京阪3000系電車(けいはん3000けいでんしゃ)は、2008年(平成20年)10月19日に営業運転を開始した京阪電気鉄道の優等列車用の電車である。元来は快速急行用として登場し、後に特急にも使用されるようになった。車内には転換クロスシートを備えており、車体の塗装にも独自の紺色が用いられている。愛称はコンフォート・サルーン。2008年10月19日の中之島線開業にあわせて、同線に直通する快速急行に使用する車両として、川崎重工業で8両編成6本(48両)が製造された。2007年(平成19年)4月11日に車両の新造が発表され、2008年4月15日に形式・塗装・車内などの詳細が発表された。同年6月30日付で3001F、7月2日付で3002F、7月16日日付で3003F、7月31日付で3004F、8月28日付で3005F、9月16日付で3006Fが落成して、中之島線が開業した10月19日に営業運転が開始された。車両デザインはGKデザイン総研広島が担当した。車両全体のデザインコンセプトは、文化・風情の香りに現代的感覚を融合させた「風流の今様」であるため、先頭車の前面は「花鳥風月」をイメージした円弧状になっている。また、車内にも円弧状のデザインを採り入れている。構体は6000系以降の京阪標準の中空大型押出し形材を用いたアルミニウム合金製のダブルスキン構造である、川崎重工業のefACE構体を初めて採用しており、一部においては接合に摩擦攪拌接合を用いている箇所がある。車体塗色は上半分が紺(エレガント・ブルー)、下半分が白(アーバン・ホワイト)、帯が銀(スマート・シルバー)で、水都大阪とともに京ののれんや伝統と格式をイメージさせる紺色に白と銀色を加えることで、都市のきらめきや石庭における川の流れを感じさせるものになった。種別・行先表示器は京阪の車両で初めてフルカラーLED式が採用されたほか、京阪線系統の車両で唯一シングルアーム式パンタグラフ (PT7163-A) を装備する。京阪線の両開き扉車としては1650型以来の戸袋窓が本系列で設けられた。冷房装置は能力24.2kW (21,000kcal/h) の集約分散式を屋根上に2基搭載している。主回路は10000系と同一の東洋電機製造製IGBT素子2レベルVVVFインバータ制御であり、起動加速度も10000系と同一の2.8km/h/sである。8両編成時の電動車 (M) と付随車 (T) の構成(MT比)は3M5Tである。先頭車には車輪の空転を防ぐ増粘着材噴射装置・運転状況記録装置・ホーム検知装置が設置されている。前灯は元々全編成が電球だったが、最初に3001Fと3003F、さらに3002Fが13000系と同じタイプのLEDに変更された。また、2015年12月には、全般検査を行わない状態で、3006Fにも同様の改造がなされた。2016年には、3005Fも同様の改造を受けた。同じく2016年度に3004Fも改造を受け、3000系のヘッドライトLED化は全編成に竣工した。座席は、ラッシュ時の立席スペース確保と閑散時の京阪間直通客を中心とした着席サービスを両立させるために、客用ドア間はJR西日本223系0・2500番台及び同社225系5000番台と同じような横2+1配列転換クロスシート、車端部はロングシート、運転席後部は横2+2配列転換クロスシートが採用されている。また、座席の表地には東レ製のスエード調マイクロファイバー素材「エクセーヌ」を鉄道車両として初採用したほか、転換クロスシート部にはタグも設置されている。横2+1配列の採用により、クロスシート部分においても2+2配列の倍近い916.5mmの通路幅を確保し、立席スペースに余裕を持たせている。立席客のために吊り革も設置されており、座席においても1人あたりの座席幅が450mm(2人掛けクロスシート部分) - 470mm(ロングシート部分)と、従来の車両よりも拡大された。なお、客用ドア付近の吊り革は京阪独自の跳ね上げ式ではなく、他事業者の車両でも見られる一般的なものである。車内案内表示装置として京阪の車両で初めて液晶ディスプレイ (LCD) を各客用ドア上部に1か所設置された。次駅案内やドアの開閉方向などを知らせるほか、朝日新聞社・共同通信社提供のニュースも流れる。また、ドア開閉予告灯も各客用ドアに1か所ずつ設置するほか、非常通報装置を併設した車椅子スペースも設置されている。客用ドアおよび貫通扉部分には、濃い木目調パネルが使われている。車両間の貫通扉はセンサー式の自動ドアで、8000系0番台同様に取っ手を握ると開く仕組みになっている。実際には、取っ手を握る位置に手を置くと、貫通扉柱に埋め込まれた装置から照射される光が遮られるため、機械が反応して扉が開く。自動音量調整機能つき自動放送装置を搭載しており、特急・快速急行・通勤快急運用においては日本語と英語アナウンスによる情報提供を実施する。この放送前には向谷実作曲のジングルが流れる。営業運転開始当初は、すべての自動放送前にジングルが流れたが、2009年以降は始発、終点と昼間の一部と、朝方の始発、終点以外の放送でジングルカットがなされている。客室照明は10000系(10004F以降)で省略されていた蛍光灯カバーの素材を、グラスファイバー製に変更した上で復活させた。製造会社はユニチカである。車両中間部の乗降口は扉のすぐ近くまで座席があるため、乗降の妨げにならないように戸口付近に立つスペースがない。