『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(おれのいもうとがこんなにかわいいわけがない)とは、伏見つかさによるライトノベル。イラストはかんざきひろが担当している。電撃文庫(アスキー・メディアワークス)より、2008年8月から2013年6月まで刊行された。全12巻。本作を原作とする漫画、ドラマCD、アニメ、ゲームなどのメディアミックス展開が行われている。公式な略称は『俺の妹』。『俺妹』(おれいも)と略されることもある。垢抜けていて勝ち気な妹が隠し続けてきた「実は隠れオタク」という秘密を知ってしまったことから、不仲だった妹に振り回されることになった兄の奮闘を描くコメディー作品。若年層向け作品の表現範囲内ではあるものの、妹が愛好する「妹萌え」の男性向けアダルトゲームを物語の軸としながら、反りの合わない兄妹の関係性の変化を描いていくという構造のホームコメディになっている。物語の題材の一部には世間では受け入れられていない趣味(アダルトゲームなど)を愛好することで生じる家族や友人との対立や、数ある同様のコンテンツの中でもアニメやゲームばかりが槍玉に挙げられることについての皮肉とも受け取れる内容も扱われている。企画時は決して大ヒットを狙った作品ではなく、著者である伏見つかさはこれが人生で最後に出版する作品になる覚悟で書いたと述べており、実際に発売前は電撃文庫での扱いも小さかったというが、発売後間もなく、インターネット上では実在の個人ニュースサイトが作中に登場することが大きな話題となった。アニメ化が発表された2010年5月時点ではシリーズ累計で公称120万部を売り上げ、2013年6月時点での累計発行部数は500万部である。本作を原作とするメディアミックス展開として、いけださくらによる漫画化作品が「電撃G's magazine」(アスキー・メディアワークス)にて、2009年3月号から連載された。2010年3月には原作小説の内容にオリジナルエピソードを加えたドラマCDが発売され、2010年10月から12月にかけては深夜帯でのテレビアニメ版が放送され、その後2013年4月より6月にかけてアニメ第2期が放送された。2011年1月にはPlayStation Portable用ゲームソフトが発売され、翌2012年5月には続編作品『俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブルが続くわけがない』が発売された。主人公の高坂京介は、波乱のない普通の人生を志向する高校生。スポーツ万能で雑誌モデルをしている中学生の妹・桐乃とは、幼い頃は仲が良かったが、今ではまともに挨拶も交わせない険悪な関係になっていた。ある日、京介は玄関で魔法少女アニメ『星くず☆うぃっちメルル』のDVDケースが落ちているのを発見する。しかも、その中にはアダルトゲーム『妹と恋しよっ♪』が入っていた。その持ち主が桐乃であることを確信した京介は、問い詰めずにDVDケースとその中身を桐乃に返してやる。ある晩、桐乃から「人生相談がある」と称して、萌えアニメや美少女ゲームが大好きであることをカミングアウトされる。京介は、妹の趣味に理解を示し、困ったことがあればできる範囲で協力するという約束をする。そして、インターネットのSNSへの入会を勧め、妹の趣味に理解のある「裏」の友人探しを手伝うことにする。SNSのオフ会を通じて知り合った黒猫や沙織・バジーナたちとの交友関係を通して、桐乃の趣味にかける真剣さや情熱を知り、京介は少しずつ己の考えを改めるようになる。京介自身も、夏コミへの同行、桐乃のケータイ小説の出版騒動などを経て、今まで幼馴染であった田村麻奈実との居心地のいい関係に甘んじていた、自分を取り巻く環境の変化を実感していく。やがて、桐乃のアメリカへのスポーツ留学や、京介自身のゲーム研究会への入部を通して、黒猫との関係も恋愛へと進展していく。その一方、留学先で成果を出せず悩んでいた桐乃を日本に連れ戻したことなどをきっかけに、京介に対する桐乃の本心が描かれていく。超常現象のない普通の現代日本が舞台となっており、少なくとも主人公の視点では非現実的な事件は描かれない。物語の中心人物である高坂兄妹の自宅は千葉県千葉市にあり、自宅から秋葉原までは距離32km、最寄りの駅から電車を経由して1時間半の距離にあるとされ、有明の東京ビッグサイトまでは新木場駅を途中経由して2時間と少々の距離にあるとされる。