元 謐（げん ひつ、生年不詳 - 523年）は、中国の北魏の皇族。趙郡王。字は道安。献文帝の孫。趙郡王元幹と趙氏の間の子として生まれた。宣武帝の初年に趙郡王の封を継いだ。元幹の妃の穆氏と元謐の母の趙氏の間は険悪で、穆氏が趙氏のことを礼にもとると上表したため、母子の間は引き裂かれた。元謐は母の喪中に、音楽を聴いて飲みふざけていたため、御史中尉の李平による弾劾を受けた。恩赦に遇い、封号を復した。通直散騎常侍に任ぜられ、龍驤将軍を加えられ、太子中庶子に転じ、冠軍将軍・岐州刺史として出向した。元謐は他人に厳しく、目下の者を虐待した。孝明帝の初年、台使の元延が岐州の境にやってきた。元謐が兵を私役に使っていることを隊主の高保願が訴えたので、元謐は高保願を鞭打った。元謐は州城の四門を閉じて、戒厳を布き、無辜の人物6人を斬らせた。城内の人々は元謐の暴虐を恐れて、団結して州城を乗っ取った。元謐は楼閣に登って梯子を壊し、立てこもった。霊太后は游撃将軍の王靖を派遣して説得にあたらせた。王靖がやってくると、城内の人々は開門して謝罪した。元謐は岐州刺史から解任された。召還されて、大司農卿となった。また散騎尚侍・平北将軍・幽州刺史に任ぜられた。元謐の妃の胡氏は、霊太后の姪であった。元謐は胡氏を殴打する事件を起こして免官された。後に都官尚書に任ぜられ、安南将軍を加えられた。523年、死去した。仮侍中・征南将軍・司州牧の位を追贈され、諡を貞景といった。子の元毓が後を嗣いだ。

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