵で召し出され、小笠原に復姓した。一方、信濃に残留して武田に仕えた一族もあり、「武田分限帳」に軍役40騎を務めた記録が残されている。これらの一族は、武田滅亡後は長時の子小笠原貞慶に帰属するが、後に謀反を起こして滅亡したとされる。貞経は小笠原宗家の長時・貞慶父子より、「糾方内儀外儀」（弓馬術礼法）と「師範」の許状を受けたとされる。2代後の小笠原直経は家伝の故実書を台覧に供しており、その子常春の時には将軍家の姫の輿入れを任された。以降の子孫も将軍家の儀礼を沙汰している。また徳川吉宗により復興された流鏑馬・笠懸の式は常春に預けられ、近侍の家臣に師範するよう命ぜられた。以後幕府の弓術師範（騎射）家となった。この家系は現在も小笠原流弓馬術礼法の宗家として存続している。 凡例 太線は実子、二重線は養子。

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