GNU Cライブラリ(グニュー・シーライブラリ、glibc、ジーリブシー)は、GNUプロジェクトによる標準Cライブラリ実装。元々はGNUオペレーティングシステム向けにフリーソフトウェア財団 (FSF) が作成したもので、2001年からは主要なコントリビュータでメンテナーでもあるレッドハットのウルリッヒ・ドレッパーらからなる委員会が開発を監督していたが、2012年3月にコミュニティ主導の開発プロセスへの移行のために委員会の解散が決定した。GNU Lesser General Public License でリリースされているフリーソフトウェアである。1980年代、FSF のために作業していた Roland McGrath らを中心として glibc が書かれた。1988年2月、FSFは glibc が ANSI C の要求する機能をほぼ完全に実装したと発表した。1992年には ANSI C-1989 と POSIX.1-1990 に対応済みで、POSIX.2 対応作業を進めていた。1990年代初期、Linuxカーネル開発者らがglibc開発をフォークさせた。"Linux libc" と呼ばれたこのフォークは数年間続き、バージョン2から5までリリースしている。1996年、FSFは glibc 2.0 をリリース。完全なPOSIX標準サポート、優れた国際化/多言語サポート、IPv6サポート、64ビットデータアクセス、マルチスレッドのサポート、将来のバージョンとの互換性サポートなどの改良がなされ、同時にコードは移植性に優れていた。この時点でLinuxカーネル開発者らはフォークを辞め、再びFSFの glibc を使うようになった。Linux libc の最終バージョンの内部での名称(soname)は libc.so.5 になっていた。この後を glibc 2.x に引き継ぐため、Linux では soname を libc.so.6 とした(AlphaおよびIA64アーキテクチャ向けは libc.so.6.1 になっている)。この soname は libc6 と略記されることが多い(例えば Debian のパッケージ名)。リチャード・ストールマンによれば、Linux libc で加えられた変更は著作権の状態が不明確であるため、glibc にマージしないとした(GNUプロジェクトは著者と著作権の記録を厳密に行うのが常である)。glibcは、様々なカーネルやハードウェアアーキテクチャ上で使われている。最も一般的なのは、x86ハードウェア上のLinuxカーネルを使ったシステムだが、公式にサポートしているハードウェアには、x86、モトローラ 680x0、DEC Alpha、PowerPC、ARM、ETRAX CRIS、s390、SPARC などが含まれる。公式にサポートしているカーネルとしてはGNU HurdとLinuxカーネルがあるが、多数のパッチを当ててFreeBSDおよびNetBSDで動作するようにしたバージョンも存在する(Debian GNU/kFreeBSD と Debian GNU/NetBSD)。また、修正を加えた上でBeOSの "libroot" としても使われており、Haikuに受け継がれている。glibc は次のような標準で要求される機能を提供している。さらに、glibc にはGNUの開発に便利または必須と思われる拡張も提供している。2015年1月27日、セキュリティ関連企業Qualysの研究者が深刻なセキュリティホールを発見した。該当するGNU Cライブラリのバージョンは2.2から2.17である。このセキュリティホールは2013年5月21日にリリースされたVersion2.18の更新で修正されているが、多くのディストリビューションではこの修正が適用されないまま使用されていた。(現在は多くのディストリビューションで修正されたパッケージが利用可能となっているため更新は容易である。)この脆弱性では名前解決に使用する関数に細工したホスト名を渡し、バッファオーバーフローを発生させることで任意のコードの実行、DoS攻撃が可能となる可能性が発生する。この脆弱性はGNU Cライブラリのgethostbyname関数、gethostbyname2関数を利用するソフトウェアで問題が発生する。2015年1月28日現在、メール転送エージェントのEximが遠隔から攻撃を受ける可能性があると確認されている。glibc はかつて、例えばリーナス・トーバルズや組み込みLinuxのプログラマらから、他のライブラリよりも重くて遅いと批判されたことがある。そのため、メモリ使用量の少ない標準Cライブラリがいくつか開発されてきた(Bionic、dietlibc、EGLIBC、Klibc、musl、Newlib、uClibc)。gcc では、ターゲットが GNU/Linux の場合、-mglibc, -muclibc, -mbionic で切り替えられる。しかし、標準への適合性、完全性、各種サポートが存在する点などを考慮して glibc を小型機器に採用する例も多い。例えば、OpenMokoやiPAQ向けの Familiar Linux(GPE使用時)がある。
出典:wikipedia
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