相鉄8000系電車(そうてつ8000けいでんしゃ)は、1990年(平成2年)から製造された相模鉄道の通勤形電車。解説の便宜上、個別の編成について記述する場合は編成中の横浜方先頭車(1号車)のクハ8700形の番号を取り、「8701F」(Formation = 編成)と書くことによって各編成を表すことにする。1960年代から1970年代にかけて製造された大量の6000系電車の老朽化が目立ってきたために、置き換えを目的に開発された車両である。開発コンセプトは「21世紀になっても通用する車両」ということで、内外装ともに従来の車両とは大きく変化したが、直角カルダン駆動方式、外から見えるディスクブレーキなどの特徴は、従来の新規製造車と同様、相鉄の特徴を残している。発注先は従来の新造車と同じく日立製作所である。最初の編成は1990年(平成2年)12月に営業運転を開始し、以後1999年(平成11年)までに10両編成13本(130両)が登場し、6000系を順次置き換えていった。なお、後述の事故により、10両編成1本が廃車となっている。途中1993年(平成5年)には別形式として東急車輛製造製の9000系電車が登場し、本系列と並行して導入がすすめられたことが特筆される。前面は従来の切妻形のデザインを一新して「く」の字型となり、曲線を多用し左右非対称の立体感のあるデザインを採用し、従来車両のイメージとは一変している。車体の材質は軽量性に優れるアルミニウム合金製で、長さ20m級で片側4つの両開きドアを持つ通勤型の車体である。なお、車体幅は2930mmと車両限界まで広げてある。また、全編成が10両貫通編成で導入され、幅広の車体とともに乗客の増加に対応できるように配慮されている。ライト類の配置も一新され、前照灯は車体中央下部に、尾灯は車体上部に設置された。車体と一体感のある白色の排障器の採用などは後の9000系にも影響を与えている。車体側面の表示についても従来は「急行」や「各停」といった列車種別の表示だけであったのに対し、本系列は相鉄で初めて行き先の駅名を表示した。これらの機器が字幕の車両では「急行」「横浜」というような、別々の表示器で表示されるが、LED表示の編成は一つの表示器でまとめて表示される。"表示内容については「#種別・行き先表示」参照"屋根上には登場当初から集中式冷房装置を搭載しているが、従来搭載していたベンチレーター(通風器)については本系列を含め以後搭載されていない。地の色を活かしたクリア塗装が施されており、赤色と白色のテープを車体下部に貼ることでアクセントをつけていた。また、前面窓を大きく見せるために窓周りを黒く塗る「ブラックフェイス」も新7000系電車に続き採用された(新塗装でも若干の変更はあるが残っている)。なお、先頭部は白色が多用されている。蛍光灯の数が多いこと、白色の化粧板を多用していることにより、車内は従来車両よりもかなり明るく、設計段階で「走る応接室」をコンセプトに目指したとも言われている。化粧板は従来は金属むき出しであった客室扉内側や連結面の貫通扉など細かい部分にも使われており、統一感を出したものとなっている。新7000系と同様、床には駆動装置点検蓋が設けられている。座席はロングシートを基本とするが、新7000系で試験的に採用されたセミクロスシートが本格的に採用されており、各編成に2両ずつ(5号車と8号車)組み込まれている。新7000系のものよりもシートピッチが50mm広げられている。編成内でのセミクロスシート車の位置は新7000系最終増備編成と変わらず、同じ設備を持つ9000系も同じである。7人掛けのロングシートはオレンジ色を基調とし、3+1+3人分に色分けされて着席区分を明確化している。また、従来の車両同様、側窓は下降式1枚で電気指令油圧式自動窓を採用し、設置されているつり革の多さなど相鉄独自の拘りも健在である。自動窓は、乗務員室からの操作で全ての窓を一斉に昇降することが可能である。客用案内設備として、LEDにより文字を表示するタイプの案内装置が設置され、行き先と次の停車駅のほか文字による広告も流すことができる。制御装置は、新7000系の実績を踏まえて日立製GTO素子を使用したPMV方式の大容量の(制御器の容量は4500V/3600A)回生ブレーキ付VVVFインバータ制御を本格的に採用した。1台の制御装置で8台のかご形三相誘導電動機を制御している。ただし、新7000系1C4M制御と異なり、動力車はモハ8100形とモハ8200形を2両1組のユニット構成とし、モハ8100形にVVVF装置を搭載して1C8M制御とすることで、必要数削減によるコスト削減を図っている。滑走の多発した新7000系での反省を生かし、モーター1つ当たりの出力は抑えたものの動力車の比率を6M4T(動力車6両、付随車4両)とし、新7000系VVVF制御の編成 (4M6T) より電動車の比率を上げているため、滑走・空転は発生しにくい。駆動方式は、従来車と同じ直角カルダン駆動方式である。台車は新7000系VVVF制御の車両が装備していたものの改良型で、電動車が日立KH132A型、それ以外の車両はKH135型を装備する。基礎ブレーキ装置はディスクブレーキで、踏面清掃・増粘着装置を全軸に取り付けた。ただし、ブレーキ方式は新7000系VVVF制御編成で採用された極めて珍しい“回生ブレーキ付日立式電磁直通ブレーキ”ではなく、相鉄の車両で初めて電気指令式ブレーキを採用した。非常時に在来の電磁直通ブレーキ採用車両と連結可能になるようにブレーキ読み替え装置を各先頭車に搭載する。起動加速度3.0km/h/s、最高速度は110km/h(運転時は100km/h程度)と大手私鉄の通勤型電車としては標準の性能を有する。余談だが、本系列の導入直前の1990年(平成2年)5月から相模鉄道は準大手私鉄から大手私鉄に格上げされた。相鉄の車両として初めて運転室内にモニタが設置され、扉の開閉状況や次の停車駅などを乗務員に知らせるようになっている。ほかに車両運用の管理も車両搭載のコンピューターが行い、モニタに表示される。