ケプラー () は、地球型の太陽系外惑星を探すためにアメリカ航空宇宙局 (NASA) が運用している宇宙望遠鏡である。ディスカバリー計画の10番目の宇宙機である。主製造業者はボール・エアロスペース社である。ケプラーは2009年3月6日に打ち上げられた。3年半にわたって10万個の恒星の明るさを測定し、トランジット法により、惑星が主星を隠す時に生じる周期的な明るさの変動を検出した。NASAは、2013年8月15日に、姿勢制御系のトラブル(姿勢制御用のホイール4つのうち2つが故障)が復旧できないため、主観測ミッションを終了したことを発表すると共に、残された2基のホイールのみを使って行える科学観測の提案を募集した。その結果、2014年5月末から太陽光圧を姿勢制御に取り入れた「K2ミッション」を始めた。ケプラーは、直径140センチの反射鏡と、その焦点面に設置された9460万画素のCCDカメラであるPhotometerを装備している。ケプラーの構造は、レンズと反射鏡を組み合わせたシュミット式の反射屈折望遠鏡であり、レンズのみを用いるケプラー式望遠鏡ではない。その意味で、ケプラー望遠鏡 (Kepler telescope) と、ケプラー式望遠鏡 (Keplerian telescope) とを、混同してはならない。ケプラーのPhotometerは、225万画素 (2200×1024 pixels) のCCDが42基並べて搭載されており、合計すると9460万画素のCCDカメラに相当する。ただしこのCCDは写真撮影に使われるのではなく、星の光度変化の計測に使われる。「ハッブル宇宙望遠鏡」の後継機として「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (JWST)」の打ち上げ計画もあるが、ケプラー望遠鏡はそれとは位置づけや目的が異なる。"以下の記述はNASAケプラーミッションのウェブサイトからの引用である。"ケプラーの目的は、惑星系の構造と多様性を探ることにある。具体的には、多数の星の明るさを測定することによって以下の点について明らかにすることである。惑星の軌道が中心の星と視線上偶然重なり食を起こす確率は、恒星の視直径を惑星の公転軌道の直径で割った値に比例する。太陽のような星の周囲を軌道半径1天文単位で地球型惑星がまわっていた場合、食を起こす確率は0.47%、1/210である。もし軌道半径が0.72天文単位(金星の公転軌道と同じ)場合、その確率は0.65%とやや大きくなる。惑星が複数存在する系の場合、それらの惑星は同じ軌道面を取ることが多いため食を起こす確率はより大きくなる。例えば、宇宙人がケプラーのような宇宙望遠鏡で地球による食を観測できたとすると、12%の確率で金星が起こす食も観測できることになる。現在の技術では、ケプラーは地球型惑星を発見する可能性が最も高いミッションである。ケプラーは10万個の星を一度に観測することができるため、惑星による食を検出できる可能性もその分大きい。さらに、1/210の確率で地球型惑星の食を観測できるということは、すべての星が地球型惑星を持っていると仮定した場合、ケプラーは480個の地球型惑星を発見できる計算になる。これと実際に検出される地球型惑星の数を比較することで、地球型惑星が存在する確率を推定することができる。ケプラーによって得られるデータは、さまざまな種類の変光星の研究、特に日震学を多数の恒星に適用するためにも有用である。ケプラーが開発段階にあった2006年1月、NASAの予算削減のため計画の8カ月の延期が決定され、同年3月にさらに4カ月の延期がなされた。この間、経費削減のために高利得アンテナを可動型から固定型に変更した。ケプラーは2009年3月6日にフロリダ州ケープカナベラル空軍基地からデルタ IIロケットで打ち上げられた。2009年5月、ケプラーの本格的な運用が始まった。6月15日と7月2日、探査機が意図せずにセーフモードに入る不具合が発生したが、すぐに正常な観測に復帰した。原因は電力の低下だった。6月19日には観測データを初めて地球へ送信した。8月、NASAは初期の成果を公表した。惑星の発見は報告しなかったが、既に知られていた系外惑星HAT-P-7bの観測結果を伝えた。ケプラーはHAT-P-7bが恒星の手前を通過する際の減光を捉え、惑星の「満ち欠け」や、惑星が恒星の奥に掩蔽された時の光度変化も検出した。これによりケプラーが地球型惑星の発見に十分な精度を持っていることが証明された。