(additive number theory)では、シュニレルマン密度 ("Schnirelmann density") は、整数列の密度の概念の一種である。これは、後に(Yuri Linnik)や(Ivan Matveyevich Vinogradov)の仕事に重要なアイデアをもたらした。この概念を定義・研究した数学者L.G.シュニレルマン(L.G.Schnirelmann)に因む。A を自然数からなる集合とし、 formula_1 を A の元のうち 1 以上 n 以下のものの個数とする。このとき、実数formula_2が必ず定義され、これを A のシュニレルマン密度という。inf は「全ての部分列の中の最も小さな下界を採用する」ことを意味する。次の性質は定義から明らかである。以下、 formula_18 と表されるもの全体の集合を formula_19 と記す。また、formula_20 と表されるもの全体の集合を nA と記す。 nA が自然数全体の集合と一致する最小の n に対して A を位数 n の加法的な基(additive basis)もしくは単に基であるという。たとえば四平方定理より 0 と平方数からなる集合は位数 4 の基である。どのような整数列が基であるか、また基であるときにその位数がいくつかを知ることが加法的整数論の中心的な課題である。定理 "A" と "B" を自然数の集合で、共に 0 を含むものとする。 formula_21 とすると、formula_22が成り立つ。このことは次のようにして分かる。formula_23 を A の元全体とする。 formula_11 ならば 上の不等式の右辺は formula_25 に等しいから formula_13 (よって formula_27 である)の場合を考える。formula_28 かつ formula_29 ならば、 formula_30 は C の元であるが A の元ではない。 B が 0 を含んでいることより C は A の元を含んでいるから、 formula_31 とおくと、formula_32ここで formula_33 が常に成り立つことからformula_34となる。 formula_35 が常に成り立つから、formula_36である。これより定理が示された。この定理を変形するとformula_37となる。これを帰納的に適用して、formula_38を得る。シュニレルマンの定理は、和集合がどのように蓄積されるかについて、最初の見方を与えている。この結論は、一見、formula_39 が優加法性(superadditive)を持っていることが、不幸に見えるが、シュニレルマンは次のような結果を示し、彼の目指した目的へほぼ到達した。定理. formula_40 と formula_41 を自然数 formula_42 の部分集合とする。formula_43 であれば、formula_44となる。定理. (シュニレルマン) formula_45 とする。formula_46 であれば、formula_47となるような formula_48 が存在する。有限和 formula_49 という性質を持つ部分集合 formula_45 を加法的な基(additive basis)といい、そのようにとることが可能な最小の和の数を基の次数(degree)という。このようにすると上記の定理は、任意の正のシュニレルマン密度を持つ集合は、加法的な基であるということになる。この用語を使うと、平方数の集合 formula_51 の加法的な基の次数は 4 であることになる。全ての平方数の集合を formula_51 とすると、ラグランジュの四平方定理は formula_53 と書きなおすことができる。(ここに、記号 formula_54 は、formula_55 と formula_56 との sumset とする。)formula_57 であることは明らかである。事実、依然として、formula_58 であり、どの点がシュニレルマン密度を 1 とし、どのように密度を増加させるのかを問うかもしれない。実際は、3つの和の場合は、formula_59 であり、formula_60 の sumset を取ることをすると、より大きな集合、すなわち、全ての自然数の集合 formula_42 となる。シュニレルマンは、さらにこれらの考え方を進め、上記の定理とし、加法的整数論の研究を進め、(たとえ巨大な威力を発揮しなかったとしても)多くの貴重な結果を証明し、ウェアリングの問題やゴルドバッハの予想のような重要な問題を解明しようとした。上の定理の意味と加法的な基にある定理を言い換えると、定理 formula_62 かつ A が 0 を含んでいるならば A + B はすべての整数を含んでいることがわかる。実際、 formula_63 ならば、 n および formula_64 の形の数は B に含まれないから、 formula_65となり、よって formula_66となる。上記の二つの定理から、A が 0 を含んでおり、正のシュニレルマン密度を持つならば、ある自然数 n に対して formula_67 となり、よって nA はすべての整数を含んでいることがわかる。