電波利用料(でんぱりようりょう)とは、電波の適正な利用を確保するため、電波法に基づき総務省が無線局の免許人から徴収する料金のことである。日本以外の外国では、競売でライセンスを販売する方式と、金額を政府機関や審議会で決定する方式がある。日本では郵政省が1993年(平成5年)5月1日から導入された制度であり、当初の目的はの受益者負担の原則を目的とした利用料的性質のものであり、そのため電波の占有量ではなく、免許されている局数に対して「1免許あたりいくら」の徴収であった。電波利用料の年額を次に示す。無線局免許状の免許の有効期間を超えない範囲で、あらかじめ支払う前納が可能な場合がある。テレビジョン放送の無線局は、2003年度から2010年度においては、追加額が指定されている。2005年(平成17年)10月1日より、移動体通信・無線アクセス向けの周波数帯域の迅速な新規割り当てのため、逼迫周波数・逼迫地域での利用について帯域幅・人口密度・空中線電力などを加味した算定方法となった。その他の区分においても、利用価値に応じた料金となった。帯域幅の考え方としては、「使用する帯域 / 利用する免許人の数」で算出することが原則となった。マルチチャネルアクセス無線などについては利用実態に応じた換算係数が定められている。無線局の免許の日になると、総務省から無線局免許状の免許人に対して納入告知書が送付されるので、それを日本銀行や郵便局、金融機関に持参して納付するか、口座振替・インターネットバンキング・Pay-easyの手続きによって行う。印紙での納付はできない。指定された納付期限までに納付できない場合は、督促状が送付され、延滞金が加算される(電波利用料1000円未満の場合は加算はない)。それでも納付されない場合は、国税徴収法の滞納処分の例によって、 強制的に差押等の処分がなされることがある。電波利用料の料額は、電波法で規定されており、国会の議決が必要となっている。電波利用料は一般会計の歳入に属し広義には税の一種と解釈される場合があるものの、実のところ総務省所管の公的な負担金となっており、財務省による再分配の対象とはならない。年間650億円(2007年実績)と、総合通信局の予算に対しても少ない額ではないため、支出には透明性が要求されるが、当初の目的である総合無線局監理システムや電波監視システムの整備・運用、周波数逼迫対策のための技術試験事務、携帯電話の過疎地での基地局維持・設置などに充てられている額は、電波利用全体の半分程度であり、「その他」の支出項目において、多額の人件費が支出されていることなど、不透明な支出が多いことが問題視されることがある。2008年(平成20年)5月に、電波利用料が総務省総合通信局にて、職員のレクリェーションやマッサージチェア購入のために電波使用料を流用していたことが、国会での質疑により明らかになり、「道路特定財源制度と同様に『特定財源』のブラックボックスの中で無駄遣いされている可能性がある」という批判を受けた。2005年9月までは無線局数に対する徴収であり、携帯電話1台が無線局1つとされるため、国内においてもっとも無線局数の多い携帯電話事業者から、負担のわりに受益が少なく不公平であるという批判が、自民党衆議院議員の河野太郎から挙がった。また、携帯電話の普及により大幅に収入が増えたため、当初の「電波の規正」などだけでなく、アナアナ変換の費用支出特定周波数変更対策業務が追加されたことで、さらに携帯電話事業者の不公平感が大きく増すことになった。「特定周波数変更対策業務」は、地上デジタル放送への移行より生じるアナログTV局の周波数指定変更に伴う費用で、総務省の計画ミスにより、費用が大幅に膨らんだことなどから、電波利用料を当てることになった。テレビ局に対する電波利用料は、2007年(平成19年)で34億4700万円。アナアナ変換対策にかかる暫定追加電波料30億円。合計64億円であり、携帯電話会社が多く負担することで間接的に国民の負担する額と比較してテレビ局が負担する額が微々たるものであり、一部で国民の負担が大きすぎるのではないか、各事業者間に不公平感があるのではないか、放送局に対して社会的責任を認識させるには不十分な額であり放送局の暴走を許しているのではないかといった指摘が、衆議院議員である河野太郎からなされている。国の放送事業歳出費は2百数十億円に及ぶのに、テレビ局が38億円(2007年度)しか払わず、約7倍の格差があるのは不公平との声が、総務省内などからも上がり、現在、テレビ局の電波利用料値上げなどについて議論されている。例えば民主党の2009年版のマニフェストには日本版FCCの創設と共に電波オークションの導入があげられている。電波オークションとは、周波数帯域の利用免許を競売で電気通信事業者に売却して事業を行わせるものである。有限な公共財である電波を有効利用するための手法である。オークションの方式には様々なものがあるが、1回のオークションは一日から数か月の期間で公開入札形式で実施される。アメリカ合衆国の移動体通信事業で1996年に世界ではじめて採用された。その後、ヨーロッパ各国の第3世代携帯電話で採用された。予想以上の高額で落札が行われたため、経営破綻する事業者が続出し事業開始の遅れの原因となったと批判されることもある。また、周波数帯域の需要と供給の実態に即しない「周波数バブル」であるとの批判もある。しかし現在ではオークション理論を用いて制度は改善されており大きな税収源となっている。一方で、OECD加盟国の約2/3は既に電波オークションを導入しており、実施されているオークションの大部分は大きな問題や批判がなく運用できているのも実態である。日本の電波行政と異なりアメリカなどでは携帯電話のエリアが有線電話のエリアとの兼ね合いで非常に細かく設定されており、日本のように方式や事業計画の優劣を十分に時間をとって審議することができないということがオークションにいたった理由である。それ以前の有線電話事業などでは、割り当ては「早いもの勝ち」であった。そのアメリカでは、FCCが2010年3月にNational Broadband Plan(国家ブロードバンド計画)を発表。ブロードバンド用に新たに500MHzの周波数を割り当てることを決定すると共に、その割り当て方式としてオークションを採用している。また、同計画には、インセンティブ・オークションの導入も明記されており、より少ない周波数で従来の放送サービスを提供する技術の利用に自発的に同意する放送事業者に、オークションの収益を分配できる仕組みも明記されている。この計画の実施は全て電波オークションからの資金で賄えるとも明言されており、電波オークションの国家財源への影響力の大きさを伺うことができる。各国の電波利用料およびオークションによる収入、そのうちテレビ局に掛かる金額を以下に示す(総務省調べ)。
出典:wikipedia
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