また、徒歩15分の距離にある隣町には観光案内に紹介される規模の公園があることなどが断片的に言及されている。他にも渋谷、新宿、松戸、千葉といった実在の土地や、実在の店舗などが登場するエピソードもある。アニメ版では高坂家の住所が千葉県千葉市の千葉駅周辺に設定されており、高坂兄妹が住む地域の風景として千葉都市モノレール、千葉駅の駅舎、千葉公園周辺、千葉市中央図書館、幕張舟溜跡公園、千葉県総合スポーツセンター、そごう千葉店など、千葉駅周辺の景観をモデルとした風景が登場している。なおアニメ版の放送開始以降は原作でも、高坂兄妹やその学校の友人たちがよく行く場所として千葉駅周辺が登場しているが、千葉駅から秋葉原駅までは総武線各駅停車でも50分程度である。原作では実在の地名の他にも、おたく文化に関連する実在の事物が実名で登場し、それが本作の話題作りに繋がった一面もあったが、アニメ版では一部を除き、原作では実名で登場していた事物の多くが架空の名称や抽象的な表現に置き換えられている。物語の発端は6月の出来事とされ、以降の展開で1年以上の期間が経過している。原作では、物語が現実の暦で何年の出来事であるのかは明言されておらず、作中で言及される実在の事物や出来事から年代を特定できる描写はあるものの、後年になって読み返しても違和感がないようにという判断から、具体的な年は敢えて曖昧にされている。一方アニメ版では具体的な年月日が描写されており、物語開始時点においてアニメ本放送開始時より8か月未来である2011年6月の出来事として描かれている。作中では幾度かおたく差別が話題として取り上げられており、ヒロインである桐乃の周囲にはおたくに対して強い偏見を持つ人物が多く登場するが、世間一般ではおたくに対する理解も進んでいるとされ、単にテレビアニメやアニメ映画、ゲームを愛好している程度では迫害されないという言及もある。一方で桐乃が愛好するアダルトゲームや同人誌などは世間に受け入れられておらず、実際、原作の作中においてもアダルトゲームの製造や販売を規制する法律の制定を求める請願が衆議院に提出されているという言及があるが、その請願の根拠を疑問視する数百人の署名も提出されており議論は決着していないとされており、アダルトゲームの単純所持自体は非合法化されていない。アニメ版においても、作中世界の2011年においては青少年育成条例改正案が成立していないことを示す描写がある。もっとも、道徳的な問題や成人向けゲームのレイティングに言及される場面はある。物語の主要な舞台である高坂家の間取りや家具の配置には詳細な設定があり、コミカライズの際に原作者の伏見による3Dの図面が作成されている。作中では兄・京介の部屋が6畳間、妹・桐乃の部屋が8畳間であると言及され、桐乃の部屋の本棚の裏には和室を洋室にリフォームした際の名残である押入れがあり、おたく趣味に関するグッズを整理整頓して隠すための隠し部屋として用いられている。物語の中心人物である高坂兄妹は年齢が3歳違いで、それぞれ通学先が高校と中学校であるため交友範囲も異なる。また兄の京介は和菓子屋を営む田村一家と独自の交流があり、妹の桐乃は陸上競技やファッション業界との繋がりを持つが、いずれも兄妹のもう一方にとっては縁遠い存在となっている。一方で京介の勧めで桐乃が参加したオフ会を通じて知り合ったオタク関係の交友関係は、高坂兄妹にとって共通の友人となっているが、桐乃はオタク趣味を周囲の知人に隠しており、また京介も学校で積極的に趣味を語り合う相手がいないため、これらのコミュニティは基本的には交わることがない。ただし高坂兄妹の行動や作中の出来事によって、別のコミュニティに属する人物同士が繋がりを持つこともあり、物語の進行に伴う人間関係の変化も描かれている。本作では実際に存在する会社やイベント、アルファブロガーやそのウェブサイトなどの名称が多々登場するが、本項ではオリジナルのものを扱う。アニメ版では、原作では実名で登場していたものが架空の名称に置き換えられている場合もあるが、単純な言い換えについては割愛する。作中には、実在のテレビアニメやゲームのほか、作品世界内で公開されている設定の架空のアニメやゲーム、登場人物が創作したケータイ小説や同人作品などが登場する。これらの作品の中には、原作本編のメディアミックス展開に伴って、トレーディングカードやゲームでのスピンオフ展開が行われているものもある。