白娘子（はくじょうし）は、中国の四大民話伝説『白蛇伝』に登場するヒロイン。化名は「白素貞（はくそてい）」。一般に「白娘々（パイニャンニャン）」と呼称されることも多い。その正体は、四川省にある霊山の峨眉山清風洞の霊力を持つようになった千年の白蛇の精。一千八百年修行し、仙術を会得した。許仙の命の恩人に応えるため、白衣を着た美人に変化して、彼と結婚して子供をもうけた。後に妖魔打倒を使命とする和尚・法海に杭州の雷峰塔の下で鎮圧される。白娘子の下女である小青は峨眉山にもどり18年の修行を積み無敵の三昧真火を修得し、雷峰塔を燃やし白娘子を救い出す。白娘子の初出は北宋時代に成立した類書『太平広記・白蛇記』。最初の白娘子は一匹の白い大蛇を変化させる白衣の美女、青年に害をなす邪悪の妖女として描かれており、青年は白蛇の妖女に誘惑された末に精気を吸われて殺された。ただし、南宋の『西湖三塔記（せいこさんとうき）』や明代の『警世通言・白娘子永鎮雷峰塔（はくじょうしえいちんらいほうとう）』には類似の題材は見られない。最後には道士や和尚が白蛇を捕えて塔に封印されるという筋立てとなっている。弾詞（弾き語り）の『義妖伝（ぎようでん）』が完成すると、白娘子は正義の白蛇の精へ変更された。南宋の紹興年間以降、民話伝説や文学作品として加工され、清代の乾隆年間の神魔小説『雷峰塔奇伝（らいほうとうきでん）』と清代末期の『白蛇全伝』では「愛」の要素を追加し、この物語が現在の『白蛇伝』である。

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