11月、ケプラーのチームは7500個の変光星の光度曲線をインターネットで公開した。これらは変光が観測の妨げとなるため、観測対象から除かれた。2010年1月、NASAは最初の5つの惑星を報告し、惑星にケプラー4bからケプラー8bと名づけた。いずれも公転周期5.5日以下の高温の惑星で、ケプラー4bは25地球質量のホット・ネプチューン、他の3つは0.4から2.1木星質量のホット・ジュピターである。3月、観測モジュールに障害が発生し、42個のCCDセンサーのうち隣接した2個が使用できなくなった。ケプラーは望遠鏡の視線方向を軸に90度ずつ回転しながら観測するため、視野の4箇所に観測時間の75%しか観測できない領域が生じることとなった。ただし障害は限定的で、探査機全体には影響しないと見られている。8月、恒星ケプラー9に2つの惑星が報告された。ケプラー計画で1つの恒星に複数の惑星を確認した最初の例となった。2011年1月、ケプラー計画最初の地球型系外惑星ケプラー10bが報告された。この惑星は地球の4.5倍の質量と1.4倍の半径を持ち、地球と同様の岩石惑星と見られている。ただし恒星に近いため表面温度は1300度に達し、生命が存在する可能性はほとんど無い。2月、恒星ケプラー11に6つの惑星が報告された。1つの恒星に6つ以上の惑星が確認されたのは2例目となる(最初の例はグリーゼ581)。惑星はいずれも地球より大きく、最大で天王星や海王星並みである。また、同時にケプラーが未確認の惑星候補を1200個以上発見したことも明かされた。うち288個が地球に近い大きさで、ハビタブルゾーンを公転する地球サイズの候補も5個含まれる。9月、NASAは連星ケプラー16の周囲に惑星ケプラー16bを発見したと発表した。ケプラーが連星の周囲の惑星(周連星惑星)を発見したのは初で、また周連星惑星が恒星の手前を横切る様子が観測されたのも初である。周連星惑星の候補はケプラー以前にもいくつか発見されているが、NASAは「明確に検出」された物としてはケプラー16bが最初としている。12月には、地球サイズの惑星候補2つ(ケプラー20eとケプラー20f)がケプラー20という恒星を周回していることが確認された。2月、NASAは、昨年の発表時点より、未確認の惑星候補が1091個追加で見つかったと発表した。7月、ケプラーに装備された4つあるリアクションホイールのうちのひとつ (No.2) が故障して使用できなくなった。2月21日、NASAなどの国際研究チームは、今までで最も小さい太陽系外惑星を発見したと発表した。発表によるとこの惑星は、はくちょう座付近の恒星ケプラー37を公転する3つの惑星のうちのひとつで、もっとも内側を回っている惑星だという。大きさは水星より小さく、月よりわずかに大きい、地球の約3分の1のサイズ。水星のように水や大気が存在せず、灼熱にさらされた岩石惑星とみられている。4月19日、NASAは、地球と同規模の太陽系外惑星を3つ発見したと発表した。このうち2つは地球から約1200光年のこと座にあるケプラー62eとケプラー62fで、大きさはそれぞれ地球の1.6倍と1.4倍、中心にある恒星との距離が地球と太陽との距離のように適度に離れていて、生命の存在に必要不可欠な液体の水が存在する可能性が高い「ハビタブルゾーン」にあるという。3つ目は、地球から約2700光年のはくちょう座にあるケプラー69cで、大きさは地球の1.7倍、太陽に似た恒星は存在するものの、恒星との距離が地球と太陽との距離よりもやや近く、地表の温度は地球より高温だとみられている。5月15日、NASAはケプラーの2つめのリアクションホイール (No.4) が故障して制御不能に陥っており、このままの状態が続けば運用を断念すると発表した。5月初め頃から、精密な姿勢制御が出来なくなっていた。リアクションホイールによる姿勢制御の回復には失敗したが、スラスターの使用により姿勢制御を回復しており、NASAは残存している燃料により、スラスターによる姿勢制御を数ヶ月は継続できると予測した。8月15日、NASAは4つあるリアクションホイールのうち2つ(No.2と4)が故障しており、修理は不可能と発表した。その後、正常な2つのリアクションホイールとスラスタ制御のみの姿勢制御で行える観測を募集し、コストを算出して他のミッションに使えないかを検討した。また、ケプラーによって得られた探査データは膨大で、分析に数年かかる見通しである。2014年4月、NASAはケプラーがこれまでで最も地球に似た太陽系外惑星、ケプラー186fの発見を公表した。