アニメ調の挿絵が多く盛り込まれるライトノベルに分類される。作品は高坂京介を語り手とする一人称小説の体裁をとっており、語り手が読者の存在(第四の壁)を意識しながら語ることもある。登場人物の個性の見せ方としては、ネガティブに捉えられがちな特徴を魅力として描くような人物造形がなされており、編集者の三木は作品の読みどころをヒロインの個性やその兄である主人公の語り口の面白さであるという趣旨の説明をしている。作中において語り手の京介が、彼にとって現実の妹である桐乃と、その桐乃が熱中する「妹萌え」作品に登場する妹キャラクターとの乖離を指摘する場面があるように、本作における京介と桐乃の関係は現実的な兄妹関係を志向して描かれており、従来の「妹萌え」作品との差別化が意図されている。本作のヒロインである桐乃は読者からの人気の高い登場人物であるのと同時に、憎たらしくて鬱陶しい妹としても描かれているため、特にアニメ版では先の展開を知っている原作読者とアニメからの視聴者の間で好悪の評価が分かれたという。これに対し作者の伏見は、同様に好悪の評価が分かれている人物である来栖加奈子を例に、人気があると同時に批判的な評価も多いのは注目の表れであり、好ましい結果に転じることができる評価なのだという解釈を披露している。編集者の三木は、嫌いという感情は好きの反対ではなく相手に対する関心の一種であり、様々な感情が込められた概念なのだという趣旨の説明をしており、作中に描かれているのは、普段は嫌い合いつつも時折相手を気遣ったりするような兄妹の絆なのだとしている。また本作は副次的な内容としておたく文化に関する話題を扱っているが、従来あった作品よりもおたく文化の深い部分やインターネットの事物、敬遠されがちな性風俗などの話題に踏み込むことも意図されており、アダルトゲームなどを含む実在の作品名や団体名、ウェブサイトといった固有名詞、インターネットスラングなども頻繁に登場する。また読者が肌で興味を感じているであろう今風の話題を取り入れようという考えから、プロパガンダには踏み込まない範囲で時事問題を扱ったエピソードもある。おたく文化を肯定的に描く一方で、例えばインターネット上のおたく文化では否定的に捉えられていたケータイ小説を擁護する場面が盛り込まれるなど、様々な事柄に関する既存の社会的評価を覆してその魅力を再確認しようという試みも意図されている。アニメ版のプロデュースを手掛ける岩上敦宏は、本作には勇み足に楽しさや面白さを追求し続ける姿勢があるとしている。兄の京介自身は読者に対し、しばしば妹との不仲を強調し、同意を求め、自分は妹の桐乃を嫌っているし、同様に桐乃も自分を嫌っているはずだと説明する。京介が嫌っているはずの桐乃のために奮闘する理由は複雑だが、例え大嫌いな妹であっても大切な家族であり、兄として庇護すべき対象として捉えていることを語っている。著者の伏見はこうした京介の動機について「桐乃のことは嫌いなんですけど妹のことは大好き」なのだと説明している。一方でこの語り手は妹の本心を掴みかねており、語り手の主観では兄を嫌っているように見えている桐乃が、本心では兄のことをどのような感情を抱いているのかは明確にされないまま物語が進んでいく。この真相に関しては執筆開始時点では伏見と編集者の三木の間で見解が分かれており、三木が桐乃はいわゆるツンデレではなく本心から兄を嫌っているという解釈に基づいて意見を出す一方、伏見は桐乃が内心では最初から兄に対して好意を持っているようにも解釈できるような描写を意識して第1巻を書き進めた。その後の展開では、当初の構想になかった形での関係性の変化も盛り込まれ、実際に桐乃が抱いている感情がどのようなものであるのかは、他の登場人物との人間関係にも関係するなど、作中における謎解きの一つとして書き進められていく。著者の伏見は、本作で描かれている内容はあくまで信頼できない語り手である京介の主観に沿った、真実とは大きな乖離があるものであることを明かしており、読者が作中には語り手の勘違いが含まれていることを踏まえて読むことで楽しめるような部分を盛り込んでいるという趣旨の説明をしている。漫画版やアニメ版では、原作で描かれていた語り手の心理描写が省略されている一方、原作中では明らかではなかった桐乃の表情の変化や、桐乃からの視点なども描かれている。アニメ版の脚本を担当した倉田英之は、桐乃は口には出さないものの内心では兄にべた惚れであると解釈しており、原作の読者やアニメ版の視聴者からもそのように解釈されることもある。