カスミサンショウウオ（"Hynobius nebulosus"）は、有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類される有尾類。日本（岐阜県以西の本州、四国北東部、九州北西部）固有種模式標本の産地（模式産地）は長崎。全長9.4 - 12.7センチメートル。体側面に入る皺（肋条）は左右に13本（まれに12本）ずつ。背面の色彩は緑褐色や淡灰褐色・暗褐色で、褐色の斑点が入る個体が多い。種小名"nebulosus"は「雲状の」の意で、英名（clouded=雲の）と同義。尾の背面外縁に黄色い筋模様が入る個体が多い。上顎中央部に並ぶ歯の列（鋤骨歯列）はアルファベットの深い「V」字状。胴体に沿って前肢（および指）を後方へ後肢（および趾）を前方に伸ばしても0.5 - 2肋条ぶんの隙間がある。後肢の趾は5本。卵嚢の表面には明瞭な筋が入らない。広域分布種だが形態・遺伝的な地域変異が大きく、複数の隠蔽種を含んでいると考えられている。主に低地から丘陵にある湧水や水田の周囲にある二次林や竹林・草原などに生息するが、中国山脈の個体群は標高の高い自然林にも生息する。本州では同所的に分布するヒダサンショウウオ・ブチサンショウウオと垂直分布（標高）ですみ分けを行っているが、中国山地では同じ環境に生息することもある。昆虫、クモ、ワラジムシ、ミミズなどを食べる。幼生は水生昆虫、ミジンコ、イトミミズなどを食べ、共食いも行う。繁殖様式は卵生。12 - 翌5月に浅い池沼や水田の溝、湿原、流れの緩やかな沢などに50 - 179個の卵を産む。卵は3 - 4月以降に孵化する。幼生は6 - 7月に変態し幼体になる。土地開発による生息地の破壊、それに伴う土砂流出による水質汚濁、減反政策による乾田の増加による繁殖地の減少、人為的に移入されたアメリカザリガニ・魚類などによる捕食などにより生息数は減少している。京都府・愛媛県・岐阜県・滋賀県・奈良県では条例により許可のない捕獲が禁止されている。

出典:wikipedia