この惑星は大きさが地球の1.11倍と、これまで発見されたハビタブルゾーン内に位置する太陽系外惑星の中で最も大きさが小さいのはケプラー62fだったが、ケプラー186fはこの記録を更新した。残された2基のホイールのみで科学観測を行う提案を募集していたが、NASAは2014年5月16日に、新しいK2ミッションが承認されたことを明らかにした。K2ミッションは、太陽光の圧力を使って83日間の観測を行い、太陽光が望遠鏡内に入らないように姿勢を変えて再び83日間の観測を繰り返すことが可能となる観測である。5月30日から観測を再開し、その時点から2年間の追加観測が認められた。「K2ミッション」は2014年8月から正式にスタートした。2014年12月の時点で3万5000個の恒星を観測したほか、星団や星形成領域、太陽系内のデータも収集している。また12月にはK2ミッション初となる系外惑星HIP 116454 bの発見が公表された。年1月、NASAはケプラーがケプラー438bをはじめとする地球に極めて似ている可能性がある太陽系外惑星を複数、発見したことを発表した。また、これと同時にケプラーが発見した太陽系外惑星の個数が1000個を達成した。1月下旬には、ケプラー444と名づけられたK型主系列星に地球サイズの太陽系外惑星が5つ公転していることが発見された。注目すべき点はこの惑星系が誕生から112億年も経過していることである。これは宇宙誕生から30億年もしないうちにすでに岩石惑星の主成分である鉄などの元素がある程度、存在していたことを示す成果となった。しかし、これらの惑星は恒星に近いため、生命が存在していくには過酷な環境とされている。7月23日には、太陽に非常によく似た恒星ケプラー452の周りをケプラー452bという太陽系外惑星が公転していることが発表された。この惑星はケプラー452のハビタブルゾーン内を公転しており、地球に非常によく似た太陽系外惑星である可能性がある。9月14日、ケプラーの観測結果から、KIC 8462852Aという恒星が惑星では説明が出来ない、不規則な変光をしていることが発表された。大量の小惑星や彗星の破片が通過した可能性もあるが、今のところ原因は分かっていない。そのため、巷では高度に発達した地球外知的生命体の巨大建造物が恒星の手前を通過しているのではという仮説もある。5月、NASAはケプラーが観測した惑星候補のうち、1284個が惑星であることが確定したと発表した。これにより、ケプラーが発見した惑星数は一気に2325個まで上昇した。1284個のうち約550個が地球のような岩石惑星で、さらにケプラー560b、ケプラー705b、ケプラー1229b、ケプラー1410b、ケプラー1455b、ケプラー1544b、ケプラー1593b、ケプラー1606b、ケプラー1638bの9個はハビタブルゾーン内を公転しているとされている。ケプラーは、地球を周回する軌道ではなく、太陽を中心として地球の後を追いかける太陽周回軌道に投入されている。これは、観測対象の星が地球に隠れてしまうのを防ぐとともに地球からの迷光を避けるためである。太陽光の影響を避けるため、望遠鏡は黄道面から離れたはくちょう座の方角だけを向くようにして観測する。この方角は小惑星帯やエッジワース・カイパーベルトからも離れているため、これらの領域にある小天体によって星の光が隠されてしまうこともない。短期間で多くの太陽系外惑星を発見したが、はくちょう座のごく一部の領域を観測しただけの成果であることに注目すべきである。発見した系外惑星の数は2015年1月には1,000個に達したことが報告された。これは15万個の恒星を観測した結果であり、4,000個以上の惑星候補を発見し、そのうち1,000個が惑星であることが確認されている。2016年5月15日の地点でケプラーが発見した太陽系外惑星は2325個に及ぶ。探査機本体の重さは1039kgであり、望遠鏡の開口部は0.95m、主鏡口径は1.4mである。これは地球周回軌道の外にある宇宙望遠鏡の中では最大である。また視野は105平方度であり、これは腕を伸ばして握りこぶしをふたつ並べたほどの大きさに相当する。焦点面には1024×2200素子の冷却CCDが42枚並べられる。観測対象の星が位置する画素の情報だけが記録され、地上に転送される。ケプラーミッションの総予算は4億6700万ドルである。
出典:wikipedia
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