アニメ第2期エピローグのキスについて、監督の神戸洋行は「最後のキスがどういう意味を持つかは視聴者の判断にお任せする」とした上で、「この二人はまだ何かありそうな気がする」と述べている。各巻4章立て(第1 - 4章)で、第4章が各巻の山場となる構成になっている。電撃文庫では通常4葉(8ページ)あるカラー口絵は通常の1葉と、3つ折りの折込みが1葉となっている。通常の本編中のイラストのほか、章の間にアニメのキャラクター設定画風の「Character file」が載る。物語の転機となる第4巻の新刊時には特製のアンケートはがきが差し込まれており、第5巻の内容はアンケートで決まる「読者投票型のルート分岐シナリオ」となった。ただし正確には事前にアンケート結果を予想して書き進められており、予想と違えば書き直すつもりだったとのこと。最終的に第5巻はメインヒロインである妹の桐乃がほとんど登場せず、ヒロインの一人である黒猫メインの巻となり、第1巻カバーをセルフパロディにした黒猫がメインヒロインであるかのような口絵が載った。第7巻から第8巻までの展開は「恋愛編」と位置付けられている。本作の題材として「オタク」が選ばれたのは、同じ作者のデビュー作『十三番目のアリス』に登場する人物の一人・宮田怜奈のエピソードや、『ねこシス』に登場する東雲千夜子のエピソードが担当編集者の三木にとって好印象であったため、そこから膨らませたものである。本作は、2007年冬頃まで準備が進められていた『ねこシス』の企画が諸事情により一時没となった際に、その構想の一部を引き継ぐ形で企画された。編集者である三木一馬の提案により、著者である伏見つかさの作風も考慮した上で「超常現象のない普通の日常」「勝気な女の子」「オタク」という題材が選ばれ、当初は社内の期待が低かったことから、キャラクターの設定を前面に据えたインパクトが重視された。その後は三木の提案を膨らませる形で設定の枠組みが作られ、著者の伏見がリードを取る形で執筆が進められた。伏見は本作を、担当編集者である三木一馬や小原一哲との綿密な打ち合わせや意見の衝突を重ねた中から生み出された作品であり、伏見本人と編集者2人にイラスト担当のかんざきひろを加えた、合計4人による作品であるとも述べている。著者の伏見はサンプルを作成する段階では、ヒロイン像を普通の妹っぽいキャラクターとして想定していたが、編集者の三木から「藤沢とおる先生が描く漫画に出てくるようなギャル」という要望を出され、そのオーダーを基に伏見は藤沢の漫画『GTO』を読んで桐乃にそのイメージを反映させたという。また京介と桐乃とのやり取りには、伏見が三木本人の言動を参考にした部分もあるという。なお伏見自身の家族には妹がおらず、伏見にとって桐乃はあくまで「ファンタジーの妹」であるとしている。その他にも伏見は本作の執筆に影響を受けた作品として、貴志祐介の小説『青の炎』と、古橋秀之のライトノベル『超妹大戦シスマゲドン』を挙げている。本作は常にインパクトを求める方針で書き進められており、その作風はいつ中止に追い込まれるか分からないような危ういものでもあった。著者の伏見は毎回、次の巻が人生最後の作品になる可能性を念頭に置きつつ、常にクライマックスのつもりで書いてきたと語っている。実際に書き直しを迫られた場面も幾度かあったというが、伏見や編集の三木は、批判を恐れず目新しいヒロイン造形や題材、宣伝手法を開拓していったことや、主流に反するようなカウンターカルチャー的なコンセプトが、作品の支持にも繋がっているのではないかとしている。また、作中には主人公のオタク化を表現する手段として、文中に顔文字が登場し、その顔文字にルビを振ったりするような表現が登場しており、これに対しては小説家が用いるべき表現ではないとして眉を顰める意見もあったというが、伏見はその批判に対しては反骨精神を示し、次巻では複数行のアスキーアートにルビを振る表現を入れたという。伏見つかさ(著)、アスキー・メディアワークス〈電撃文庫〉、全12巻。書籍版のほか、携帯電話向けの電子書籍版も発売されている。原作者である伏見つかさの著作のうち、電撃文庫の単行本への収録が予定・予告されていない小説作品を挙げる。本作と同じ著者・同じイラストレーター・同じレーベルによるライトノベル『ねこシス』は、後発の作品ではあるものの本作のプロトタイプ的作品とも位置付けられており、類似したシチュエーションやほぼ同じ設定の人物が登場する。