高田松原(たかたまつばら)は、岩手県陸前高田市気仙町にかつて存在した松原。高田松原は江戸時代の1667年(寛文7年)、高田の豪商・菅野杢之助によって植栽され、仙台藩と住民の協力によって6,200本のクロマツが植えられた。その後、享保年間(1716年 - 1736年)には松坂新右衛門による増林が行われ、以来、クロマツとアカマツからなる合計7万本もの松林は、仙台藩・岩手県を代表する防潮林となり、景勝の一つであった。その白砂青松の景観は世に広く評価されていた。国の名勝や陸中海岸国立公園(現・三陸復興国立公園)に地域指定され、様々な環境評価・施設評価の選定地となり、2009年(平成21年)には104万人の観光客が訪れるなど観光地としても賑わっていた。高田松原の防潮林はたびたび津波に見舞われてきた。近代以降で代表的なものとしては、1896年(明治29年)6月15日の明治三陸津波、1933年(昭和8年)3月3日の昭和三陸津波、1960年(昭和35年)5月24日のチリ地震津波がある。これらの津波のたび、防潮林として市街地への被害を防いできた。しかし、2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では、10メートルを超える大津波に呑み込まれ、ほぼ全ての松がなぎ倒され壊滅した。なお、文化庁は「地形が残っている」として名勝の指定を継続している。2013年3月から海岸災害復旧工事が始まった。防潮堤として広田湾側に第一線堤(高さ海抜3メートル、震災前:高さ海抜3メートル)、古川沼側に第二線堤(高さ海抜12.5メートル、震災前:高さ海抜5.5メートル)が建設される。沼田川河口には水門が新たに建設され、津波で被害を受けた人工リーフも1,200メートルに渡って復旧される。完成は2016年12月を予定している。海岸砂浜再生事業も2016年から始まった。これは、高田松原の砂浜は気仙川から流れてきた土砂が堆積して出来た物だが、自然の堆積での回復を待つと数百年掛かると推定された為である。砂浜は1,750メートルに渡って再生される予定だが、2016年は試験的に200メートルで実施される。計画では2017年度に本格着工され、2018年度に完了を見込んでいる。第一線堤と第二線堤の間に松を植林し、松原を復元する計画も立てられている。東日本大震災の際、約7万本あった中で奇跡的に1本の松が倒れずに残り、この松は震災直後から復興のシンボルと捉えられ、「奇跡の一本松」「希望の松」「ど根性松」などと通称されるようになった。しかし、この松の周囲の土壌は大地震による地盤沈下で海水がしみ込み塩分過多の状態になったため、同年4月末の時点では健康だったものの、徐々に生育状態が悪化していった。新葉が出ず、葉の褐色化が進んだことから、5月20日には根元に活性剤を撒く処置がとられ、6月5日には傷ついた幹を保護するためにこも巻きが行われた。しかし、一時は新芽も確認され回復の兆しが見られたものの、新芽の多くが変色し衰弱が進んだ。2011年10月の調査では、海水で根がほとんど腐っており再生不可能と判断され、保護を事実上断念、接ぎ木を育てるなど苗木を移す計画が検討された。2012年7月には一度切断して内部に防腐処理を施しつつ金属製の心棒を通すという形で保存することが発表された。2012年9月12日、最後に残った松の木が伐採された。切られた松は防腐処理を施した上で元の場所に戻す復元工事が行われ、2013年7月に完成式典が行われた。なおこの一本松の復元事業費約1億5000万円は陸前高田市による募金運動により賄われた。倒れた松の一部はボランティアの手で薪として販売され、売り上げは復興資金として寄付される予定であった。一部は、清水寺・大日如来坐像に使用されたものの、2011年8月16日の京都・五山の送り火の薪として使用される予定が、福島第一原子力発電所の事故による放射性セシウムが検出され二転三転した末に使用中止になったり、2011年9月には成田山新勝寺で被災松を護摩木としておたき上げすることに対し抗議が多数寄せられるなど、復興支援と放射能汚染の間でしばしば議論を呼んでいる。2012年2月10日、東日本大震災の復興政策を統括する復興庁が発足し、本庁の看板にはなぎ倒された高田松原の松が使われた。2012年7月2日から、郵便事業陸前高田支店において、奇跡の一本松を図案化した風景印の使用が始まった。同年10月1日からは、陸前高田郵便局郵便分室で同図案の風景印を引き継いで使用している。また、東日本大震災の復興費用に充てる「個人向け復興応援国債」の購入者に対して贈呈する記念貨幣のうち、第3次発行分の一万円金貨3デザインのうち1デザインの表面と、第1次から第4次発行分の各貨幣の裏面には、共通で奇跡の一本松があしらわれている。
出典:wikipedia
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