つまり、A が 0 を含んでおり、また σA ≥ 1/n ならば、A は次数が高々 n の基となっていることが分かる。歴史的には、マンの定理はそれ以前の一時期よりエドムンド・ランダウ(Edmund Landau)によって「アルファ+ベータ予想」として使われていた。1942年、によりこの予想は証明され、マンの定理として定式化された。定理. formula_40 と formula_41 を formula_42 の部分集合とする。formula_71 の場合、formula_72が成り立つ。マンの証明の直後、エミル・アルティン(Emil Artin)と P. Scherk はマンの定理の証明を簡素化した。この定理の低い漸近密度での類似は、クネーザー(Kneser)により得られた。formula_73 と formula_74 を自然数とする。formula_75 とする。formula_76 を formula_77 の方程式の非負の整数解の数とし、formula_79 を formula_77 の不等式の非負の整数解の数とする。すると、formula_82 となり、次の 2つを得る。formula_85 により定義される formula_86-次元の領域の体積は、大きさが formula_87 の超立方体の体積を最大として有界である。従って、formula_88 である。ここで難しい部分は、この限界値が平均でもうまく機能することです。つまり、補題. (リンニクの定理) 全ての formula_89 に対して、formula_48 にのみ依存する formula_91 と定数 formula_92 が存在して、全ての formula_93 と全ての formula_94 についてformula_95が成り立つ。このことを元にして、次の定理をエレガントに証明できる。定理. 全ての formula_48 に対し、formula_97 となる formula_86 が存在する。このようにして、ウェアリングの問題の一般的な解法が確立した。系. 全ての formula_48 に対し、formula_48 にのみ依存する formula_86 が存在し、全ての正の整数 formula_102 は、高々、formula_86 の formula_48-乗のべきの和として表すことができる。シュニレルマンがこの概念を研究したのはゴールドバッハの予想の研究のためでもあった。P を 0, 1 と素数からなる集合とすると、これはシュニレルマン密度 0 を持つが、シュニレルマンはブルンの篩を用いて P + P + … + P が正のシュニレルマン密度を持つことを示した(1930年、シュニレルマンの定理 、この定理は、上に述べたように、任意の 1 より大きな自然数は、計算可能な定数を C として C 個より少ない数の素数の和により表されるという定理)。よって P は基である。すなわち、ある定数 C が存在し、全ての整数は 高々 C 個の素数の和で表される。シュニレルマンは formula_105 を示している。このことに因んで、「1 より大きい全ての整数が高々 C 個の素数の和で表される」が正しくなる最小の C をシュニレルマン定数と呼ぶ。ゴールドバッハの予想は、シュニレルマンの定数 formula_106 を証明することとなる。(Olivier Ramaré)は、 で、シュニレルマンの定数は、高々 7 であることを示し、先に上の境界が 19 であることを示したハンス・リーゼル(Hans Riesel)と(Robert Charles Vaughan)によって得られている結果を改善した。アレクサンドル・ヒンチン(Aleksandr Khinchin)は、平方数の数列は、例えシュニレルマン密度 0 であったとしても、シュニレルマン密度が 0 と 1 の間の数列を加えると、密度が増大することを証明した。全ての formula_107 である数列 formula_40 に対しとなる。このことは、すぐにポール・エルデシュ(Paul Erdős)により単純化され、かつ拡張され、A がシュニレルマン密度 α であり、B が次数(order) k の加法的な基であれば、が成り立つことを示した。プリューネッケ(Plünnecke)は、さらに改善し、を示した。この加法により密度が増える性質を持つ数列は、ヒンチンにより必須な構成要素(essential components)と名付けられた。(Yuri Linnik)は、 x より小さな x 個の元を持つ必須な構成要素を構成することで、必須な構成要素が必ずしも加法的な基である必要はないことを示した。さらに詳しくは、数列がある C < 1 に対し x よりも小さな元を個持っていることを、彼は示した。この結果は、E. ワーシング(E. Wirsing)により、 まで改善された。暫くの間、どのくらい多くの要素を必須な構成要素が持たねばならないかについては未解決問題であった。最終的には、(Imre Z. Ruzsa)は、必須な構成要素はある x に対しては少なくとも個の元を持ち、全ての C > 1 に対して x に対して必須な構成要素は高々 (log x) 個の元しか持たないことを結論付けた。
出典:wikipedia
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