これは『ねこシス』の企画が諸事情で一度没になり、それに替わって本作の企画が立ち上がった際、設定の一部が流用されたためであるという。特に本作の主要登場人物である黒猫(五更瑠璃)と、『ねこシス』の主要登場人物である猫又姉妹の次女・東雲千夜子は、外見や設定に同一人物とも受け取れる共通点を持ち、舞台背景に繋がりがあるのか否かがファンの間で話題になった。本作では黒猫の自称異能者発言は、周囲にはアニメのセリフを真似た痛々しい妄言として受け取られているが、『ねこシス』の千夜子は本物の妖術である「人化の術」を会得し、並外れた身体能力といった「異形の力っぽいもの」を行使することが可能な正真正銘の妖怪という設定であるため、両者が同一人物であるか否かで本作の描写の意味も大きく変わってしまう。著者の伏見つかさは、一方の作品しか読んでいない人も、両方の作品を読んで繋がりを想像している人も公平に楽しめるよう配慮した結果、両者が同一人物とも別人であるとも解釈できるような形で物語を書き進めた。なお伏見は『ねこシス』のあとがきにおいて読者に対して、こうした描写にスター・システム的な面白さを感じてもらえたのであれば幸いである、という趣旨のコメントを発している。その後アニメ化などに際して黒猫の家族についても踏み込む必要が生じたため、原作者自ら脚本を手掛けたアニメ版第9話では『ねこシス』の東雲家とは異なる家庭の様子が描かれたが、アニメ版BD/DVD第1巻限定版に付属する短編小説では、黒猫が自分を別の世界から転生したと言い張る描写が描かれており、正体は曖昧にされている。第1巻から第5巻、および第8巻の帯では各巻ごとに他作品の登場人物が推薦文を寄せている。第1巻では『乃木坂春香の秘密』の乃木坂春香がコメントを寄せているが、これは本作のヒロインが彼女と似た境遇にあることを読者に示し、作品の内容をアピールする意図があったという。また第3巻では『Baby Princess』とのコラボレーション企画の一環として、同日発売された小説において互いの作品のキャラクターが推薦文を寄せ合うという試みが行われた。第6巻では劇中劇である『メルル』が登場し、アニメ化を祝うメッセージを寄せている。なお『ねこシス』の帯では、本作の黒猫が同作に登場する三人姉妹に対して「他人という気がしない」というコメントを発している。同じ電撃文庫作品である『とある魔術の禁書目録』とは、複数のコラボレーションを行っている。外伝『とある科学の超電磁砲』の単行本第5巻特装版の付録『偽典・超電磁砲』には、伏見つかさの書き下ろしによるコラボレーション作品『とある部室の映像中毒<ファナティック>』が掲載された(詳細は「#読み切り作品」を参照)。また本作のアニメ版の放送直前には、同時期に放送が開始される『とある魔術の禁書目録』のアニメ版第2期とのコラボレーション展開が発表され、互いの作品のキャラクターが相手作品のCMのナレーションを行ったり、2010年9月26日付の日本経済新聞朝刊東京本社版第14面に一面広告が掲載されるなど、合同で広報活動を展開している。これは原作の出版社や担当編集者、アニメ版の放送時期が重なったことから実現した企画で、新聞広告は『とある魔術の禁書目録』のアニメ版の製作に参加するジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパンからの提案であったという。その後も合同でのイベントが行われたり、合同でラッピングバスの運行が行われたり、ゲーム作品でのコラボレーション行われたりしている。また、テレビアニメ版のTOKYO MXの放送では同じE!TVの直前の放送枠で放送される(実質的な再放送)『Angel Beats!』とも、番組間にクロスプログラムを挟むコラボレーションを行っている。動画配信サービスniconico上で『俺の妹がこんなに可愛いわけがない 〜とある電撃娘(コラボ)の人生相談(ガールズトーク)〜』が全四回に分けて掲載されている。同作は時系列的には『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』原作小説最終巻の後の話となる。著者の伏見によれば、本作はインターネット上の口コミに支えられてきた部分が大きかったという。本作は原作第1巻の発売前には電撃文庫内での注目が低く、当初はあまり大きな宣伝が行われなかったが、これに反して第1巻は発売後3日で9割の在庫が売れるなど大きな初動を記録した。