日本の農業(にほんののうぎょう)は、日本における農業とその状況である。日本の農業(林業・水産業除く)の国内総生産は、2009年で5兆3,490億円であり、全産業の1.13%を占める。就業人口は2009年で236万人(食品製造業を除く)であり、全産業の3.7%を占め、建設業に次ぐ国内二位の就業人口である。旧来の日本の農業は、関税や補助金による保護や農作物の価格保証によって、国の農業政策に沿う穀物を生産するだけで一定の経営が保証された。しかしこのような農業政策撤廃を迫る国際的圧力が強まり、日本のWTOの加盟による農産物の貿易自由化などから、これらの保護は徐々に減り、日本の農業も国際市場における穀物価格の動向に直接影響を受けるようになってきている。農産物の輸入自由化によって大手穀物メジャー(、カーギルなど)も進出し安価な海外産農産物が輸入されたので、価格競争力の低い国内農業では付加価値の高い品種に重点が置かれている。また農業従事者の高齢化に伴い離農はしないまでも出荷をせず自家向けの生産しかしない農家が増えており、農業協同組合 (JA) や市場に実際に出荷している農家は統計より少なくなっている。しかし農産物直売所の売上高は全国的に増加しており、小売店や飲食店、消費者への直接販売も一般化し、販路も拡大してきている。農産物の輸入自由化が進んできた結果、国内では作物が不作の場合でも輸入品によって供給されるため、市場価格は世界市場の影響を受け、以前ほど値上がりすることがなくなり、経営が悪化する一つの要因となっている。近年、世界市場における食糧価格は高騰しているが、円高も進んでいるため日本国内における輸入食料品の価格はそれほど上がってはいない。市場価格が低い場合、利益を上げる選択肢として耕作面積を拡大して生産量を増やす案が出ているが、大規模農家に転換するには相応の資金が必要であり、負債の返済の目処が立たないため、個人経営での農地の集約はなかなか進んでいない。また、国内での新たな農地開拓は困難であり、ヘクタール単位の圃場を運用できるような余地も少ない。さらに、集約によってコスト削減を追求する場合、単純作業をパートや期間労働者に任せることになり、これは他業種で言えば派遣労働などに属する部類であるが、農業では季節に応じて仕事量が大きく変動し、また同一の農産物を生産する限り需要が重なることとなるため、そのあたりはどう処理するのかなど、問題点も多い。後継者がいないが放置できない農地を他の農家に低額で貸し付けることがあり、優良農地についてはある程度の集約は期待できるとされる。しかし単純に散在する農地を一つの農家に任せることとなったとしても、経営改善の効果には限度があると考えられる。すなわち、宅地と混在した細切れの圃場を集めて、統計上の数字で規模を大きくしても、例えば1台のトラクターが同時に作業できるのは1か所であり、人間についても同様のことが言えるのであるから、圃場間の移動や管理のために、一ヵ所に集約された農地を保有する場合と比較すると、多くの機械や人員を分散して確保せざるを得ないことなるのである。また、現在の農業は家族経営の最低賃金を割り込んだ労働で維持されているが、組織化すればそのようなことはできないため、結局は、現状の家族経営よりコストを圧縮することが困難である。現在、品目横断的経営安定対策が実施段階に入っている。これは集落単位の営農組織に農地を集積することで経営の効率性を上げる施策だが、これまでの「農家」単位の農業から「集落」単位の集団農場的な農業への転換は、個々の農業者の意識の面でも機械装備等物質的な面でもスムーズには進んでいない。現在、日本各地では後継者不足の解消のためにまったく別業種からの人材(定年退職者を含む)もしくは、新卒の大学生、あるいはニートなどの失業者を新規就農させる取り組みが行われており、メディアへの露出も徐々に増えてきている。これは林業や漁業など他の第一次産業にも共通してみられる事である。しかし新規就農のためには制度的な課題も散見される。特に重大な課題は新規就農者の農地確保の壁である。日本の農地は農地法により農家以外への売却や多用途への転用が厳しく管理されている。田圃や畑、雑種地などの地目を持つ土地は固定資産税が宅地に比べて安価で、地価自体も極めて低い傾向があるために、実際に耕作する能力を持つもの以外への売却は脱税や資産隠し、或いは不正な土地利用の防止の観点から認められていない。農地法の管理下にある農地を購入するには農家資格を有することが絶対条件とされているが、この農家資格は一定以上の規模の農地を継続的に耕作している実績が認められなければ取得できないため、農家の家庭出身または婚姻などの手段で先代の農地を世襲で引き継ぐなどの方法以外では、まったくの新規就農者が生活を成り立たせるためのまとまった規模の農地を自己所有することは極めて難しいということにもなる。そもそも、新卒者や失業者にはまとまった土地を購入するだけの資金を工面することが困難である。そのため、現在の就農形態としては、おおむね次のような手法が主流である。1. 農業法人への就職2. 大規模農家への研修生入り3. 農業協同組合または自治体の農業研修を経ての独立1や2の場合には新規就農者は労働者としての立場となるため、新卒学生やニートなど自己資金がさほどない者でも就農できるメリットがあるが、就農先によっては激務薄給など労働条件が極めて過酷であったり、他の職種の徒弟制度同様に実質的には無給に近い立場となる可能性があることも覚悟しなければならない。現状では新規就農者や農業研修生の人権保護を目的にした労働組合も存在しないため、労働条件の確認は事前に十分行っておく必要がある。3の場合には新規就農者は農業技術者(小作人)である同時に経営者としての立場となるため、しっかりとした経営感覚及び、十分な経営資金を持つ者でなければ継続して事業を続けることが難しい問題が存在する。自己資金が乏しい場合には研修運営元が融資を行ってくれる場合もあるが、この状態から小作農地を実際に購入して完全独立を果たすのは決して容易なことではない。新規就農の労働条件としての問題点は、日本の農業というものの構造的な収益性の低さや各農家が抱える人件費削減の課題などと密接に絡んでいる。受け入れ側は技術や農地の継承というよりも単なる安価な労働力か、地主として農地の減価償却を行うための小作人としてしか新規就農者を見ていない例も散見され、就農側も特殊な農業技術の習得や収益の大きな販売営業手段の確立など、経営者・技術者として高度な専門知識が必要であることを理解せず、派遣労働に似た単純労働先としてしか農業を捉えていない例が散見されることが、こうした労働条件と現実のミスマッチを生む要因ともなっている。基幹的農業従事者の高齢化傾向はまだ続いているものの、近年、新規就農者は増加傾向にある。特に2008年頃からの深刻な就職難から若い世代の人々が就農を目指す動きが盛んになり、限られた支援枠に多数の希望者が殺到する事態になっている。農林水産省の管轄する農業に関する法律は多数に及び、徹底した管理を実施している。規制緩和を行い就農者を増やす動きや農業の法人化についても検討されつつある。以下は、関係法令の一部である。
出典:wikipedia
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