車内妻面に掲出される車両番号・落成年次・製造メーカー(川崎重工業の英語略称「Kawasaki」)・禁煙ピクトグラム・号車番号表示は、東日本旅客鉄道(JR東日本)E233系などと同様に、すべて1枚のシールにまとめている(これは当系列以降の新造車および8000系更新車でも採用されている)。登場時、本系列は出町柳方から4両目の中間車を抜いた7両編成、同5両目から7両目までの中間車3両を抜いた5両編成、同4両目から7両目までの中間車4両を抜いた4両編成を組成しての運用が可能であった。交野線・宇治線での試運転などでは、4両や5両に組成されたことがある。しかし、2013年から2014年にかけて、3004F・3005F・3006Fについては、出町柳方から3両目と4両目の間、同7両目と8両目の間の連結器を交換する固定編成化工事が行われ、中間車を抜いての運用ができなくなった。本系列の導入当初は中之島線中之島 - 出町柳間の快速急行・通勤快急を主体に運用されており、早朝深夜の一部運用では特急・急行・準急・普通運用として天満橋 - 淀屋橋間にも入線していた。2008年10月19日改定時点のダイヤでは、特急列車では上りの深夜の1本(土休日ダイヤでは早朝・深夜のそれぞれ1本)に使用されたほか、平日の朝ラッシュ時から昼間時への移行期に区間急行(中之島発萱島行、萱島発中之島行に各1本)、また夕ラッシュ時にも萱島発中之島行の区間急行1本でも運用されていた。2009年9月12日のダイヤ改定以後は、従来一般3扉車で運転されていた平日夜間の上り特急6本が新たに3000系の運用となった。これに伴い、従来3000系で運転されていた夜間の快速急行6往復12本が一般3扉車の運転に差し替えられ、21時台の快速急行については運転区間を樟葉までに短縮されている。なお、下り特急での定期運用は設定されていなかった。また、区間急行は平日朝の萱島6時20分発の中之島行きと中之島9時42分発の萱島行きに運用された。2011年5月28日のダイヤ改定からは昼間の快速急行が特急に変更されたため、昼間の特急でも運用されるようになり、中之島線への入線はラッシュ時のみになっている。また、同改定以後は一部の朝ラッシュ時の特急にも運用されるようになったため、新たに女性専用車両ステッカーが貼られた。特急専用車ではないが、8両編成であり、東福寺駅や伏見桃山駅といった7両限界の駅に停車する運用(全線通しの普通・準急系統)が不可能なことからも、半ば特急などの優等列車に優先的に運用される車両としての性格が強い。2013年のダイヤ改正後、休日には下りの快速急行が全て淀屋橋行きとなったため、休日には中之島線に乗り入れることがなくなった。また、ダイヤが大幅に乱れた際には深夜急行の運用にも就くこともある。臨時運転(主に春や秋に)の特急や快速急行が運転されない正月ダイヤ時の一部特急・急行・準急にも運用される。2008年10月19日の営業運転初日には6本中5本が通常運用として主に快速急行の運用に就いたほか、残りの予備編成1本も中間車(3701)を1両抜いた7両編成で中之島発開業初列車(普通出町柳行き)として使用された。正月ダイヤでは快速急行は運休し、代わりに特急・急行運用を中心に充当されている。一般の営業運転の開始前の2008年9月19日には、鉄道友の会京都支部・阪神支部が合同で天満橋 - 寝屋川車両基地間往復の試乗会が開催された。2009年10月18日には、寝屋川車両基地で開催される「ファミリーレールフェア」に12歳以下の子どもと保護者らを輸送する特別列車(抽選)の「ファミリーレールフェア号」に、3002Fが5両編成に組成されて運用された。なお、会場内には3001Fが展示された。同年11月14日には、中之島駅でローレル賞の授賞式が行われ、記念電車が「鉄道友の会会員」を乗せ中之島駅 - 寝屋川車庫間で運転された。同年の京都市美術館(三条駅から地下鉄東西線乗り換え東山駅または神宮丸太町駅が至近)ならびに国立国際美術館(渡辺橋駅が至近)での「ルーヴル美術館展」開催期間中は、1編成の両端車両でそれぞれ異なるデザインの円形ヘッドマークを掲げて運行していた(茶色ベースの前者は出町柳寄りの3000形に、緑色ベースの後者は中之島寄りの3050形にそれぞれ掲出)。2010年(平成22年)7月7日には、交野線私市駅で開催される「ひらかた☆かたの 七夕伝説 『おりひめ』と『ひこぼし』の出逢い」のイベント用臨時列車「おりひめ」として、3001Fが4両編成に短縮されて同線で運用された。2014年の秋の特別ダイヤでは、京阪電車としては初めてとなる淀屋橋始発の快速急行が、快速特急「洛楽」で穴が開く特急ダイヤに組み込まれる形での運行(特別ダイヤでは9 - 11時台の京都方面と15 - 17時台の大阪方面は1時間に快速特急を2本、特急を4本、快速急行を2本での運用)を行い、ほとんどの当運行でこの形式が使用される。この措置は2015年の春・秋の特別ダイヤでも行われている。2013年3月2日から2014年3月23日まで「きかんしゃトーマスとなかまたち」のラッピングが3006Fに実施された。しかし3006Fがラッピング期間中に定期検査を迎え運用を離脱したため、残りの期間は3001Fにラッピングが施されていた。2016年8月から2017年3月下旬までの予定で、琵琶湖疏水観光キャンペーン「琵琶湖疏水、水と歴史の、みちめぐり。」の一環として、琵琶湖疏水の名所の風景イメージをデザインしたラッピングが3003Fに実施されている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。