これは第1巻の作中において、ヒロインの桐乃が常用しているサイトとして、実在する個人ニュースサイトが実名で登場し、そのサイトなどで大きく取り上げられたことが本作の話題作りのひとつとして貢献したとされており、後にアニメ版を手掛けるアニプレックスのプロデューサーである岩上敦宏も、同作を知ったきっかけとしてこの出来事を挙げている。作中に登場した個人ニュースサイトでは、その後も恒例の企画として、本作の続刊が刊行されるたびに伏見へのインタビュー企画を行っており、2010年5月1日に発表されたアニメ化の第一報も個人ニュースサイトから発信された。これらの個人ニュースサイトは伏見が普段利用しているサイトの中から無作為に選ばれ、サイト運営者側への事前の連絡は行われなかったといい、伏見はこうした言及がクレームになった場合は後から謝罪するつもりであったという。こうしたインターネットを利用した話題作りは否定的な形で話題になるリスクもあるが、作中に登場し話題作りの一翼を担った個人ブロガーの一人は本作の表現を好意的に受け取った理由について、作中での言及がオタクであるヒロイン像を現実的に表現するための手段として機能しており、自然な文脈であったことを挙げている。おたくを題材に扱う作品において、おたくと親和性の高いインターネットを初期に味方につけたことがいい結果にも繋がったと考えられている。この他にも作中に登場する幾つかの実在のウェブサイトとの連動も行われている。例えば作中には黒猫と沙織がTwitterの利用者であるという描写があるが、後に実際のTwitter上に桐乃、黒猫名義での公式アカウントが作られ、登場人物同士の雑談などを挟みつつ、登場人物の立場でネット上の作品評に対する逆書評企画を行ったり、作品に関連した情報を発信したりする試みが行われた。なお作中にTwitterが登場した第3巻執筆当時、Twitterはまだ大きなブームにはなっておらず、耳馴染の薄い表現であったという。作中では桐乃や黒猫らが利用している動画共有サービスとして何度も言及されるニコニコ動画では、本作のアニメ化に関連した公式チャンネルが設けられ、アニメ本編のインターネット配信なども行われた(「俺の妹がこんなに可愛いわけがない (アニメ)#放送局」を参照)。また、アニメ版のエンディング曲の一般公募が本編の放送に先駆けてニコニコ動画で行われ、この企画にはニコニコ動画上の募集企画における記録を大きく更新する1,039曲の応募があった。物語性のある作品以外でも、本作のヒロインである桐乃が作中において読者モデルとして活動しているという設定を生かし、物語本編とは異なり桐乃が芸能活動の道に進んだとしたらという仮定の元、現実世界での芸能活動の一環という体裁で、桐乃と黒猫を芸能人に見立てた各種コラボレーションが行われている。オンラインゲーム『Le Ciel Bleu 〜ル・シエル・ブルー〜』とのコラボレーション(詳細は「#ゲーム作品でのタイアップ」を参照)を皮切りとして、アルバイト情報サイト、雑誌や冊子、アニメグッズ専門店、香水などとのコラボレーションが行われた。こうした活動の一環として、2010年10月26日号の『週刊アスキー』では桐乃が表紙を飾っている。制服姿で描かれており、右手には『とある魔術の禁書目録』の御坂妹衣装の『ゴッドイーター バースト』の一場面が写っているブロッサムピンクのPlayStation Portableを持っている。「表紙の人」のプロフィールには、作中の設定に準じた解説がそえられた。なお、彼女が表紙に選ばれたのは「Twitter上のつぶやきを同誌の編集者が本気で受け取ったから」と紹介されているが、当の公式Twitterでは、実はつぶやかれた時点で既に企画が進行していたことを明かしている。2013年10月5日、桐乃と黒猫が「応援タレントに就任した」という設定で、地元球団である千葉ロッテマリーンズとのコラボグッズが発売された。徳島県徳島市で定期的に開催されているイベント「マチアソビ」の第1回(2009年10月)、第3回(2010年5月)、第4回(2010年10月)、第7回(2011年10月)、第10回(2013年5月)では、作者の伏見や編集者の三木・小原らが出演し、本作に関連したトークショーが行われている。このときの模様は原作の公式サイトでも動画配信された。2010年12月5日には川口総合文化センター・リリアにて「俺の妹がこんなに可愛いわけがないフェスティバル」が開催され、イベント内ではアニメ版の最終回が2通り用意されることなどが告知された。