『元競走馬のオレっち』（もときょうそうばのオレっち）は、おがわじゅり作の、乗馬を題材とした漫画作品。著者の開設するウェブサイトで連載されている。コミックスは幻冬舎より発行されている。「乗馬を題材としたオールカラーの漫画」という意味では恐らく史上初のコミックである。競走馬のサラブレッド「オレっち」は超良血馬。幼い頃から「ダービー候補」と持てはやされるが、気性難がネックとなりダービー制覇どころか1勝もできないでいた。ある日、馬運車に乗せられ、その辿り着いた先はなんと乗馬クラブ。当初は頑なに乗用馬としての運命を拒むオレッちだったが…。日本ではまだまだマイナーな乗馬というスポーツを親しみやすいイラストで分かりやすく描き、又、とかく黙殺されがちな引退後のサラブレッドのライフサイクルにもスポットを当てるなど、乗馬の導入本としても非常に価値のある一冊であると言える。又、各話の間に挿入された作者が牧場で働いていた頃の体験談は、素人は勿論、乗馬経験者にも興味深い内容となっている。しかし、ストーリー性を持った漫画作品であるが故に、通常現実世界ではあまり見られない設定・描写なども散見される。例えば、全治1年の怪我を負ったオレっちをウズマキが購入する件などは、漫画作品としてはドラマティックな表現として賛美される一方、現実世界ではそう見られるものではない。日本で乗用馬を購入し飼養すると小型自動車が買えるくらいの購入費用の他に、月々十万円近くの維持費がかかる。馬を飼うという事は決して手軽な事ではないという事に読者は留意すべきである。これらの現実とは異なった設定は作者も当然に承知していた事と考えられるが、これはあくまでも現実を極的確に描写するよりも、誰もが愛する事の出来る感性豊かな作品を世に送り出す事の方が、より馬事の振興に資する利益を享受できると考えた結果なのであろう。

出典:wikipedia