上毛電気鉄道300型電車(じょうもうでんきてつどう300がたでんしゃ)は、かつて上毛電気鉄道に在籍していた通勤形電車。東武鉄道3000系を1989年(平成元年)から翌1990年(平成2年)にかけて譲り受けたものである。本項では本系列の代替目的で導入された350型(元東武3050系)についても記述する。老朽化が著しかった230型の代替を目的として東武3000系を計24両譲り受け、うち2両編成9本18両を300型として導入した。なお、同系列の譲受については1986年(昭和61年)頃より、既に上毛電鉄側から打診を行っていたとされている。入線に際しては、前面の渡り板の撤去や塗装変更、客室内への車掌用扉開閉スイッチの増設程度の小改造が施工された程度で、その他はほぼ東武在籍当時の仕様のまま竣工した。車体塗装は旧在籍会社の塗装をそのまま引き継いでいた230型とは一転し、上毛独自のデザインに変更された。これは前橋市内の専門学校のデザイン専攻学生らから募集、選定したものである。フィヨルドグリーン(青緑)とベージュのツートンカラーをベースに、腰部に白帯を、客用扉付近を除く側面窓周りにフェニックスレッド(赤)をそれぞれあしらったもので、側面窓周りの赤塗装が平行四辺形状(先頭部および車端部は台形状)に斜めカットされたデザインとされたことも相まって、非常に派手な印象を与えるものであった。また、元の前面種別表示幕部分には車番を表示する青地のプレートがはめ込まれ、デザイン上のアクセントとなっていた。なお、竣工当初クハは装備している台車の違いによって320番台・330番台・350番台にそれぞれ区分されていたが、末尾は通し番号とされていた。300型の老朽化に伴い、その代替目的で東武3050系を1995年(平成7年)から1996年(平成8年)にかけて2両編成7本14両譲り受けたものである。入線に際しては300型同様、塗装変更と客室内への車掌用扉開閉スイッチの増設程度の小改造で竣工している。車体塗装は300型とは異なり、東武在籍当時の塗り分けはそのままに、白地に窓下太帯をフィヨルドグリーン・同細帯をフェニックスレッド・幕板部帯をゴールデンオレンジとした。なお、352・353・355編成は当初より一社提供の全面広告車両として竣工しており、上記仕様に塗装されたことはなかった。なお、本系列も300型同様、前面種別表示幕部分に車番を表示しているが、プレートをはめ込んだ300型とは異なり、東武在籍当時から装備している表示幕で車番を表示させる方式とされた。本系列は前述のように台車の差異によって制御車の車番が区分されていたが、1993年(平成5年)から1995年(平成7年)にかけて台車をTR-11に順次統一し、車番も全車330番台に改番されている。また、車体塗装については後年側面窓周りの赤塗装を廃し、代わりに細い赤帯を腰部に入れたものに簡略化された。その後、譲渡から6年余りを経過した頃から特に走行機器の老朽化が顕著となったことから、350型によって代替されることとなった。比較的状態が良好であった317・318編成を除く7編成は1995年(平成7年)から1996年(平成8年)にかけて順次廃車となり、残存した2編成も700型(元京王電鉄3000系)導入に伴い1999年(平成11年)までに代替廃車となって本形式は形式消滅した。営業運転開始後は大きな改造や仕様変更を受けることなく運用された。しかし、本系列もまた旧型車の車体更新車であり走行機器の老朽化が著しく、走行機器保守性の問題、また当時の社会情勢上必須ともいえる冷房装置も搭載しておらずサービス上問題となりつつあったことから、700型導入による代替対象となった。700型が導入された1998年(平成10年)以降は、本形式はワンマン運転に対応していなかったこともあって予備車的な扱いを受けるようになり、300型が全廃となった1999年(平成11年)から早くも廃車が開始された。2000年(平成12年)10月に351編成を使用して行われたさよなら運転を最後に全車廃車となり、本形式は入線後わずか5年で形式消滅した。
出典:wikipedia
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