2010年12月17日には新宿ロフトプラスワンにて「俺妹×禁書 コラボトークセッション 〜大覇権祭〜 」と題する、『とある魔術の禁書目録』との合同イベントが行われた。2011年5月2日には千葉都市モノレールが本作とのコラボ記念切符を5月14日より5000部限定で発売すると発表した。5月14日及び5月15日は千葉駅他一部の駅で数量限定で発売されたが、駅売り分は即時完売となり、急遽通信販売での完全受注生産に切り替えるなど、その人気ぶりを伺わせた。なお、それまでの千葉都市モノレールで発売された記念切符は2010年10月10日に発売された「10並び記念硬券入場券」の2010部が最高であり、当初の5000部という数字だけでも、同社にとって異例の数字であった。2012年10月21日には、第2弾の記念切符を7000部限定で発売(幕張メッセでの『電撃20年祭』にて先行販売)。2013年4月27日にはホリデーフリーきっぷとお昼のお出かけフリーきっぷの券面を各10000枚限定で「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」×「千葉モノレール」コラボデザインに変更したものが発売された。なお、千葉都市モノレールでは「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」とのコラボレーションを行ったことがあるが、同作品は本作品と類似した作品名ではあるものの、作者などが異なり、関連性はない。『電撃G's magazine』(アスキー・メディアワークス)2009年3月号から2011年5月号まで小説を基にしたコミカライズ作品が連載された。電撃コミックスにて、全4巻が刊行されており、単行本の帯には小説版と同様に他作品の登場人物が推薦コメントを寄せている。伏見つかさ(原作)・いけださくら(作画)、かんざきひろ(キャラクターデザイン)『電撃G's magazine』(アスキー・メディアワークス)2011年7月号から連載開始、その後『電撃G'sコミック』に移籍し、2015年7月号まで連載された。黒猫を主人公に据えた公式スピンオフ作品で、桐乃が海外留学でアメリカへ旅立ったあとのエピソードが描かれている。原作と同じストーリーを黒猫視点で展開していくが、結末は異なっており、京介と結ばれる物語となっている。電撃コミックスにて、全6巻が刊行されており、単行本の帯には小説版と同様に他作品の登場人物が推薦コメントを寄せている。伏見つかさ(原作)・いけださくら(作画)、かんざきひろ(キャラクターデザイン)2011年4月にはアンソロジーコミックが発売されている。表紙・イラストは松竜、カスガソウイチ、イラスト、abec、葛西心、上乃龍也、京極しん、小梅けいと、ヤス。漫画は天草帳、いけださくら、うったて、笹倉綾人、佐々原憂樹、高橋むぎ、タケイオーキ、ふらんべる、水無月露葉、椋木ななつ氏、森嶋プチ、楊柳崇志、ReDropが参加している。2013年3月には4コマ公式アンソロジーが発売された。表紙は牛木義隆が担当し、漫画は犬威赤彦、ヒロイチ、ハマちょん、いづみみなみ、あんねこ、bomi/木瓜庵、ゆーじ、天草帳、わらべし、大堀ユタカ、ありこ、もっつん*、雪雨こん、mizuki、新井ぎゅれん、miz22が参加。2013年4月には英語の参考書が発売された。アスキー・メディアワークスより、本作初の音声化作品であるドラマCDが2010年3月31日に発売された。3つのシナリオが収録されており、うち2つは原作小説の音声化でもう1つは原作者である伏見書き下ろしのオリジナルストーリーになる。カバーイラストはかんざきひろ。本ドラマCDに出演した主要キャストは、後に放送されたテレビアニメ版でも踏襲されている。その他封入物として解説リーフレット、いけださくらら11名による書き下ろし差し替え用ジャケット「俺なりの妹」、原作者の伏見つかさによる書き下ろし『俺の妹』短編小冊子が同梱される。小冊子には短編小説「とあるメイド喫茶にて」「バレンタインの想い出」の2作と(詳細は「#読み切り作品」を参照)、ドラマCDオリジナルの「あやせの相談事・羞恥編」の書き下ろし脚本が収録されている。テレビアニメ版に関連したCDが発売されている。