運転台はマスターコントローラーとブレーキハンドルを有するツーハンドルと呼ばれるものである。全ての編成に自動列車停止装置 (ATS)、列車無線、デッドマン装置が搭載されている。現在相鉄ではJRとの直通計画が進んでおり、これを機に保安装置をJR仕様のものに改修する予定である。そのため、後述のようにATSや列車無線の種類を変更する工事や、運転士の体調の急変に備えるEB装置を追加設置する工事が行われた。なお、以下の区分は便宜上のものである。1990年に製造された8701Fと1991年に製造された8702F・8703Fが該当。行先表示器・運用番号表示器が幕式で、行先表示器は本系列から側面表示が従来の種別表示のみから行先も表示するようになっている。車両妻部にLED式3行表示の案内表示器を設置。運転台仕切り扉の窓は小型である。1992年に製造された8704F - 8706Fが該当。このグループより、運用番号表示器が7セグメントマグサイン式となった。また、運転台仕切り扉の窓寸法が拡大された。1993年に製造された8707Fと1994年に製造された8708Fが該当。このグループより、同時期に登場した9000系に合わせて、車椅子スペースが両先頭車に設置された。また、従来は海老名方先頭車のみに設置されていた誘導無線のアンテナが、横浜方先頭車にも設置された。位置は先頭車の隣の車両よりの部分である。8708Fは当初試験的な要素を多く搭載しており、前面の行先表示器をLED式とし、補助電源装置は静止形インバータ (SIV 170kVA) を搭載した。これらは、後述する8709Fから本格採用された。なお、LED式行先表示器については、後年側面に合わせ幕式とされたが、SIVについては変更されていない。1995年に製造された8709Fが該当。この編成より、LED式行先表示器とSIVが本格的に採用されている。ただし、行先表示器の書体は明朝体に改められた。1996年に製造された8710Fが該当。車内案内表示器の位置は客用ドア上に変更された。1997年に製造された8711Fが該当。5次車とほぼ同仕様だが、案内表示器未設置部分のドアチャイムスピーカーのカバーの形状が変更され、セミクロスシートの車両はコスト削減のためつり革取り付け用のポールが一体化された。ドアの動作音も若干静かになっている。さらに、この編成から蛍光灯の位置がつり革のポールと平行な位置に変更された。なお、この編成の導入に伴い新6000系が離脱し始めた。1998年に製造された8712Fと1999年に製造された8713Fが該当。6次車とほぼ同仕様だが、落成時からパンタグラフはシングルアーム式を搭載している。当初は8712Fで製造を終える予定であったが、3050系が相模大塚駅構内で起こした脱線事故で廃車されたことによる代替編成として8713Fが製造された。導入当初との変更点は以下のとおりである。これらの工事は一気には行われず、段階的に行われている他、一部の編成では施工内容が異なる。各種の工事は後に登場した自社の10000系電車や、当時JRの最新の通勤型車両であったJR東日本E233系電車(後に相鉄でも亜流車の11000系電車が登場)に準じるように改造されている。また、初期編成ではこれら新型車両の他にも後期編成と同等の設備を持つように改造されている。以下、部分ごとに記述する。特に2007年秋からは、車椅子スペースの設置や前述のように保安装置の改修など本格的な更新工事が行われている。これに加えて初期編成(8701F〜8709F。ただし8707Fは除く)に対しては以下の工事が行われ、後期編成(8710F〜8713F)・新型車両とのサービス格差の是正が図られた。施行編成 8703F、8704F、8705F、8706F、8709F施行編成 8705F、8708F、8712F初期編成に対してはこれに加えて以下のことが行われ、後期編成・新型車両とのサービス格差の是正が行われた。更に8703F〜8709Fについては、段階的に座席の部分で以下の工事が行われた。施行編成 8703F、8704F、8705F、8706F、8708F、8709F施行編成 8704F、8705F、8706F、8708F、8709F施行編成 8705F、8706F、8708F、8709F2016年2月に8710F、2016年5月に8708Fの制御装置が、機器更新工事を行った9000系電車と同じ日立製のIGBT素子VVVFインバータ(VFI-HR2820Q)に更新された。なお2016年度もひき続き行われる予定。車内の広告枠を貸し切る広告貸切列車は本系列でも運転されている。また、車体装飾も行われているものの、10000系に比べるとその数は少ない。施行編成他系列の10両編成と共通運用で、特急、急行、快速、各停全ての種別に使用される。都合によっては、8両編成の運用を10両編成のまま代走することもある。2004年3月に湘南台駅構内で発生したレール削正車との衝突事故により8707F(1993年製)が廃車となった。横浜方先頭車2両が2006年(平成18年)3月付けで初の廃車処分とされ、同年6月に解体、そして損傷が少なかった残りの8両についても同年12月に廃車・解体された。また、この廃車に伴う編成不足の補充分として2007年(平成19年)に10000系10両編成1本 (10708F) が落成した。種別・行き先表示を以下に示す。 字幕式(2016年時点では存在しない)3色LED式(8709F - 8713F)フルカラーLED車(8101F 8702F 8703F 8704F 8705F 8706F 8708F)幕車だった車両は全てフルカラーLEDヘ交換された。特急と二俣川の側面英語表記は2段表示となる。前面はすべて英語は下線に表示される。 なお回送・試運転は側面の切り替え表示をしないので日本語の方に一つにまとめた。英語は下線に表示される。 その他にも通特表示や、相鉄のキャラクター「そうにゃん」を表示することもできる。
出典:wikipedia
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