コルテノール級フリゲート()は、オランダ海軍が運用していた汎用フリゲートの艦級。標準フリゲート(S型フリゲート)とも称される。本級は、1950年代に建造された戦後第1世代の駆逐艦であるホラント級およびフリースラント級の更新用として計画された。1960年代の北大西洋条約機構(NATO)ではフリゲートの標準化を計画していたことから、1968年、オランダ海軍では、当時イギリス海軍が進めていたリアンダー級フリゲート後継艦(後の22型)の計画に参加することとした。1969年初頭の段階では、イギリス海軍が20隻、オランダ海軍が12隻を建造する計画であった。しかし後に、個艦防空ミサイルの機種選定を端緒として、船体設計などの要求事項に差異が顕在化し、1970年11月、オランダは計画から撤退した。これを受けて、オランダ国内での独自設計が着手された。これによって建造されたのが本級である。なお、このように標準フリゲート()としての計画があったことから、S型フリゲート()とも称される。船体設計は、同時期のフランス海軍のジョルジュ・レイグ級駆逐艦と類似している。船首は逆向きのシアを付したクリッパー・バウ構造、船体は2層の全通甲板を備えた遮浪甲板船型で、15個の水密区画に区分されていた。舵は半釣合舵1枚であるが、これもジョルジュ・レイグ級と同様である。復原性確保のため、長さ/幅比(L/B比)は9.0と、比較的幅広の船型が採択されたことから、所要の速力性能と両立できるよう、慎重に設計が進められた。またフィンスタビライザー1組も装備されていた。主機関は、先行するトロンプ級と同様、イギリス海軍の21型フリゲートのものが踏襲されており、巡航用のロールス・ロイス タインRM1Cと高速用のロールス・ロイス オリンパスTM3Bを組み合わせたCOGOG方式とされた。機関部は高度に自動化されており、機関員はわずか29名で済んでいる。なお機関部はパラレル配置を採用しており、前方から、前部補機室、第1機械室(オリンパス2基)、第2機械室(タイン2基および減速機)、後部補機室の順に配置されている。電源は、450ボルト、60ヘルツの三相交流であり、SEMT ピルスティクPA4ディーゼルエンジンによって駆動される出力750 kWの発電機を4基搭載した。また補助ボイラー2缶およびエバポレーター2基を備えていた。標準フリゲートとしての計画もあり、本級の装備は原則的にNATOの標準的なものを採用しているが、電子装備については極力国産化された。本級はシステム艦として構築されており、その中核となる戦術情報処理装置としてはSEWACO-IIが搭載されている。レーダーとしては、対空捜索用にはLバンドのLW-08、対水上捜索用にはXバンドのZW-06を搭載した。またソナーとしては、前期建造艦6隻ではSQS-505、後期建造艦4隻ではSQS-509を搭載した。なお、対空捜索レーダーを3次元式のSMART-Sに換装するとともにAN/SQR-18A曳航ソナーを追加搭載する計画もあったが、これは断念された。艦対艦ミサイルとしては、アメリカ製のハープーンを採用した。平時の搭載数は2発ないし4発であったが、戦時には定数の8発を搭載する計画であった。個艦防空ミサイル・システム(PDMS)としては、NATOシー・スパロー・ミサイル・システムを搭載する。艦橋直前の01甲板レベルにMk.29 8連装ミサイル発射機を搭載しており、ミサイルの搭載弾数は24発である。その射撃指揮装置は砲射撃指揮装置と兼用で、前檣上にWM-25を、また艦橋構造物上にSTIRを備えているが、このうちWM-25には捜索中追尾(TWS)能力が付与されていた。主砲としてはオート・メラーラ社製の76mm単装速射砲を採用しており、最初の2隻は艦首甲板とハンガー上に1基ずつ装備していた。3番艦以降ではハンガー上の砲は40mm単装機銃に変更され、76mm単装速射砲は艦首甲板の31番砲の1基のみとなったほか、1982年には1番艦の32番砲も40mm単装機銃に換装された。また1984年には、2番艦の32番砲がゴールキーパー 30mmCIWSに換装され、1989年より、残る全艦も同様にゴールキーパーを搭載する改修を受けた。初期建造艦5隻では、電子戦支援機能のみのスフィンクス電波探知装置を搭載していたが、後期建造艦5隻では、電子攻撃にも対応したラムセス電波探知妨害装置に変更された。またデコイ発射機としては、当初はイギリス製のコーバスを搭載していたが、後にアメリカ製のMk 36 SRBOCに換装された。本級は、1974年に8隻、1976年には4隻が発注され、建造は1975年より開始された。ただし、1976年発注分の2隻はギリシャ海軍に売却されたため、1978年から1983年までに10隻就役した。その後、1993年より順次退役を開始し、2003年に「ブロイス・ヴァン・トレスロン」 (F824)が退役したことで、完全に退役した。退役艦は全艦が海外に売却され、8隻がギリシャ海軍、2隻がアラブ首長国連邦海軍で再就役している。また、パフラヴィー朝時代のイラン海軍が改良型コルテノール級を8隻発注したが、こちらは1979年のイラン・イスラム革命勃発によりキャンセルされた。なお、のちに、本級をもとに設計変更し、主砲や航空設備などとバーターでターター・システムを搭載した防空艦として、ヤコブ・ファン・ヘームスケルク級フリゲートが建造された。
出典:wikipedia
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