2011年8月に発売されたスコット・マーフィーのアニメソング・カヴァーアルバム「GUILTY PLEASURES ANIMATION」にはジャケットに桐乃と黒猫のイラストが起用され、帯とシールには彼女らのコメントが寄せられている。本作を題材としたトレーディングカードのシリーズが、『らのべ×トレカ〜電撃文庫編〜 俺の妹がこんなに可愛いわけがない』としてコナミから発売されている。『らのべ×トレカ』シリーズの第1弾として2010年5月27日に発売され、以降、川原礫のライトノベル『アクセル・ワールド』のトレーディングカードと交互にリリースされている。カードには様々なイラストレーターによる書き下ろしイラストと、原作者書き下ろしの「新作ストーリー」が掲載されており、カードをコンプリートして順番通りに並べることによってショートストーリーを読むことができる。『星くず☆ういっちメルル』や『MASCHERA』などの作中作もフィーチャーされている。各商品のサブタイトルは、原作における作中作や登場人物のセリフにちなんだものとなっており、例えば第1弾のタイトルは、原作においては作中ゲーム『妹と恋しよっ♪』のタイトル画面で読み上げられるセリフに由来している。2010年と2013年にテレビアニメが放送された。番組のインターネット配信も行われている。原作小説には現役のアニメーターであるかんざきひろをイラスト担当として起用していることもあり、本作のファンからはアニメ化を前提としていた企画と受け取られることもあるが、実際には事前の電撃文庫内での注目度が低かった作品であったとされ、公式Twitterではこうした噂を否定している。日本国外でも北米において、Anime News Networkによるインターネット配信が日本の放送と同時期に行われる予定であったが、第2話の動画が日本での放送より半日前にAnime News Networkから漏出してしまうというトラブルが発生し、配信が延期、最終的には11月8日から配信が再開された。この他、携帯公式サイトにて画像や番組情報を配信している。また、トレーディングカードプレシャスメモリーズの参加テレビアニメ作品の中に本作も名を連ねている。タイアップの詳細についてはリンク先の各記事を参照。2010年8月13日から2011年7月22日まで『俺の妹が(ラジオでも)こんなに可愛いわけがない』と題する、テレビアニメ版に関連したインターネットラジオ番組が、アニメ公式サイト上で配信された。パーソナリティはアニメ版で高坂桐乃役を演じる竹達彩奈と、黒猫役を演じる花澤香菜。アニメ版二期の放送に合わせて2013年4月11日より『俺の妹が(ラジオでも)こんなに可愛いわけがない。』のタイトルで配信を再開している。作中においてヒロインである妹がおたく趣味に関する情報を集めるのに常用しているのが、実在の個人ニュースサイトであるという設定が話題になり、インターネット上では大きな反響があった(詳細は「#ウェブサイトとの連動」を参照)。著者の伏見にとって長編コメディーは本作が初挑戦であり、作風の変化を意外に受け止める読者も多かったという。アニメ版第1話の放送直後には放送倫理・番組向上機構(BPO)内の「青少年に関する意見」にて、作中に架空や実在のアダルトゲームが登場する内容に対して批判的な意見も視聴者から寄せられた。(詳細は俺の妹がこんなに可愛いわけがない (アニメ)#作品に対する批判を参照)。比較文学者、評論家の小谷野敦は、amazon.co.jpのカスタマーレビューにおいて「見た目のラノベっぽさに比較して、プロットはきわめて古典的である。文章、語彙などもきわめて整っている。オタクなるものの生態、語彙などの勉強にもなり、パターンが出尽くしてしまった直木賞系小説に対して、いわば王朝物語の末流に対する浮世草子の登場を思わせるものがある。なかんずく、作者の視点が冷静であるのがいい。かなり練り上げられた小説である」と本作について評価している。作品の完結した12巻の発売直後には、ライターの前島賢が「読者の声に耳を傾け続けた作品であり、ラブコメとして誰を選びどう終わらせるかという作者の決断はかえって深刻なものとなったように思う」と述べ、選択から逃げずに物語を完結させた著者を称えた。2016年5月 - フジテレビ系ドラマ『OUR HOUSE』第3話に面白い作品として名前及び文庫本が実名で登場している。
出典:wikipedia
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